川崎病既往者における動脈硬化関連遺伝子多型の検討
| 日本医科大学小児科 上砂光裕 深澤隆治 勝部康弘 大久保隆志 池上 英 小川俊一 |
【目的】川崎病既往者における動脈硬化関連遺伝子の多型を検討し、動脈硬化の予知、予防の有効性を検討する。
【方法】日本人川崎病既往者238例を対象とし、対照は日本人健常者32例。川崎病既往者を、非虚血群(205例)、虚血群(32例)に分類し、動脈硬化関連遺伝子であるMatrix
Metalloprotease‐9(MMP-9)、メチレン葉酸還元酵素(MTHFR)、Human Paroxonase
(PON6)それぞれの遺伝子多型を検出、対照ならびに各群間で比較検討した。
【成績】MMP-9、MTHFR、PON6それぞれの遺伝子多型は、健常群で15、24、35例、虚血群で5、24、30例、非虚血群で69、138、182例であった。検討した遺伝子多型と川崎病発症及び心筋虚血出現の関連は有意ではなかった。
【結論】動脈硬化関連遺伝子多型の検討は川崎病長期管理の上で動脈硬化発症の予知、予防に有用である。
キーワード:遺伝子多型、動脈硬化、長期管理 |
|
|
cDNA発現クローニング法による川崎病病態関連因子の検討
山口大学医学部小児科学講座 金子美保 松原知代 古川 漸
岡山大学大学院医歯学総合研究科免疫学 小野俊朗 中山睿一 |
川崎病の発症機構及びその病態に関する免疫学的な要因を明らかにするために、ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)由来cDNAライブラリーと正常ヒト心筋ライブラリーをそれぞれ川崎病患者血清でスクリーニングした。HUVECライブラリーにおいて4例のKD患者血清から48個の遺伝子を同定した。その中には抗原処理や細胞骨格に関する複数の細胞内蛋白をコードする遺伝子が認められた。それらのうちtropomyosinとenolaseは異なるKD患者血清で同時に単離された。蛋白として既に報告されている26個について6例の正常児血清と反応させたところ、全てに陰性だったものはなかったが、1例だけに反応したものは5個認められた。さらに正常ヒト心筋ライブラリーを2例のKD患者血清でスクリーニングして、8個の遺伝子を同定した。これらの塩基配列を解析したところ、現在までに登録されている遺伝子と一致するものはなかった。
キーワード:発現クローニング法、抗体、cDNAライブラリー |
|
|
川崎病類似動脈炎モデルにおける冠状動脈炎関連遺伝子の染色体マッピング
東邦大学医学部付属大橋病院病院病理学講座 大原関利章 直江史郎 高橋 啓
国立感染症研究所遺伝子資源室 亀岡洋祐
国立感染症研究所細菌部 倉 文明
国立感染症研究所生物活性物質部生体防御物質室 鈴木和男 |
【背景・目的】我々は、川崎病患児由来カンジダ菌体抽出物を用いて川崎病類似動脈炎作製実験を続けている。本モデルでは、マウス系統による冠状動脈炎発生率の差異がみられ、C3H/HeNでは高く、CBA/JNでは低い。C3H/HeNには、冠状動脈炎誘導遺伝子が存在するとの仮定のもと本遺伝子の染色体マッピングを行った。
【材料・方法】 N1[(CBA/JN x C3H/HeN)xC3H/HeN] (n=115)を作製し、これらを本モデルに応用した。組織学的に冠状動脈炎の有無を確認する一方で、系統間で較差を示す染色体マーカーを用い、C3Hヘテロに対するホモのリスクを計算した。
【結果】異なる2個の染色体上に高オッズ比を示す領域が認められ、これらと別の染色体上に低オッズ比の領域が見られた。
【考察】冠状動脈炎発生に関連する複数の誘導遺伝子と抑制遺伝子の存在が示唆された。
研究協力者:山田仁美。
キーワード:染色体マッピング、遺伝子、動物モデル |
|
|
川崎病急性期の末梢血単核球における遺伝子発現の網羅的解析
国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部 阿部 淳 中島 敏治 斎藤 博久
都立八王子小児病院 野間 清司
千葉大小児病態学 寺井 勝 |
【目的】川崎病急性期の炎症反応において機能する遺伝子群を同定することを目的として、DNA-Chipによる解析を行った。
【方法】急性期の患者5名の末梢血単核球からRNAを抽出し、Affymetrix社のGeneChipを用いて発現量を測定した。ハウスキーピング遺伝子の発現量を基準として標準化し、健常成人6名の対照群と比較して2.0倍以上の遺伝子を抽出した。
【結果】急性期に発現が増加した遺伝子が94個見出された。IL-1B・IL-6・IL-8・MIP-1A・CCR1・CCR2などの炎症性サイトカイン、ケモカインおよびレセプターの発現が高い一方で、CD69・ICOSなどの細胞活性化マーカーの発現が亢進していた。また、エンドセリンやアドレノメデュリン・MMP9・SODなどのエフェクター分子の発現が高かった。
【結論】DNA-Chipによる遺伝子発現の解析は、川崎病の病態の把握に有用である。今後、炎症の制御機構の解析に活用したい。
キーワード:炎症性サイトカイン、ケモカイン、DNA-Chip |
|
|
 |