川崎病冠状動脈病変に対するmid CABG
大和成和病院心臓病センター心臓外科、日赤医療センター小児科*
◯南淵明宏、倉田篤、田島秀則、三好豊、金公一、薗部友良*
川崎病による後遺症としての冠状動脈病変はさまざまな形態を示し、その治療の方法の選択,時期については患者のさまざまな条件が考慮され、個別の治療方針で臨む状況にある。現実的な積極的血行再建術として現在、ローターブレーターなどのカテーテル治療と冠状動脈バイパス手術があるが、これら治療は治療者個人の能力に結果が100%依存する性質のものであり、かかる状況を無視して川崎病の治療方針を「手術かカテーテル治療か」などと論じることは無意味である。また、積極的な冠状動脈血行再建術を必要とする患児の発生頻度は年間で50例程度と考えられており、そういった観点からも治療者が特定される環境が望ましい。それを実現させる具体的な方策として、治療者である内科医や外科医がなかば試行錯誤的に行なってきた治療の結果を正確、かつ厳正に検証する必要がある。医師社会の因習や個人的偏見から現状を判断し得ない医師は、コンシューマリズムの流れに淘汰されるのではないだろうか。
一治療者として演者らが経験した川崎病冠状動脈病変を有する8歳女児、ならびに20歳男子(いずれも手術時年齢)に対するmid CABG(低侵襲冠状動脈バイパス手術、左前側方小切開、心拍動下吻合)のそれぞれ21ヶ月、7ヶ月後のグラフト造影(左内胸動脈―LAD)の良好な結果を供覧し、会員諸兄姉の一見識にお加えいただきたい。
川崎病に対するガンマグロブリン超大量療法の投与量の検討
福岡市立こども病院・感染症センター
○水野由美、青木知信、浦上京子、金光紀明、石川司朗、 佐川浩一、牛ノ濱大也
目的:川崎病に対してガンマグロブリン超大量療法の有用性が報告されているが、その投与量は未だ確立されていない。われわれはガンマグロブリン1g/kg/日投与後 解熱しなかった症例のみに追加投与をし、臨床所見の検討をした。
対象:1998年1月から1999年12月までに当院で入院加療した川崎病確定例135人、男児66人 女児69人 年齢 2生月−8歳7か月 (平均2.4±2歳) 方法:全例にアスピリンあるいはフロベンの経口投与をおこなった。 原田のスコアを参考に4項目以上満たしたものに対してガンマグロブリン1g/kgを1日で投与し1クールとし、1クール終了後、解熱しなかった患者に対してさらにガンマグロブリン1g/kgの追加投与を行った。ガンマグロブリン超大量療法2クールで解熱しなかった一部の症例に対してウリナスタチン5000単位/kg/回x3回/日の併用療法を行った。
結果:135人の治療内容はガンマグロブリン無投与26人(A群)、1クール投与73人(B群)、2クール投与22人(C群)、3クール以上14人(D群)、これらのうち13人がミラクリッド併用した。 冠動脈瘤がB群で1人、C群で2人に3ヶ月以上残存した。1クール投与群と2クール以上投与群で性別、CRP,白血球数、血小板数、血清アルブミン値、治療開始病日に有意差はなかった。2クール以上投与した症例では1クールで解熱した症例に比べALTが(2クール以上:1クール 209.8±244.3 IU/l: 80.3±106.1 IU/l)有意に高く(p<0.01)、また年齢も(3.3±2.6歳:2.1±1.6歳)有意に高かった(P<0.01)。
考察:川崎病患者のうち54%がガンマグロブリン1g/kg/日の投与で解熱し、27%が2クール以上の投与を必要とした。2g/kg以上を投与した症例は年齢が高く、入院時ALTが高値の症例が多かった。
川崎病ガンマグロブリン療法の検討:製剤間における治療効果の比較
久留米大学小児科
○牟田 広実、石井 正浩、古井 潤、菅原 洋子、
姫野 和家子、赤木 禎治、加藤 裕久
【背景】川崎病急性期の治療における大量ガンマグロブリン療法の有効性は明らかであるが、製剤間による治療効果・副作用を比較検討した報告は少ない。
【目的】ガンマグロブリン製剤間による治療効果および副作用について、比較検討すること。
【対象】当院において97年1月より00年3月までに川崎病と診断され、ガン マグロブリン療法をおこなった95例を対象とした。他院より不応例として紹介されたものは除いた。
【方法】ガンマグロブリン療法開始時に、乾燥スルホ化人免疫グロブリン使用群33例(A群)、pH4処理酸性人免疫グロブリン使用群40例(B群)、ポリエレングリコール処理人免疫グロブリン使用群22例(C群)の3群に無作為にわけ、原田のスコアにより投与量(4点以上2g/kg/回, 3点以下1g/kg/回)を決定した。全例アスピリンまたはフロベンを併用した。
【結果】各製剤間において、年齢、性別、原田のスコア、投与開始病日に有意はなかった。初回治療において、いわゆる不応例(投与後48時間以内に解熱しないもの)は、A群で18.2%, B群で17.5%, C群で27.3%であり、各群間に有意差はなかった。冠動脈病変についても、A群で9.1%, B群で10%, C群で4.5%であり、各群間に有意差はなかった。副作用のあった例は、A群では認められず、B群では発疹を1例(3.0%)に認め、C群では発疹1例とショック1例の計2例(9.1%)に認められた。
【結論】ガンマグロブリン製剤間により治療効果および副作用に差はみられなかった。