川崎病におけるHepatocyte growth factor (HGF)の動態と
冠動脈病変発生との関連性についての検討
九州大学医学部 小児科 ○大野拓郎、弓削哲二、古野憲司
九州厚生年金病院 小児科 城尾邦隆 |
【目的】川崎病(KD)急性期における血清HGFの動態を明らかにし、血清Vascular
endothelial growth factor (VEGF)の動態ならびに冠動脈病変(CAL)発生との関連性について評価する。
【対象および方法】1994年1月〜1999年6月の期間にKDと診断された41例(男児27例、女児14例:
range 2-106 months, median 22.0 months)及び健常児(HC)25例 (男児17例、女児8例:
range 6.0-13.0 years, median 9.0 years) における血清HGF及びVEGFをSandwich
ELISA法を用いて測定した。
【結果】1) KD急性期(有熱期)における血清HGF値(range 628.8-8920.9 pg/ml,
median 1653.4 pg/ml) は 回復期(解熱後: range 409.5-2804.3 pg/ml, median
837.4 pg/ml)及びHC(range 394.8-1360.0 pg/ml, median 817.8 pg/ml)に比べ有意に高値を示した(p<0.05)。
2) 急性期の血清HGF値と血清VEGF値は有意な正相関を示した(rs=0.526, p=0.0009)。3) 急性期血清HGF及びVEGF値はunivariate
analysis(HGF: p=0.035, VEGF: p=0.009) 、Multivariate analysis
(100 pg/ml上昇する毎に、HGF: p=0.0398, odds ratio 1.09, VEGF: p=0.0002,
odds ratio 1.87)のいずれにおいてもCAL発生と有意な相関を認めた。
【結論】KDの病態、特に血管炎において、血管内皮細胞への直接作用を有するHGFとVEGFが大きく関与する事が予想される。今回の検討で、KD急性期の血清HGF及びVEGF値の上昇は有意に相関し、CAL合併を予測する因子となりうる事が明らかになった。
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川崎病急性期の血管新生因子VEGFの動態γ:グロブリン不応例における検討
久留米大学小児科
Ο古井潤、石井正浩、菅原洋子、姫野和家子、赤木禎治、加藤裕久 |
[目的]血管新生因子:VEGF は血管内皮細胞の増殖、血管の透過性の亢進を促す。目的は川崎病(KD)急性期の血漿VEGFの動態を明らかにすることである。
[方法]35名のKDと年齢を一致させた無熱性control 10名、有熱性control 10名(肺炎3名、細菌性髄膜炎3名、扁桃炎2名、上気道炎2名)から採取した血漿をELISA法にて測定した。35名のKD患者は以下の2群に分けた、Group1γグロブリン(γ-gl)反応例20名、Group2γ-gl不応例15名うち6名に冠動脈瘤を合併した。
[結果] KDにおける血漿VEGF動態は急性期(平均5.4病日)は177.5±52.6pg/mlであり、亜急性期(平均10.0病日)に382.9±80.9pg/mlと高値を示し、回復期(平均25.0病日)に155.7±51.96pg/mlに下降した。γ-gl投与前のKD患者の血漿VEGF値は無熱性controlと比較して有意に上昇していた(Group
1:137±56.8pg/ml, Group 2:115.6±59.7pg/ml, 熱性 99.8±56.9pg/ml, 無熱性66.7±6.5pg/ml
p<0.05)。γ-gl投与前でのGroup 1とGroup 2 の比較では、後者の血漿VEGF値は低い傾向であった(p=NS)。γ-gl投与後48時間ではGroup
2はGroup 1に比べ有意に高い値となった(Group 1:113.6±25.2pg/ml vs. Group 2:429.4±105.8pg/ml
p<0.05)。γ-gl投与前での冠動脈瘤合併例(85±42pg/ml n=6)と冠動脈瘤非合併例(119.9±83.4pg/ml
n=9)では冠動脈瘤合併例が低い傾向であったが有意差は認めなっかた。γ-gl投与後48時間において冠動脈瘤合併例は冠動脈瘤非合併例では有意に高い値であった(合併例829±290pg/ml
vs. 非合併例284±65.8pg/ml p<0.05)。
[結語]血漿VEGF値は川崎病による血管障害に関与している可能性がある。 |
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川崎病におけるGlycoprotein IIb/IIIaレセプターの遺伝子発現
日本大学医学部小児科 ○金丸 浩、鮎沢 衛、原田研介
Childrens Hospital Los Angeles
Chieko Kuroda, Julius Peters, Masato Takahashi |
【背景】川崎病の急性期、亜急性期では、血小板数およびその活性が上昇する。Glycoprotein(GP)
IIb/IIIaレセプターは、血小板の凝集機能において重要な役割を果たす。我々は川崎病患者におけるGP IIbレセプターの遺伝子発現を調べたので報告する。
【方法】ロサンゼルス小児病院に入院した6人の川崎病患者を対象とした。有熱疾患のコントロール(FC)として6人の呼吸器感染と無熱性のコントロールとして6人の先天性心疾患児(CHD)から血液を採取した。川崎病の血液サンプルは急性期、亜急性期および回復期に採取された。各サンプルからRNAを抽出後、定量的RT-PCRを行った。cDNAの定量にはDeletion
productを用いた。
【結果】各群についてGP IIbレセプターの遺伝子発現cDNA/RNA(/ng)を求めた。川崎病急性期、亜急性期および回復期の結果はそれぞれ13258.4(/ng)、11365.3(/ng)および6095.7(/ng)であった。コントロール群はFC873.0(/ng)、CHD4362.3(/ng)であった。急性期および亜急性期の川崎病患者におけるGP
IIbレセプターの遺伝子発現は、FC群、CHD群の発現よりも統計学的有意差(p<0.01)をもって上昇していた。
【結語】血小板の過剰な活性化が血管炎を増悪させ、冠動脈血栓症を引き起こすことが予測される。一部の患者ではアスピリン治療にもかかわらず、冠動脈血栓症が進行する。一部の川崎病患児に対して、これまでのアスピリン、ガンマグロブリンによる治療に加えて、GP
IIb/IIIa拮抗剤による治療が血栓症予防を目的として有効かもしれない。 |
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川崎病の病因としてのスーパー抗原の検索
国立小児医療研究セ・小児生態1、都立八王子小児病院2、
千葉大医学部小児科3、 千葉市立海浜病院4、国立三重病院5
◯阿部 淳1、野上 浩子1、野間 清司2、寺井 勝3、中島 弘道4、中野 貴司5 |
【目的】急性期の川崎病患者から、スーパー抗原産生菌を従来よりも高い感度で、かつ系統的に検出すること、さらに、同定された個々のスーパー抗原に対する川崎病患者の抗体産生について解析することを目的とした。
【方法】108例の川崎病患児から咽頭および直腸拭い液を採取し、黄色ブドウ球菌由来遺伝子(コアグラーゼ遺伝子、プロテインA遺伝子)およびスーパー抗原遺伝子(SEA、SEB、SEC、SED、SEE、TSST-1、SEG、SEH、SEI)をPCR法で検出して健常対照乳幼児75例と比較した。また、菌が分離された患児の急性期血清中の抗スーパー抗原抗体(IgM)をELISA法で測定した。
【結果】細菌学的方法による川崎病患児からの黄色ブドウ球菌の分離頻度は、咽頭、直腸合わせて41.7%だったが、PCR法による黄色ブドウ球菌由来遺伝子の検出頻度は咽頭50.0%、直腸43.3%であり、合わせると細菌学的方法の約1.6倍になった。咽頭拭い液からのコアグラーゼ遺伝子、プロテインA遺伝子の検出頻度は、対照乳幼児群との有意差は認められなかった。しかし、菌コロニーの分離頻度(p
< 0.03)およびスーパー抗原SEB(p < 0.05)とSEC(p < 0.02)の検出頻度は、川崎病患児の方が有意に高かった。SEAの検出頻度も川崎病患児の方に高い傾向が見られた。菌が分離された31例について、急性期血清中の抗SEA,
SEB, SEC, TSST-1抗体価を測定した結果、SEA(9/10例、p < 0.005)およびSEB(6/10例、p
< 0.02)を産生する菌が分離された患児から、産生されたスーパー抗原に一致したIgM抗体が認められた。
【考察】スーパー抗原、とりわけSEA, SEB, SECといった古典的スーパー抗原を産生する黄色ブドウ球菌のコロニゼーションが川崎病の発症に密接に関与する可能性が示唆された。今後、これらの古典的スーパー抗原に対する免疫反応が、急性期の川崎病の症状とどのように関連するのか、患児に特異的な反応様式がみられるのか、さらに検討する必要がある。 |
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