全国調査で報告された治療が遅れた症例に関する検討
聖マリア病院小児科 古井 潤
久留米大学小児科 牟田広実 石井正浩 赤木禎治 松石豊次郎
自治医科大学公衆衛生学 中村好一
【背景】我々は、早期に初診しても、ガンマグロブリン(GG)開始が8病日以降では高率に心障害を残すことを報告した(2002 日小循総会)。しかし、早期診断できていれば予防できた可能性がある。本研究の目的は、早期初診患者の治療遅延に関する要因の検討を行うことである。
【方法】対象は、第16回全国調査で、3病日以内に初診したが、GG開始日が8病日以降であった173例。これらについて、報告施設および患者の特性について調査した。
【結果】男女比は2.09と男が多かった。年齢は2.8±2.5歳であり、6歳以上の年長例が11.6%と多かった。診断では不定型例が15.6%、容疑例が24.3%と多かった。再発例が6.9%と多かった。急性期心障害は34.1%、心後遺症は9.2%(巨大瘤なし、瘤4.6%, 拡大4.6%)にみられた。報告施設の平均報告患者数は23.3人であり、診療経験不足が主な原因とは考えにくかった。
【結語】今後これらの症例について、2次調査を予定しており、ご協力をおねがいします。

キーワード
:全国調査、冠動脈瘤、早期初診
川崎病死亡例の研究 −1972年〜1998年の人口動態統計をもとに−
自治医大公衆衛生学 早坂信哉 中村好一 大木いずみ
千葉大学医学部小児科学 寺井 勝
埼玉県立大学 柳川 洋
目的】 川崎病について、1979年、1982年、1985〜1986年の全国規模での流行期も含めた死亡率や致命率を人口動態統計を用いて明らかにする。
【対象・方法】 対象:1972年〜1998年の人口動態調査で原死因が川崎病である者で1962年以降に生まれた者。 方法:1972年〜1998年の人口動態調査死亡票から性別、生年月日、死亡年月日、住所地などの情報を入手して観察し、死亡率を求め、さらに全国調査の結果を用いて致命率を求めた。
【結果】 解析の対象となった川崎病の死亡者は男458名、女221名の合計679名であった。死亡者数の性比は2.07であった。死亡時月齢(平均±標準偏差)は、男48.3±66.4月、女30.0±40.3月で、男が統計学的有意に高月齢であった(p<0.001)。流行年で年次別死亡率は高い傾向にあったが、出生年別致命率は年々減少しており、流行年で高い傾向は見られなかった。

キーワード:人口動態調査、死亡率、致命率
川崎病巨大冠動脈瘤の症例対照研究:第15回、第16回全国調査データから
自治医科大学公衆衛生学教室 中村好一 屋代真弓 上原里程 早坂信哉 大木いずみ
埼玉県立大学 柳川 洋
【目的】川崎病による巨大冠動脈瘤の危険因子を症例対照研究で明らかにする。
【方法】第15回、第16回の川崎病全国調査で報告された巨大艦動脈瘤患者のうち、第9病日までに報告病院を受診した患者を症例とした。同一医療機関から報告された第9病日までの初診患者全てを対照とし、全国調査で報告された項目についてロジスティックモデルを用いてodds比を観察した。
【結果】観察した4年間で105例の症例と2,936例の対照が選択された。男(2.27[1.42-3.65]:odds比と95%信頼区間)、乳児例(1.87[1.18-2.96]/1-2歳)、1〜3病日の初診(2.08[1.35-3.32]/4〜6病日の初診)、初診時のGPT(ALT)高値(1.02[1.00-1.03]:10IU/dLの上昇)がリスクを上昇させ、容疑例(0.15[0.04-0.61]/確実A)、初診時ヘモグロビン低値(0.73[0.54-0.99]:1mg/dL上昇)、初診時Na低値(0.80[0.72-0.89]:1mEq/dL上勝w)此法IVGG短期投与(0.18[0.09-0.39])がリスクを低下させていた。

キーワード:巨大冠動脈瘤、症例対照研究、全国調査
厚生労働省 川崎病の発生実態及び長期予後に関する疫学的研究
―最近の全国調査にみる死亡例の状況

日本大学医学部小児科 金丸 浩 鮎沢 衛 宮下理夫 唐澤賢祐 原田研介
埼玉県立大学 柳川 洋
【目的】現在では川崎病の死亡率は年々減少しているが、同時に最近の死亡例にはどのような特徴があるか検討することは重要である。
【方法】
平成7〜12年に行われた第14〜16回の川崎病全国調査に報告された延べ40,811例の川崎病発症者中、各調査期間中に死亡したと報告された29例について報告内容をまとめた。
【成績】死亡率は0.071%であった。男女比22:7、初診時年齢平均14.1か月で、診断の確実度は確実Aが22例、確実Bが4例、容疑例が3例であった。再発例3例。初診病日は平均3.90日。IVIGは24例に行われ、追加投与が11例に行われた。心合併症が死因と考えられた例は14例、心臓合併症以外の死因が12例、SIDSに類する状況が3例あった。剖検率は29例中9例で31.0%であった。
【結論】初期に比べ死亡率は激減し、心臓合併症が死因になった割合は減少した。最近の死亡例には、以前の調査には現れなかった危険因子を明らかにできる可能性があり、追加調査が望まれる。

キーワード:死亡例、予後、心合併症