免疫グロブリン治療の代替療法に関するアンケート調査
東邦大学医学部大橋病院病理学講座 直江史郎 高橋 啓 大原関利章
日赤医療センター小児科 薗部友良 原田研介
 昨冬開催された第7回国際川崎病シンポジウムの際に活発な討論がなされた免疫グロブリン療法の代替療法に関して、外国の小児科医から幾つかの問い合わせがあった。本邦における代替療法の概略だけでも知りたいと思い、本シンポに参加した施設にアンケートを郵送にて77施設に依頼し、44名からご回答を頂き、回収率は57%であった。回答して下さった先生方が経験する症例数は年に1000例を越える。
 川崎病と診断されたときの治療の第一選択は圧倒的に免疫グロブリンであったが、第2位にウリナスタチン(UTI)があげられる。ついでNSAIDSで、ステロイドであった。第一選択治療が無効と判断された場合の追加療法には、免疫グロブリンの継続使用に次いでウリナスタチン療法を選択している割合が多い。また、免疫グロブリンとウリナスタチンの併用、次いでウリナスタチン単独投与がなされ、プロテアーゼ阻害剤の使用が予想以上に多い印象を受けた。

キーワード
:免疫グロブリン、代替療法、ウリナスタチン
川崎病の血管透過性とアルブミン補充
千葉大学小児病態学 寺井 勝 安川久美 本田隆文 鈴木一広 東 浩二 河野陽一
【目的】 川崎病(KD)は血管透過性の亢進と浮腫を特徴とする動静脈炎である。心、肺、胆嚢など全身臓器でVEGFが発現し、VEGF陽性の血管周囲には例外なくアルブミンなどの血漿蛋白が漏出し強い浮腫がみられることを報告した。最近の千葉大への紹介例で、ガンマグロブリン(GG)治療不応例を中心に後方視的にアルブミン補充の効果について検討した。
【方法・結果】GG治療にて解熱し冠動脈瘤合併のない50例(A)、GG治療にて解熱しない20例のうち冠動脈瘤合併のある9例(B)、冠動脈瘤合併のない11例(C)に分け検討した。A群に比し、B・C群では血中VEGFが高くアルブミンが低値もB・C間に検査データ上の差はなかった。一方、アルブミン補充がA群0/50、B群5/9、C群0/11に行われていた(p<0.01)。
【結語】アルブミン補充は浮腫を増悪させ、炎症を長引かせる危険がありその適応は慎重に検討すべきである。

キーワード:血管透過性、VEGF、アルブミン
巨大冠動脈瘤に対する抗血栓療法:ワーファリンは有効か?
久留米大学小児科 菅原洋子 石井正浩 江上公康 赤木禎治 加藤裕久 松石豊次郎
【目的】巨大冠状動脈瘤に対するワーファリン(WA)を用いた抗血栓療法の有効性を検討した。
【方法】1973年より当科にて経過観察中の2031例の川崎病患児のうち冠状動脈造影で巨大冠状動脈瘤(8mm以上)と診断した51例(男37例、女14例)、89枝を、WA投与群;17例29枝、WA非投与群;34例60枝の2群に分けた。全例、アスピリン内服を併用した。WA投与量はトロンボテスト20-40%もしくはINR1.5-2.5になるように決定した。
【結果】心筋梗塞の発症率は、WA非投与群60枝中15枝(25%) に対し、WA投与群29枝中2枝(6.8%) と、WA投与群が有意に少なかった(p<0.05)。狭窄及び閉塞に関しては、投与群11枝(37.9%)、非投与群28枝(46.6%)と両群間では差がなかった。WA投与群では突然死した例はなかったが、WA非投与群では突然死した例が1例みられた。
【結語】
巨大冠状動脈瘤に対するWA投与は、心筋梗塞の予防に有効である。

キーワード:心筋梗塞、ワーファリン、血栓