脳症・血小板減少を合併し、ステロイドパルス療法が著効した
IVGG 2g+1g/kg不応重症川崎病の1例

東邦大学第一小児科
○石北 隆、野々田真、関口恭子、中山智孝、松裏裕行、佐地 勉
【症例】2歳3か月、女児。【主訴】発熱、全身性紅斑、両側後頚部の腫脹。
【経過】第2病日に入院。入院時、全身状態は不良、頻脈、多呼吸を呈し、顔貌は浮腫状、腹部の軽度膨満、腸蠕動の減弱、両側の後頚部はび漫性に著しく腫脹し有痛性。四肢末梢の紅潮、硬性浮腫を認めた。心エコー検査では少量の心嚢液貯留と冠動脈周囲のエコー輝度の増強を認めた。  第3病日、WBC12.700/ml、PLT 98.000/ml、CRP 7.2mg/dl、Ht 34.4%、Alb 3.4g/dl、原田のスコアは5/7となり、IVGG 2g/kgを24時間以上かけて投与した。IVGG終了後48時間を経過しても解熱傾向なくCRP他検査所見の改善もみられないため第6病日にIVGGの1g/kgを追加投与し、UTI 5000単位/kgの1日3回投与を併用した。第7病日、WBC 25.900/ml、CRP 25mg/dlと増加、PLTは9.4000/ml、Albは2.3g/dlとなり、アルブミンの補充、プレドニゾロン 2mg/kg/日の静注投与を開始した。高血圧に対しニフェジピン投与を開始。フロセミドも随時使用した。同日夕刻より意識レベルが低下し、心拍数は190/分、呼吸は浅表となり、髄膜刺激徴候を認めた。髄液圧は軽度上昇、脳波は全般性の徐波化を呈した。  プレドニゾロン 3日間で改善がみられないため第10病日よりメチルプレドニゾロンパルス療法(30mg/kg/5時間、3日間)を開始した。投与開始後は1日で急速に臨床症状の改善がみられた。第12病日には解熱し、15病日にはCRP 0.3mg/dlまで低下した。以後は経口プレドニゾロンに変更し、漸減中止とした。冠動脈後遺症、神経後遺症なく、無事に退院した。
【考察】IVGG不応、プレドニゾロン抵抗の重症川崎病に対しステロイドパルス療法は有効と思われる。開始時期を遅らせないこと、さらに病態に合わせた補助療法が必要である。
アスピリン,プレドニン,ガンマグロブリンを併用投与した
川崎病例の検討

群馬県立小児医療センター循環器科
◯ 篠原 真,小林富男,小林 徹
【はじめに】急性期川崎病に対し,入院時にハイリスクと考えられた症例に,アスピリン(ASA)とステロイド(PSL)にガンマグロブリン(IVGG)を併用するプロトコールを行ってきたが,今回このASA,PSL,IVGGを併用投与した川崎病例を対象とし,PSLがASA,IVGGのadditional therapyとなりうるかを検討した.
【対象と結果】1992年〜1999年に当院に入院し,川崎病の診断で9病日以内に治療を開始した例のうち,1群:ハイリスクと判断し,最初からASA,PSL,IVGGを併用投与した49例,2群:ハイリスクと判断されず,ASAとPSLのみでIVGG非投与とした例のうち,再発熱などの理由で数日後にIVGGの追加を必要とした5例,3群:他院で9病日以内に治療を開始したが,IVGG不応例として当院に紹介され,PSLを追加投与した5例を対象とした.1群でのIVGGの総投与量は1g/kgが45例,2g/kgが4例で,PSLの投与期間は平均28.2日で30日以上投与した例は15例あり,最長56日であった.発熱期間は治療開始後平均0.7日で,多くは24時間以内に解熱した.4mm以上の冠動脈拡大は認められなかった.2群の5例はIVGG追加後,全例が24〜48時間以内に解熱し,冠動脈は1例に4.1mmの拡大を認めたのみであった.3群の5例は平均2.3g/kgのIVGGを投与され,平均10.4病日にPSLを追加投与したが,治療開始時およびPSL開始時のCRPはそれぞれ平均12.3,23.4mg/dlで悪化していた.1例を除いてPSL開始後48時間以内に解熱したが,4.4mmの拡大を1例に,10.2mmの巨大瘤を1例に合併した.【結語】ASA,PSL,IVGGの併用投与による治療結果は良好であった.PSLの投与開始にはその時期を考慮する必要があるが,初期からの使用は安全で有効であると思われた.なるべく早期にIVGG無効例(ハイリスク例)を選択し,PSLを併用投与することにより冠動脈病変の合併を減少させる可能性があると考えられた.