56.大量γ- グロブリン投与後における冠動脈病変の予知因子の検討
横浜市立大学医学部小児科 森  雅亮,黒沢るみ子,宮前多佳子
今川 智之,安井  清,横田 俊平
【目的】大量γ-グロブリン療法(IVGG)が無効な症例において、より前進的治療を要するかを判別する客観的方法を模索した。
【方法】193例の川崎病患者が対象。一般的な血液・生化学検査所見をIVGG投与前と投与後2,3日で抽出し、各症例において冠動脈病変 (CAL) の出現の有無を後方視的に統計学的手法を用いて検討した。
【結果】対象患者のうち、24例 (12.2%) はCALを有した。検討項目のうち、白血球数はCAL(+)群の87.5%においてIVGG投与後に増加し、また好中球数、CRP値も高い割合で増加がみられた(78.3%, 66.7%)。これに対しCAL(-)群では上記の3項目の増加がみられた例数は各々3, 6, 8例のみであった。
【結論】我々の検討からIVGG前後のWBC、好中球数、CRP値の少なくとも1つの変動でIVGGの有効性を判断でき、それらが更なる前進的治療の必要性を考慮するのに役立つことがわかった。
57.川崎病のグロブリン治療プロトコールの成績
名古屋第二赤十字病院小児科 岩佐 充二,福田  革,吉田 智也
横山 岳彦,安藤恒三郎
 ハイ・リスク児にグロブリン(GG)2g/kg1回投与を始めた94年6月から2001年6月の間に8病日以内に入院した定型例220例を対象とした。ステロイド、ミラクリッドは使用しなかった。
結果:全体でハイ・リスク児は66%、GG使用例は80%で、GG追加は49例であった。
3.0mm以上の冠動脈障害(CAL)は13/220例、30病日でのCALは3例で、すべて一過性であった。ハイ・リスク女児でGG治療をおこなった51例にCAL無し。94年6月から99年6月までのハイ・リスク男児でベニロン使用例は31例(CAL8例)、グロベニン使用例は29例(CAL1例)で有意にグロベニン群にCALが少なかった( p=0.017)。ベニロンを使用しなかった99年7月から2001年 6月までのハイ・リスクGG児のCALは1/41例であった。残りの3例のCALは3.1mm以下の拡張であった。 発熱期間が10日以上の例は99年6月までは20/159例、それ以後は3/61例で、有意に発熱期間が短縮した( Mann Whitney test, p=0.039)。
58.ガンマグロブリン不応の川崎病に対するステロイドパルス療法
東京都立清瀬小児病院循環器科 三浦  大,佐藤 正昭
【背景】ガンマグロブリン療法(IVGG)不応の川崎病の症例に対するステロイドパルス療法(MPT)の適切な使用法や有効性は明らかでない.
【方法】IVGG終了後も発熱が持続しMPT(メチルプレドニゾロン,30 mg/kg/日,1〜3日間投与,ヘパリン併用)を行った川崎病の患児8例(0歳7ヵ月〜7歳6ヵ月;全例男)の臨床所見を調査した. 5例はIVGG(2 g/kg)後(8〜10病日),3例はIVGG追加(計4g/kg)後(8,11,15病日)にMPTを開始した.
【成績】全例,MPT開始後4時間以内に37.5℃未満に解熱した.冠動脈所見は,6例(MPT開始8〜10病日)が正常で,2例(同11,15病日)に拡大を認めた. 1例にMPTの副作用と思われる低体温・顔色不良が生じた.
【考察】IVGG不応の川崎病の症例に対する早期のMPTは,発熱期間を短縮し,冠動脈病変を抑制する可能性がある.
59.川崎病に対するステロイド投与法の再評価
群馬県立小児医療センター循環器科 篠原  真,小林 富男,小林  徹
【はじめに】川崎病に対するステロイド療法の検討は少ない.今回,ステロイドの投与法と臨床所見,冠動脈病変(CAL)との関係について検討した.
【対象と方法】川崎病の診断でプレドニゾロン(PSL)の投与をうけた267例を対象に,CAL(-)とCAL(+)群間での臨床所見,PSLの投与法を比較した.
【結果】1)CAL(+)群はCAL(-)群より,治療開始後解熱するまでの日数,CRP陰性化までの日数は有意に長かった.2)CAL(+)群はCAL(-)群より,CRP陰性化後のPSL投与日数は有意に短かった.3)IVGGにて治療を開始し,不応のため途中からPSLを追加した例は4例中2例にCALを認めた.
【結語】PSLの有効性に関してはprospective studyが必要であるが,PSLの投与は,1)病初期に投与を開始し,2)CRPの陰性化を待ってから漸減し,急に中止しないことが望ましいと考える.
60.重症例に対する血漿交換療法2例での経験
名古屋第二赤十字病院 福田  革,吉田 智也,横山 岳彦
岩佐 充二,安藤恒三郎
 症例1は3歳女児で、3病日近医で薬疹を疑われステロイド静注。発熱の持続・発疹を主訴に6病日入院。主要症状6/6、岩佐のリスクスコアーhighでグロブリン2g/kg開始。8,9病日にそれぞれ1g/kg追加した。所見は改善も解熱せず。冠動脈病変の発生が危惧され10病日からアルブミンによる血漿交換を3日間施行し速やかに改善。
 症例2は8歳男児で、2病日に発熱と頚部リンパ節腫脹を主訴に入院。抗生剤投与無効で、5病日主要症状6/6、スコアーhighとなりグロブリン 2g/kg開始し7病日同量追加。9病日改善無く、血漿交換を開始。解熱までに延べ5日間の施行およびグロブリン1g/kg追加投与を必要とした。症例2で経過中一過性の冠動脈拡張を認めた。
 当院では、8病日以前に4g/kgの投与を必要とし更に解熱しない治療抵抗例に対して血漿交換を考慮するが、その適応と開始時期には更に検討の余地が有ると思われる。