核磁気共鳴画像(MRI, Black-Blood法)による川崎病冠動脈病変の組織性状評価
京都府立医科大学附属病院小児疾患研究施設内科部門
  川北あゆみ 坂田耕一 小澤誠一郎 浜岡建城
大津市民病院小児循環器科 早野尚志
京都府立医科大学附属病院放射線科 伊藤博敏
【背景】川崎病冠動脈病変(CAL)の形態・組織性状評価にはこれまで冠動脈造影、血管内エコー(IVUS)など侵襲的検査を必要としてきた。今回、MRIとIVUS所見を対比することによりCALの組織性状について考察する症例を得たので報告する。
【症例】11才、男児。2才11か月時発症、経過中にAHA#6の巨大瘤内に血栓を認め、現在抗血小板療法下に経過観察中。
【検査所見】MRI:#6に著明な壁肥厚を伴う動脈瘤が描出された。肥厚壁の性状はlow intensity areaとhigh intensity areaが混在する不均一なものであった。又、内腔面の一部にもhigh intensityな構造物が認められた。IVUSとの対比からこれらは内膜肥厚および石灰化を伴った器質化陳旧性血栓と考えられた。
【結語】Black-Blood-MRIを用いることによりCALの形態及び血管壁性状の評価が行える可能性が示された。

キーワード:川崎病冠動脈病変、血管壁組織性状、MRI
心筋perfusion MRIによる川崎病における心筋虚血の評価
倉敷中央病院 心臓病センター小児科 脇 研自 吉村真一郎 新垣義夫 馬場 清
【目的】心筋perfusion MRIを用いて川崎病冠動脈病変による心筋虚血・バイアビリティーの評価を行う。
【症例】生後8か月の女児。生後5か月で川崎病を発症。発症後3ヶ月での冠動脈造影で両側に巨大冠動脈瘤を認め、LADのperfusion delayが認められた。狭窄病変は認められなかった
【方法】MRI装置はPhilips社製Gyroscan 1.5T Masterで、Gd-DTPA1.5mlを急速静注し左室短軸像でまず心筋ファーストパスの動態を観察し心筋血流分布の評価を、引き続き遅延相において心筋遅延造影の有無の評価を行った。
【結果】左室前壁および後壁に心筋虚血様の低信号域が造影剤ファーストパス通過中に認められ、遅延相において同領域に一致して遅延造影が認められた。同時期に施行したRI心筋イメージング(安静時)ではPDは認められなかった。
【結論】心筋perfusionMRIは川崎病の心筋虚血の評価に有用で、RI心筋イメージングに比し検出感度が優れている可能性がある。

キーワード:MRI、心筋虚血、川崎病
遠隔期川崎病重症冠動脈障害における心機能評価
日本大学小児科 唐澤賢祐 宮下理夫 鮎沢 衛 住友直方 岡田知雄 原田研介
 遠隔期の川崎病冠動脈障害例の心機能評価について、心電図同期心筋SPECTを用いて検討した。対象は心電図同期心筋SPECTを行った50例で、左冠動脈狭窄5例、右冠動脈狭窄13例、多枝病変12例、有意狭窄無し(対照群)20例である。心電図同期心筋SPECTは負荷時に99mTc- tetrofosminを静注し30–60分後に撮像し、3次元自動解析(QGS)を行った。QGSによる左室駆出率(%)は、左冠動脈狭窄65.6±6.3、右冠動脈狭窄64.5±7.8、多枝病変59.8±7.5、対照群70.7±9.2であった。対照群に比べ多枝病変(p<0.01)、右冠動脈病変(p<0.05)で有意に低下した。また、心筋SPECTにおける灌流低下の重症度評価(severity score)と左室駆出率の相関係数は0.528であった(p<0.0001)。遠隔期の川崎病冠動脈障害における心機能は、冠動脈病変の進展とともに低下することが示唆された。

キーワード
:冠動脈障害、心筋SPECT、心機能
カラードプラ法カラー輝度を利用した左右冠動脈冠予備能の簡易計測
日本大学医学部小児科 能登信孝 宮下理夫 金丸 浩 唐沢賢祐 鮎沢 衛 原田研介
 カラードプラ法カラー輝度を利用して左右冠動脈冠予備能(CFR)の計測を試みた。対象は経胸壁パルスドプラ法で左右CFRを計測できた8例(平均16.5歳、左瘤6右瘤2)である。四腔断面を中心とした心尖部領域のカラーフローマッピングから末梢左右冠動脈血流(線または円形)を捕らえ、color velocity表示により角度補正なしに最大輝度部分の平均流速を計測した。さらにATP負荷(150mg/kg/min 6分間)による最大冠拡充時と安静時平均流速比からCFRを計測し、同時にパルスドプラー法(角度補正済み)で計測したCFRと比較した。両法でのCFRは極めて近似(r=0.86 p<.001 SE=0.16)していたが、カラー輝度法で若干過大評価した。カラー輝度法を利用したCFRは流速比のため角度補正や絶対値の必要がなく、僅かなカラー信号が得られさえすれば計測できる簡便な方法である。

キーワード:冠予備能、カラードプラ法、パルスドプラ法