川崎病急性期における冠動脈壁の超音波組織性状に関する検討
―Integrated Backscatter画像を用いてー
日本大学小児科
山菅正郎,金丸 浩,唐澤賢祐,鮎澤 衛,能登信孝,住友直方,岡田知雄,原田研介 |
【目的】川崎病による冠動脈障害の早期エコー所見として冠動脈壁の輝度の亢進が認めら
れるが、客観的な定量的評価は困難であった。今回、超音波後方散乱信号(Integrated Backscatter以下IB)を用いて、川崎病急性期における冠動脈壁組織性状の定量的評価の可
能性について検討した。
【対象及び方法】対象はガンマグロブリン投与を行った4か月か ら4歳4か月(平均2.1±1.2歳)の急性期川崎病23例(男13例、女10例)である。方
法はAcoustic Densitometry装置搭載のHewlett Packard社製のSONOS 5500超音波装置を用
いて、冠動脈壁のIB(IBCA)および主肺動脈内のIB(IBPA)を計測し,補正を行った冠動脈壁 のrelative IB(IBCA-IBPA)を求めた。実際には、左冠動脈前下行枝の管壁および近接する
主肺動脈内で最もIB値の低い部位に関心領域(ROI)を設定し、最も冠動脈が描出されてい る時期のIB平均値を算出した。計測は初回ガンマグロブリン投与前後および回復期に行
った。
【結果】ガンマグロブリン投与前relative IBCA=27.3±5.1 dB、ガンマグロブリン投与 後relative
IBCA=25.0 ±4. 7 dB、回復期relative IBCA=25.3±5.7 dBであった。冠動脈壁の corrected
IBはガンマグロブリン投与前後およびガンマグロブリン投与前と回復期の比較で 有意に低下した(P<0.05)。初回ガンマグロブリン投与で解熱が得られた12例はガンマグロ
ブリン追加投与を行った7例よりガンマグロブリン投与前後で有意にIB値が低下した (P<0.05)。また,冠動脈拡張を認めた3例はガンマグロブリン投与前後でIB値の低下を認
めなかった。
【考案】川崎病急性期から回復期にかけて冠動脈壁のIB値は低下を認め,重症例ではIB値の低下は遅延する傾向があり,初期の冠動脈病変を捉えていることが示唆
された.IBによる冠動脈壁組織性状の定量的評価は,直接的に川崎病冠動脈病変の早期診 断および重症度判定に有用な診断法になる可能性がある。
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川崎病冠動脈障害例における超音波診断法の有用性
-非侵襲的超音波診断法で何がどこまでわかるのか?-
日本大学医学部小児科
○能登信孝、谷口和夫、金丸 浩、山菅正郎、唐沢賢祐、
鮎沢 衛、住友直方、泉 裕之、岡田知雄、原田研介 |
【目的】冠動脈障害(CAL)を合併した川崎病年長児例の包括的管理における超音波診断法の有用性を検討した。
【方法】対象はCAL合併川崎病46例(10-23歳,1枝16例,2枝26例,3枝4例)である。全例に・ドブタミン負荷(5-40オg/kg/min)心エコー法(DSE)と、・総頚動脈エコー法(CCE)を施行した。CCEにより内膜中膜厚(IMT)とstiffnessを測定し、冠危険因子との関係を検討した。DSEでLAD領域に壁運動異常(WMA)が出現した負荷陽性(DSE+)例では、・ATP負荷(140オg/kg/min
6分)心エコー法(ASE)により、LAD末梢の冠予備能(CFR)を計測した。ASEで計測したCFRはドプラガイドワイヤー(DGW)で測定したCFRと比較した。また冠動脈造影(CAG)で有意冠動脈病変(CAD:>70%stenosis)合併例では、・経静脈性心筋コントラストエコー法(MCE)をLevovistィ3ml静注により施行し、四腔および短軸断面の安静時左室心筋染影を観察した。これらDSE、CCE、ASEによる初期成績(I)は経過観察後(F)
(36ア12か月)の成績と比較した。
【結果】CAGによるCADはI/Fでそれぞれ18/23例に存在した。DSE+はI/Fでそれぞれ24/26例で、感度(I/F)特異度(I/F)はそれぞれ71/88%、95/100%であった。IにDSE偽陽性の4/6例(67%)は、FにはCADに進展していた。IのASEで計測した14例のCFRは2.0ア0.2で、DGWでの1.9ア0.3と良好な相関(r=0.86)が得られたが、ASEの3例で過大評価した。またDSE+でFのCFR<1.9の4例はPTCRAまたはCABGが施行された。MCEはFの14/23例に施行し、遅延染影(DO)例を4/14例に認めたが、染影欠損例は 無かった。DO領域はDSE+領域と3/4例(75%)、また心筋SPECT虚血領域と2/4例(50%)で一致した。一方、I/FのCCEのIMTとstiffnessはそれぞれ0.48ア0.12/0.49ア0.15mm、3.27ア1.35/4.03ア0.97で、Fのstiffnessは異常高値をとったが、冠危険因子との有意な関係はなかった。>
【結論】DSEはCADの検出と虚血性病変進展の予測に、またASEとMCEは冠動脈の機能的重症度評価に、さらにCCEは動脈硬化の早期進行を予測できる有用な検査法である。
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川崎病児の心筋虚血の診断:
経静脈的心筋コントラストエコー法による検討
久留米大学小児科
石井正浩、姫野和家子、菅原洋子、古井 潤、赤木禎治、加藤裕久 |
【目的】本研究の目的は川崎病既往例の心筋虚血診断における経静脈的心筋コントラストエコー(MCE)法の臨床的有用性を検討する事である。
【対象】対象は、冠動脈病変を持つ川崎病8例(5-20才)である。3例が巨大冠状動脈瘤、2例が狭窄病変(LADの完全閉塞および90%狭窄)、3例に心筋梗塞の既往を認めた。
【方法】選択的冠状動脈造影後にMCE法を行った。診断装置は、Sonos 5500, Agilent Tec.を用い四腔断面像および左室二腔断面像をにて、Power
Harmonic Doppler法を用いた4:1 trigger Imageで評価した。右肘静脈に血管確保したあとLevovist
(300mg/ml)を用い安静時およびジピリダモール(0.56mg/kg)負荷後MCE法を行った。 MCE法の2日後に施行したジピリダモール負荷99mTc-tetrofosmin心筋血流シンチと比較した。
【結果】経静脈的MCEで左室心筋の染影は、8例全例で得られた。安静時のMCE法では、巨大冠状動脈瘤3例、狭窄病変の2例は、陰影欠損を認めなかった。しかし、ジピリダモール負荷後のMCE法では、狭窄病変を有する2例にジピリダモール負荷99mTc-tetrofosmin心筋血流シンチと一致した冠動脈領域に陰影欠損を認めた。心筋梗塞の既往を持つ3例は安静時およびジピリダモール負荷時のMCE法で、責任冠動脈領域に一致した陰影欠損を認め、その部位は99mTc-tetrofosmin心筋血流シンチと一致した。
【結語】経静脈MCE法による冠潅流評価は小児でも可能であり、ジピリダモール負荷を加えることで心筋のviabilityを診断することが可能であった。今後川崎病児をフォローアップしていく上で臨床的に有用なツールになると考えられた。 |
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