免疫グロブリン製剤の抗炎症作用-NF-kappaB活性化抑制作用-
山口大学小児科 市山高志 伊住浩史 藤原元紀 松原知代 古川 漸
 川崎病におけるIVIGの作用機序を解明するため、培養細胞を用いてNF-kappaB活性化に対するIVIGの抑制効果を検討した。ヒト単球系細胞(U-937)、ヒトTリンパ球系細胞(Jurkat)、ヒト正常冠動脈血管内皮細胞(CAEC)を用いて、TNF-alpha、リポ多糖体(LPS)、staphylococcalenterotoxinA(SEA)刺激によるNF-kappaB活性化に対するIVIGの抑制作用をウェスタンブロット法とフローサイトメトリー法により検討した。さらにTNF-alpha、LPS、SEA刺激によるIL-6産生に対するIVIGの抑制作用をELISA法で検討した。3種類の細胞においてIVIGはNF-kappaB活性化を抑制した。IVIGのNF-kappaB活性化抑制効果はJurkatに比しU-937でより強くみられた。CAECにおいてIL-6産生はIVIGで有意に抑制された。IVIGはNF-kappaB活性化を阻害し炎症性サイトカイン産生を抑制することにより抗炎症作用を示すことが示唆された。

キーワード:免疫グロブリン製剤、抗炎症作用、NF-kappaB
川崎病急性期における血漿一酸化窒素代謝物の検討
関西医科大学小児科 池本裕実子 寺口正之 小林陽之助
済生会泉尾病院小児科 小野 厚
中野こども病院 木野 稔
関西医科大学香里病院 吉村 健
【目的】川崎病急性期における血漿中一酸化窒素代謝物 (NOx)の変化からNOxが冠動脈病変(CAL)の予測因子との予測因子となるかどうかを検討する。
【方法】対象は3か月〜6歳の川崎病罹患児30名で、発症第1週(治療開始前)、第2、3、4週および2か月後と経時的に採血し、血漿中NOxをHPLC法により測定した。20名の健常児を対照とした。
【結果】CAL有群(11名)とCAL無群(19名)の双方でNOxは第1週から第3週にかけて著明に増加しその後漸減したが、2か月後でも対照に比し高値が持続していた。ピーク値はCAL有群56.9±23.8、CAL無群68.2±33.8μmol/lであり、CAL無群の方が高値であった。
【結論】NOxの変化は、白血球数やCRPの変化とは並行せず、冠動脈拡大や血小板増多の出現時期にピークを示しCALの予測因子とはなりにくい。NO産生は血管炎の重症度に比例せず、むしろ血管炎の終息機転・血栓阻止などに関与している可能性がある。

キーワード:一酸化窒素、冠動脈病変、血管炎
瘤非形成冠状動脈における内膜肥厚進展の可能性について
東邦大学大橋病院病理学講座 高橋 啓 大原関利章 直江史郎 山田仁美 横内 幸 若山 恵
 瘤形成のない冠状動脈が狭窄病変へと進展する可能性について病理組織学的に検討した。
材料と方法:40病日以降に死亡した7剖検例を対象とし、冠状動脈標本に対して特に内膜の構成成分を観察した。検索症例については増殖因子(PDGF-A, TGF-b, VEGF)に対する抗体を用いた免疫組織学的検索を加えた。
結果:7例中5例でかつて血管炎が存在したことを示唆し得る全周性の内膜肥厚、中膜の菲薄化、内弾性板の伸展・断裂が認められた。しかし、2例は対照と比較して目立たない程度の内膜肥厚のみであった。免疫組織学的に、PDGF-Aは発症後1年前後迄の症例の内膜、中膜平滑筋細胞に一部陽性を示したが、以降は対照と同様であった。TGF-bは川崎病、対照とも全体に陰性を示した。一方、VEGFは川崎病・対照ともに内皮細胞、平滑筋細胞に陽性を示す傾向にあった。
考察:動脈瘤を確認出来なかった症例の冠状動脈は罹患後数年を経過すると対照と同様の構造を示すようになり、狭窄性病変へと進展していく可能性は低いように思われた。

キーワード:内膜肥厚、遠隔期、非動脈瘤