経橈骨動脈アプローチによる選択的冠動脈造影
―成人期の川崎病冠動脈障害をもつ患者に対して小児用4Fシースを用いて―
国立循環器病センター小児科
○津田悦子、高室基樹、田中敏克、小野安生、越後茂之 長岡赤十字病院 小児科 遠藤彦聖 |
内科領域において経橈骨動脈アプローチによる選択的冠動脈造影(CAG)やインターベンションが行われている。成人期における川崎病冠動脈障害をもつ患者に対して、小児用4Fシースを用いて経橈骨動脈アプローチによるCAG、左室(LV)造影を施行した。
(対象)川崎病冠動脈障害をもつ14例(男12例、女2例)である。左内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術後3例を含む。全例患者が経橈骨動脈アプローチを希望した。年齢は17歳から27歳(中央値20歳)であった。身長は158cmから177cm(中央値170cm)、体重は48.8kgから87kg(中央値66.3kg)であった。
(方法)検査2時間前にキシロカインテープを左橈骨動脈穿刺部に貼布した。左橈骨動脈を穿刺し、小児用4Fシースを挿入した。シース挿入後、ニトログリセリン0.125-0.15mgを注入した。50単位/kgのヘパリンを末梢静脈から静注した。0.89mmのラジフォーカスを大動脈弓部まで先進させ、4Fピッグテイルを挿入した。ガイドワイヤーを上行大動脈、LVに先進させ、カテーテルをLVに挿入した。圧測定、LV造影後、上行大動脈において、ガイドワイヤーのループを作り、カテーテルを置換した。CAGにはジャドキンス4.2F左3.5、右4.0を使用した。検査終了後、シースを抜去し、圧迫テープ(ステプテイP)で固定した。検査後、安静時間は2時間であった。
(結果)全例、良好な造影像が得られた。透視時間(正面+側面)は14分から61分(中央値22分)であった。後期の症例は10分台であった。合併症はみられなかった。
(まとめ)成人期における冠動脈障害のフォローアップCAGにおいて、経橈骨動脈アプローチは、やや術者の慣れを要するが、患者の負担を軽減できるアプローチである。
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川崎病既往者における冠動脈パイパス術後の心筋灌流動態の検討
日本医科大学小児科
○大久保隆志、勝部康弘、深澤隆治、関隆志、
倉持雪穂、福見大地、内木場庸子、小川俊一 |
【背景】CABG術後の心筋灌流動態の評価方法としては一般的に心筋シンチグラム等の間接的評価法や造影検査等の視覚的評価法により行われているのが現状である。
【目的】CABGを施行した川崎病既往者に対し冠血流予備能(CFR)並びに相対的心筋血流予備能(FFRmyo)を計測し、術後の心筋灌流動態を検討する。
【対象】当科にて経過観察中のCABG術後の患者5例・5冠動脈 (男性4名・女性1名:年齢3歳2ヶ月〜22歳10ヶ月)。
【方法】心臓カテーテル造影検査時にフローワイヤーをバイパス血管(内胸動脈)より吻合遠位部に留置し、塩酸パパベリン(0.2mg/kg)をバイパス血管内に注入、注入前後での平均血流速度の比によりCFRを算出した。またプレッシャーワイヤーを同部位に留置し、同様に塩酸パパベリン負荷を施行、pijlsらの方法に準じFFRmyoを算出した。さらに、全症例に対し、塩酸ドブタミン負荷心筋シンチグラムを施行し、CFRおよびFFRmyoの値と比較検討した。
【結果】CFR値は2.4〜2.7(当科での正常域:≧2.0)、またFFRmyo値は0.80〜0.95(当科での正常域:≧0.75)であり、全例とも正常域内であった。さらに、血管造影検査ではバイパス吻合部に視覚的狭窄は認められず、負荷心筋シンチグラムでも心筋虚血、梗塞の所見は認められなかった。
【考案】CFR並びにFFRmyoの検討は冠動脈バイパス術後の心筋灌流動態の評価にも有用と考えられ、術後の心筋灌流動態評価の一指標と成りうると思われた。 |
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東京・関東地区における川崎病冠動脈造影の現状
東京川崎病連絡会 〇 野間清司、薗部友良、佐地 勉、浅井利夫、
今田義夫、小川俊一、小島好文、関 一郎、高橋 啓、野中善治、
原田研介、柳川幸重 |
【目的と方法】川崎病罹患後の冠動脈造影の実状について、2000年6月に東京・関東地区で同検査を実施している施設にアンケート調査を行った。
【結果】33施設より回答を得た。以下(数字)は施設数を示す。 ・初回造影の適応:急性期の冠動脈断層心エコー図で最大内径4mm以上を適応とする所が最も多かった。(24)年少児で3mmを適応とする施設もあった。(3)
・初回造影の時期:原則,拡張例に発症4ケ月以内に行う方針(11)、巨大瘤、血栓、AMI等の場合4ヶ月以内に行う方針(9)、原則早期造影は行わず1年前後で行う方針(11)と分かれた。・初回造影の目的:狭窄病変(29)、エコーで見えない末梢病変(28)、瘤形態(24)、治療管理のため(23)の順であった。
・再造影の適応、間隔:必ず行う(19)、症例による(14)で、軽度拡張例は見送られる傾向にあった。再造影までの間隔は3年以内(14),3〜5年(10)であった。
・再造影の目的:狭窄病変(32)、瘤形態の変化(24)、抗血小板剤継続の判断(20)、生活管理の判断(17)の順であった。・10年前との比較では、適応は基本的に不変(11)、心エコー解像度の進歩、シンチ、SPECT,
MRI等の診断法の多様化、PTCR、Intervention等のカテ治療などが、造影の頻度や目的にも影響を与えていた。また、頻回の造影は患児の負担も大きいとの指摘もあった。近年は冠動脈後遺症が減少し、急性期後の造影は減少し、年長児の再造影が多い現状という施設が多かった。
【考察】初回造影は、適応を急性期の4mm以上の冠動脈拡張においた施設が多かった。時期は4ヵ月以内の早期と1年前後の遠隔期に2分された。目標は初回では瘤の形態、末梢病変の確認や狭窄病変、再造影では狭窄病変、治療・管理面等が重要視されていた。今後は必要最低限の回数を考え、成人化に伴いカテ治療、バイパス適応など治療面で循環器科との連携や引継ぎが問題になっていくと思われた。 |
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