川崎病患者の心筋虚血評価における心磁図等積分図の有用性
筑波大学小児科
○塩野淳子、堀米仁志、松井 陽
日立製作所中央研究所
宮下 豪、塚田啓二 |
【はじめに】我々のグループでは、成人の心筋梗塞患者で心磁図等積分図が異常を示すことを報告してきた。一方、川崎病患者では冠動脈に有意狭窄病変が存在しても、心電図上はST-T変化などの虚血性変化を示さないことも多い。これらの患者における心筋虚血を、心磁図等積分図における再分極異常として検出できるかどうかを検討した。
【対象】川崎病既往の患者32例(年齢3.9〜22.8歳、平均12.9±4.1歳)を対象とした。冠動脈病変の残存する者は14例で、このうち狭窄病変6例、心筋梗塞既往1例であった。健常小児21例を対照とした。
【方法】64チャネルSQUID磁束計を用い、前胸部で心磁の法線成分を30秒間計測した。得られたデータは加算平均後、接線方向に換算してベクトルアローマップを作成した。また、同時に記録した心電図をもとにQRS、ST-Tそれぞれの区間の磁場の積分値(IiQRS、IiST-T)を求め、等積分図を作成した。これらよりそれぞれの区間の最大値(ImQRS、ImST-T)とその比(ImST-T/ImQRS)、それぞれの区間の64チャネルの合計値(SIQRS、SIST-T)とその比(SIST-T/SIQRS)を求めた。
【結果】健常者の等積分図は、全例でImQRS<ImST-T、SIQRS<SIST-Tのパターンを示した。ImST-T/ImQRSは、川崎病で1.88±0.68、健常者で1.72±0.46、SIST-T/SIQRSは川崎病で1.64±0.56、健常者で1.57±0.38であり、いずれも有意差は認められなかった(p>0.05)。しかし、川崎病のうちの4例でImQRS>ImST-T、SIQRS>SIST-Tの明らかな異常が認められた。心電図上は1例は正常、2例で軽度のST-T変化のみであった。
【まとめ】今回の検討で、冠動脈病変の残存する患者の中に等積分図で異常の認められる症例があった。心筋虚血により再分極過程の不均一性が生じ、磁場が打ち消し合って小さくなるものと考えられる。狭窄部位により、異常の検出率に差が見られる可能性もある。症例数を増やして検討したい。
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川崎病の心筋血流シンチ 99mTc-Tetrofosmin
心拍同期心筋SPECT左室壁厚変化率の有用性について
国立循環器病センター 小児科
○石川雄一 小野安生 岡田陽子 辰巳貴美子 津田悦子 越後茂之 |
目的:心拍同期心筋SPECT(QGS)は心筋血流状態と同時に左室容量、左室駆出率を算出できる方法であるが、今回同法を用いて左室壁厚変化率(%WT)および左室壁運動(LVM)を評価し、心筋虚血評価における有用性を検討した。
対象:川崎病既往27例で年齢2才-26才、男性15例、女性12例。冠動脈病変の内訳は、RCASS10枝。LCASS1枝。LADOc6枝。LADSS1枝。RCALs3枝。LCALs1枝。LADLs10枝。LCXLs3枝であった。また、CABG9例、陳旧性心筋梗塞が4例(重複あり)であった。
方法:QGSは運動負荷が21例、薬物負荷(ジピリダモール)が6例だった。画像上%WT、LVMともに良好部位との比較で50%未満のものを低下とした。
結果:12名にperfusion defect(以下PD)を認めた。このうち5例は陳旧性心筋梗塞で、PDに一致した部位の%WTの低下を認めた。他の8例は、PDと同部位に%WTの低下を認めなかったが、1例で無関係の部位で%WTの低下を認めた。PD(-)群では1例に%WT不良部位を認めたが、12例は正常だった。また、PD(+)群に対してLVMをみると、2例にPDと同部位に低下を認め、8例
は無関係の中隔部位が低下し、1例は正常だった。13例のPD(-)群は6例に中隔部位のLVMの低下が見られ、7例は正常だった。
総括:陳旧性心筋梗塞の場合は全例においてPDと同部位で%WTが低下していた。また、非梗塞例については同部位の%WTは正常だった。よって運動負荷のみの検査で、安静時との比較なしに陳旧性心筋梗塞か虚血かの診断が可能と判断した。 |
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低用量ドブタミン負荷心電図同期心筋SPECTによる
心筋血流および収縮予備能の同時評価
日本大学小児科
○ 唐澤賢祐,谷口和夫,金丸 浩,山菅正郎,鮎澤 衛,
能登信孝,住友直方,岡田知雄,原田研介 |
【目的】心電図同期心筋SPECTの3次元自動解析法(Quantitative
Gated SPECT: QGS)を用いて低用量ドブタミン負荷(DOB)を行い,川崎病陳旧性心筋梗塞例における心筋血流および収縮予備能に関する検討を行った.
【方法】対象は川崎病後冠動脈障害で心筋梗塞既往の有意冠動脈狭窄10例(OMI群)と冠動脈狭窄を認めない6例(対照群)である.心筋SPECTは,エルゴメーターまたはATP負荷後に99mTc-tetrofosmin(Tf)
10MBq/kgを静注し30-60分後に負荷後像を撮像した.また,安静時に初期投与の倍量のTfを静注した後にドブタミン3-5μg/kg/min.
の負荷を開始し30-60分後に撮像した.心電図同期心筋SPECTはR-R間隔を16分割で1方向20-40秒で360度収集を行った.この方法によって心筋血流評価は負荷像と安静時像を,心筋収縮能(駆出率,壁厚増加率)は負荷後像とDOB像を同時評価した.
【結果】有意冠動脈狭窄の診断能に関しては,心筋血流評価で感度100%(10/10),特異度50%(3/6)(p<0.05),QGSによる壁厚増加率低下の陽性率で感度80%(8/10),特異度67%(4/6)であった(n.s.).QGSによる左室駆出率は 負荷後像でOMI群:59.9±7.9%,対照群:70.5±9.1%
(p<0.05),DOB像でOMI群:69.1±9.0%,対照群:79.0±10.5%であった(n.s.).OMI群における心筋viability ありの診断は心筋血流評価で30%(3/10),DOB負荷による壁厚増加率の改善を指標とする評価で80%(8/10)であった.
【考案】低用量ドブタミン負荷QGSは従来の心筋血流イメージに加え,左室収縮予備能の評価が可能であり,川崎病陳旧性心筋梗塞例おいて心筋viabilityの診断能が向上すると考える. |
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