川崎病頚部リンパ節の超音波検査の診断的意義
山口大学小児科1、山口労災病院小児科2、徳山中央病院小児科3
○田代紀陸1,2、松原知代1、藤原元紀1、市山高志1、
古賀まゆみ1、内田正志3、古川 漸1 |
<目的>川崎病(KD)主要6症状中の発熱と頚部リンパ節腫脹が先行する症例を、主として年長児で経験する。その際に化膿性頚部リンパ節炎との鑑別が重要となる。川崎病の頚部リンパ節は触診上一塊に触知されるが、超音波所見は多房性のリンパ節の集簇であることについて既に報告した。今回はその診断的意義について検討した。
<対象および方法>対象は1995年7月ー1999年3月に当大学病院に発熱と頚部リンパ節腫脹を主訴に入院した小児37例である。0.2才ー7才(平均2.6才)のKD22例(男15例)、0.4才ー7才(平均2.4才)の化膿性頚部リンパ節炎7例(男4例)、1才ー5才(平均2.8才)の伝染性単核症5例(男3例)および10
才ー11才(平均10.3才)の壊死性リンパ節炎3例(男2例)である。頚部リンパ節の超音波検査を7.5MHzまたは10MHz
のTransducerを用いてAloka SSD-2200で入院時に施行した。
<結果およびまとめ>KD、伝染性単核症および壊死性リンパ節炎では、多房性のリンパ節が集簇している超音波所見がみられた。一方、化膿性頚部リンパ節炎では単一のリンパ節の腫大として描出され、KDと異なっていた。KD22例中12例(54.5%)は入院時にKD診断基準を満たさず、超音波検査の数日後に基準を満たし治療が開始された。うち5例(41.7%)は、発熱と頚部リンパ節腫脹のみだった。これら診断基準を満たさない症例では、血液検査に加えて頚部リンパ節の超音波検査がKDの早期診断に有用だった。
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遠隔期川崎病患児を対象とした光散乱法による血小板凝集能の評価
産業医科大学 小児科 ○酒井道生 神薗淳司
宮地良介 佐藤哲司 白幡聡 |
緒論:川崎病の既往が虚血性心疾患発症の危険因子になるか否かは大きな関心事 であり、これまで遠隔期川崎病患児を対象とした様々な形態学的・凝血学的検討
が行われてきた。一方、これまで比濁法で行われてきた血小板凝集能の測定に、 最近、光散乱法が導入され、比濁法では困難であった血小板凝集能の亢進状態を
半定量的に評価することが可能になった。例えば、成人糖尿病患者を対象とした 検討で、光散乱法を用いた血小板自然凝集能亢進と糖尿病合併症発症の間に有意
な相関が認められると報告されている。そこで我々は、遠隔期川崎病患児を対象 として光散乱法による血小板凝集能の評価を行ったので報告する。
対象と方法:遠隔期川崎病患児25例(男10例、女15例)を対象とした。測定 時年齢は2-18歳(中央値9歳)、発症後年数は1-7年(中央値6年)であった。
冠動脈合併症を認めたのは9例(冠動脈瘤4例、冠動脈拡張5例)であったが、 今回測定時点では全例異常所見消退しており、アスピリン等の服薬例はなかった。
安静空腹時に1/10容3.8%クエン酸Na入り容器に血液を採取し、測定装置とし てPA-200を使用し、(1)無刺激(自然凝集)、(2)ADP(2μM)刺激、(3)co-
llagen(1μg/ml)刺激の3種類の血小板凝集能を測定した。
結果は、(1)Smax 20000以上、(2)AUC(S)/(T)<15%またはAUC(L)/(T)>43%、(3)AUC(S)/(T)
<20%またはAUC(L)/(T)>50%、を血小板凝集能亢進状態と判定した。 結果:無刺激下で25例中6例のSmaxが20000以上であった。ADP刺激に対
して亢進を認めた例はなかった(9例測定)。逆にcollagen刺激に対して9例中 7例が亢進を認めた。血小板凝集能と冠合併症既往との関連は明らかでなかった。
考察:冠動脈合併症既往の有無に関わらず遠隔期川崎病患児の血小板は比較的高 頻度に活性化状態にあることが示唆され、その評価に光散乱法による血小板自然
凝集能の測定が有用であると思われた。 |
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川崎病不全型あるいは全身型若年性関節リウマチに続発した血球貪食症候群の一例
神鋼加古川病院 小児科
◯吉田茂、箙ひとみ、今井恵介、三舛信一郎 |
【はじめに】川崎病では、各種サイトカインが高値を示すことが知られているが、今回、我々は、川崎病不全型と考えられた1才男児において経過中に血球貪食症候群(以下HLH)を呈し治療に難渋した例を経験したので報告する。
【症例】1才男児。HLHの家族歴なし。平成12年5月12日より発熱、手足に紅丘疹出現し次第に全身に紅斑が出現。5月17日当科入院時、頚部リンパ節腫脹、手足の硬性浮腫、肝脾腫を認めた。
WBC 14800(N. 69%)、CRP 25.7 mg/dl、ESR 108 mm/1h と著明に炎症反応亢進し、心音はギャロップリズムを認め、Bx-p上CTR
63%と心拡大を呈し、UCG上、大量の心嚢液貯留を認めた。川崎病主要症状4項目および心症状より、川崎病不全型重症例と考え、ウリナスタチン
(以下UTI)+免疫グロブリン大量療法(以下IVIG)を施行した。心症状は改善したが、発熱持続し、第11病日にフェリチン
12000 ng/ml と高値を認め、第18病日より、LDH著明高値、凝固系異常を呈し、骨髄にて血球貪食増を認め、可溶性IL-2レセプター
9200 U/ml、IL-6 37.7 pg/ml、IFNγ 22.0 IU/ml と著明な高サイトカイン血症を認めたため、HLHと診断した。
直ちにプレドニン内服を開始したが改善見られず、第22病日、神戸大学医学部付属病院小児科へ転院し、HLH94治療プロトコールに準じて、デキサメサゾン、シクロスポリンA、VP16の投与にて次第に軽快し、2ヶ月後に退院となった。経過中に手指の膜様落屑は認めなかった。
【結語】本症例は、川崎病不全型あるいは、全身型若年性関節リウマチと考えられる病態からHLHを続発したと考えられた。各種サイトカインの動態や免疫学的検討を加えて報告する。
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川崎病から若年性関節リウマチに移行したと考えられる1例
神戸市立中央市民病院小児科 ○齋藤 潤,宇佐美 郁哉,深谷 隆,
冨田 安彦,久保田 優,西尾 利一 |
| 川崎病の診断基準を満たしたが,ガンマグロブリン(IVGG)が奏功せず,抗炎症薬,抗リウマチ薬の投与で軽快した一例を経験したので,報告する.
症例は11歳の男児.生来著患なし.家族歴に自己免疫疾患なし.発熱,関節痛,咽頭痛,を主訴に,第7病日当科に入院した.入院時,CRP26.7mg/dl,WBC5600/μL,抗核抗体は80倍で陽性であった.入院後不定型発疹,眼球結膜充血,苺舌,頸部リンパ節腫脹,両手関節〜手背・両足関節〜足背の腫張を認め,心エコーで両冠動脈の軽度拡大,心嚢液貯溜,僧帽弁逆流を来していたため,川崎病と診断した.第8病日aspirin15mg/kgを開始し,IVGG1g/kgを投与した.さらに左胸水貯留,呼吸困難,低酸素血症を認め,第10病日,第13病日にそれぞれIVGG1g/kgを追加したが,高熱は持続した.第17病日頃から手指の落屑を認めた.胸水,心嚢液の細胞診,培養(細菌,結核菌)は陰性であった.発熱,CRP高値が続くため,若年性関節リウマチ(JRA)の可能性を考えて第28病日からnaproxen600mg/dayを追加したところ,38℃台に解熱した.第51病日からbucillamine200mg/dayを開始し,増量したところ,
37℃台に解熱し,退院した. 川崎病からJRA(全身型)に移行したものと考えられたが,Yersinia pseudotuberclosis
5b抗体価が320倍(第15病日)→160倍(第40病日)と変動しており,エルシニア感染症の関与も疑われた.
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