BCG接種後、全身の発疹と高熱を認め、冠動脈瘤を合併した1乳児例
田辺中央病院#小児科##皮膚科
○上田育代#、村田美由紀#、角能庸介#、角能尚子#、加藤佳子##
京都府立医科大学小児疾患研究施設内科部門 坂田耕一 濱岡建城
[症例]6ヶ月女児
[現病歴]3月3日BCGワクチンを接種。4月11日より赤色小丘疹が下肢より全身へ広がったため、当院外来を受診した。その時BCGワクチン接種部および周囲の腫脹と発赤を認めた。さらに、4月14日より発熱も認めたため、4月20日精査、加療目的で入院となった。
[入院後経過]発熱と痂皮形成を伴う小丘疹の新生は持続、血液検査上も炎症反応を強く認めた(白血球数16800 /μl、CRP 11 mg/dl )。経過から結核疹を疑いイソニアジドを投与した。その結果、小丘疹の新生は止まったが、依然、発熱は持続した。5月2日、不明熱の精査目的に施行した心エコー検査で、右冠動脈起始部に冠動脈瘤を認めた。そこで、川崎病治療に準じて非ステロイド性抗炎症剤の投与を開始したところ、速やかに解熱し、炎症反応も改善した。しかし、右冠動脈瘤は最大径4.6 mmまで拡大、左冠動脈瘤(最大径4.3 mm)や一過性の僧房弁閉鎖不全症も出現した。両冠動脈瘤は徐々に退縮したが、発症から3ヶ月後の現在も冠動脈病変は残存している。
[考察]BCG接種の副反応は、所属リンパ節腫脹や局所性皮疹、まれに全身性結核疹などがあげられる。しかし、本例では、BCG接種が誘因となり、皮疹だけでなく全身性血管炎が惹起され、その結果として冠動脈瘤を合併したのではないかと推測された。川崎病の成因にBCGの主抗原の一つであるHSP65が関与しているという報告もあり、本例は極めて興味深い症例であると思われた。
巨大冠動脈瘤形成し、アスピリン吸収不良の症例にフロベン投与し、
炎症所見改善した川崎病の例。

東京慈恵会医科大学付属病院小児科 長島達郎 寺野和宏  藤原優子 及川 剛 衛藤義勝
東京慈恵会医科大学付属青戸病院小児科 松原和樹 臼井信男
生来健康な2才9ヶ月の女児。40度台の発熱出現し、川崎病の診断のもと他院にて入院治療行った。第5病日よりγーglobulin、400mg/kg/day、アスピリン50mg/kg/day内服にて治療開始した。第7病日よりウリナスタチン5000単位/kg/回、1日6回を開始。第9病日の心エコー上左冠動脈主幹部に径3.5mmの動脈瘤形成を認め、同日よりγーglobulin、1g/kg/day、2日間投与した。微熱続き、心エコー上冠動脈瘤徐々に増大し、また第16病日再度39度台の発熱認めCRPの再上昇認めたためγーglobulin、1g/kg/day使用した。37度台の発熱続き、CRP陰性化せず、心エコー上さらに冠動脈瘤拡大傾向認めたため、第29病日当院へ転院した。転院後も微熱、炎症所見続き第36病日からγーglobulin、1g/kg/day、2日間投与行った。γーglobulin投与後は一時的に解熱し炎症所見改善するものの、再び微熱、CRP再上昇を来すためアスピリンからフロベン5mg/kg/dayに変更したところ、以降速やかに解熱、CRPは陰性化し、第81病日退院となった。本症例は治療抵抗性の川崎病であるが、アスピリン投与からフロベン投与に変えて経過が良好となった症例である。我々が検索した限りでは本症例のような例は過去に報告がなく、治療抵抗性の川崎病に考慮すべき治療法と考えられる。若干の文献的考察をふまえて報告する。
急性期に一過性の左室ポンプ機能低下と中等度三尖弁閉鎖不全を認めた川崎病の 1例
近畿大学心臓小児科 ○篠原 徹,谷平由布子,福田 毅
 川崎病急性期に一部の症例で一過性の左室ポンプ機能低下が認められることが知られており、我々も第18回本学会でその実態を報告した。一方、急性期の弁閉鎖不全は僧帽弁および大動脈弁が注目されており、三尖弁閉鎖不全の実態ははっきりしない。最近我々は左室ポンプ機能の低下と中等度の三尖弁閉鎖不全を認めた川崎病の1例を経験したので報告する。 症例は6歳4か月の男児。第 5病日に診断基準5/6(確実A)、原田スコア 4点の川崎病として入院し、直ちにガンマ・グロブリンの投与が開始された(250mg/kg×5日間)。第8病日の心エコー検査で明らかなFS値の低下(0.13)と右房後壁に達する三尖弁逆流シグナルが認められた。前者は 2日後には正常化し後者も約 1か月の経過でほぼ消失した。右冠状動脈に軽度の拡大(直径 3.5mm)を認めたがこれも10日間の経過で改善した。罹病後2か月時に行った心筋生検で白血球の浸潤や心筋の委縮〜線維組織への置換など、心筋炎像が認められた。 我々の検討で8%弱の症例にFS値の低下が確認されたが、冠状動脈病変発生との因果関係は認められなかった。FS値の低下は発症年齢が高い症例に多い傾向を示し、本症例も6歳 4か月と発症年齢が高かった。また、本症例ほどの三尖弁逆流を認めた症例の経験は我々になく発症機序が注目された。弁輪の拡大は軽度であり、弁膜炎あるいは心筋炎が逆流発生に関与したものと考えた。心筋炎が今後どのような展開をするのか十分な追跡が必要である。