川崎病不全型の臨床的検討:〜過去13年間の経験〜
社会保険広島市民病院小児科 木口久子 鎌田政博 木村健秀 岡崎富男
 川崎病不全型では、不定形と異なり冠動脈の有意な変化は稀で、中等度以上の冠動脈瘤を合併する頻度は0.5%といわれる。また、中等度以上の冠動脈瘤合併例のうち、発熱期間が4日以下であった症例は1%に過ぎなかったとの報告もある。さらに、原田のスコアが3以下であった症例における中等度以上の冠動脈瘤の形成は極めて稀といわれている。最近我々はγグロブリンを使用せず、病初期よりウリナスタチンを投与、38℃以上の発熱は1日、CRP最高値1.9mg/dl、臨床症状も速やかな改善をしたにもかかわらず、中等度の冠動脈瘤を合併した8カ月の川崎病不全型男児例を経験した。今回はこの経験をもとに、過去10年間に経験した不全型川崎病75例(男38例、女37例、月齢24.5±21.3-107、冠動脈瘤合併3.7%)における問題点に関して検討し報告する。

キーワード:川崎病不全型、冠動脈瘤、原田のスコア
第16回川崎病全国調査成績よりみた
川崎病容疑例および4主要症状以下例の冠動脈障害

日本赤十字社医療センター小児科 薗部友良 土屋恵司 今田義夫 麻生誠二郎
京都第2赤十字病院小児科 清沢伸幸
自治医大公衆衛生学 屋代真弓 中村好一
埼玉県立大 柳川 洋
【目的と方法】川崎病容疑例や冠動脈障害の有無にかかわらない4主要症状以下例(確実Bと容疑例を合わせた例)の冠動脈障害出現頻度などに関心が持たれているので、第16回全国調査成績を用いてこれらを解析した。
【成績】総数15,314例中、確実Aは82.1%、確実Bは4.1%、容疑例は13.8%であった。4主要症状以下の例は17.9%であり、第15回の15%に比して上昇していた。急性期の冠動脈障害発生頻度は、全体が16.9%、確実Aは16.5%、確実Bは63.2%、容疑例は5.5%であり、総確実例は18.7%、4主要症状以下の例は18.6%であった。後遺症期においても同様の傾向が見られた。
【結論】今回も4主要症状以下例の冠動脈障害発生頻度は確実例と差がなかった。しかし詳細な2次調査を現在一部地域で実施中であるので、その結果が判明するまで今回の結果の解釈は慎重であるべきと思われる。

キーワード:川崎病全国調査、川崎病不全型、冠動脈障害発生頻度
川崎病定型例、非定型例、疑診例のグロブリン投与と冠動脈病変の検討
名古屋第二赤十字病院小児科 福田 革 横地真樹 佐野洋史 岩佐充二 安藤恒三郎
 定型例、非定型例、疑診例について、グロブリン(GG)投与、冠動脈病変(CAL)について検討した。1994.6.1より2002.5.31の8病日以内の急性期入院例313例を対象として検討した。厚生省の診断基準第4版に基づく徴候による内訳は、定型例(6/6+5/6)271例、4/6+CAL定型例3例、4/6非定型例29例、疑診例10例であった。GG投与の頻度は、各々82%(221/271)、100%(3/3)、41%(12/29)、10%(1/10)であった。CALの頻度は、各々9%(25/271)、100%(3/3)、0%(0/29)、0%(0/10)であった。
結果:必ずしも非定型例・疑診例でCALが多くは無かった。

キーワード:非定型例、疑診例、冠動脈病変
川崎病免疫グロブリン療法における早期投与開始症例の背景分析
−第16回全国調査、第2〜4病日投与開始群vs第5〜7病日投与開始群−

関西医科大学附属洛西ニュータウン病院小児科 荻野廣太郎 岡本真道 藤原 亨
自治医科大学公衆衛生学 中村好一 屋代真弓
埼玉県立大学 柳川 洋
【目的】第2〜4病日投与開始群(早期群)では第5〜7病日投与開始群(通常群)に比してCALの頻度は有意に高値で、用量依存性もなかった。その理由を知るために両群の背景を分析した。
【対象・方法】第16回調査で報告された症例のうち重複例を一本化した後、免疫グロブリンの初回投与量と投与開始病日とが記載された12,893例を対象とした。本研究では急性期と後遺症期の冠動脈障害を一本化して拡大以上の障害と死亡との頻度を検討した。
【結果】CAL+死亡頻度:早期群6.63%、通常群4.74%、p<0.0001。性別分布(男vs女):早期群31.5%vs29.2%、通常群59.9%vs62.8%。両群の初回投与量分布に明らかな差はなかった。追加投与率:早期群17.1%、通常群8.9%。発症時年齢分布(早期群vs通常群):0〜5か月15.5%vs8.0%、6〜11か月19.2%vs15.8%、1〜3歳52.4%vs57.1%、4歳以上12.9%vs19.2%。
【結語】早期群では重症化の要因が多く認められた。この群の治療戦略の確立が急がれる。

キーワード:免疫グロブリン療法、早期投与開始症例、冠動脈障害