冠動脈造影検査にて微小循環障害が疑われ、
部分心筋予備血流量比(FFRmyo)の低下を認めた川崎病の1例

日本医科大学小児科 大久保隆志 深澤隆治 上砂光裕 渡邉美紀 小川俊一
【症例】6歳10カ月男児。平成14年3月、川崎病に罹患、第9病日よりγグロブリン大量療法(400mg/kgx5日間)を施行。治療後、臨床症状は速やかに改善するも、心エコー検査にて左冠動脈seg6に拡張像を認め、発症より約4カ月後に選択的冠動脈造影を行った。造影上、左冠動脈seg7に3.8x4.6mm、seg8に4.0x14.0mm、右冠動脈seg2に3.6x5.8mmの瘤の形成を認めたが、有意な狭窄所見は認めなかった。しかし、右冠動脈造影にて、心筋層への造影剤の異常灌流像を認めた。同時に施行した冠動脈内圧測定にて、右冠動脈seg2で一過性の冠動脈内圧低下を認め、FFRmyoは0.37と低下、冠予備能の低下が示唆された。
【結語】形態上有意な冠動脈狭窄を認めないにも拘わらず心筋での微小循環障害に伴い冠予備能が低下したと思われる1例を経験した。

キーワード
:微小循環障害、部分心筋予備血流量比(FFRmyo)、冠動脈造影
川崎病右冠動脈狭窄に2本のステントを留置した1例
順天堂大学小児科 榊原オト 秋元かつみ 織田久之 稀代雅彦 大久保又一 山城雄一郎
 急性期に両側冠動脈瘤を認める8歳男児。半年後の造影で右冠動脈(RCA)に6.4mmの瘤を認め、2年半後の造影ではRCAseg.1-2に紡錘状の瘤と90%狭窄を認めた。負荷心筋シンチで欠損像を認めず症状もなかったが、PTCAを施行。直後のIVUSで血管壁の解離と思われる内膜の内腔への突出を認めたためその後にステントを留置した。半年後の再造影にてステント遠位側の完全閉塞が確認され同時に左冠動脈(LCA)からの側副血行路の発達が確認された。留置より短期間での閉塞で再開通が望めること、左冠動脈瘤が存在し狭窄性病変への進行が危惧されることより2本目のステントを初回ステントのさらに末梢に留置した。これにより再開通が確認されたが、その後の5ヵ月後の造影にてステント間の再狭窄が確認された。本症例は冠動脈解離のためやむなく8歳でステント留置を施行した。血管径のサイズが小さく成長段階である小児にステント留置することは再狭窄のリスクや外科治療の障害など考慮されるべき問題を含んでいる。

キーワード:川崎病、冠動脈瘤、ステント
閉塞した内胸動脈グラフトが術後遠隔期に開通した川崎病冠動脈障害の2例
国立循環器病センター小児科 藤田秀樹 津田悦子 黒嵜健一 越後茂之
国立循環器病センター心臓血管外科 八木原俊克 北村惣一郎
【症例1】 4歳で川崎病に罹患。下壁梗塞の既往と繰り返す狭心発作があり、左冠動脈瘤内血栓の溶解療法を試みたが血栓出現を繰り返し、5歳時に左内胸動脈を用いCABGを施行。術後グラフト血流は認められなかったが、術後10年で左前下行枝の完全閉塞に伴いグラフトからの血流が認められた。
【症例2】 1歳で川崎病に罹患。右冠動脈セグメント狭窄と左冠動脈瘤、左前下行枝の閉塞があり、6歳時に右内胸動脈-右冠動脈、左内胸動脈-左前下行枝のCABGを施行。1か月後右冠動脈との吻合部に75%、左前下行枝との吻合部に90%狭窄を認め、術後1年では左前下行枝との吻合部は99%狭窄で、左前下行枝は右冠動脈の側副血管から描出されていた。術後5年では吻合部狭窄は改善し、トレッドミル検査、RI心筋イメージングで虚血所見は改善した。 一旦閉塞したにもかかわらず、術後遠隔期に機能したことはviableグラフトの特性として興味深い。

キーワード:内胸動脈グラフト、CABG、冠動脈障害