川崎病の免疫応答 -新しい免疫学的手法を用いて-
山口大学医学部生殖・発達・感染医科学講座 小児科学 古川 漸
川崎病の末梢血モノサイト/マクロファージ、Tリンパ球の免疫応答およびヒト免疫グロブリン製剤(IVGG)の作用機序について教室の最近の研究を紹介する。さらにserological analysis of antigens by recombinant expression cloning (SEREX)法を応用し、ヒト臍帯血管内皮細胞由来の自己抗原についても述べる。
1 末梢血モノサイト/マクロファージの強い活性化
急性期のCD14+モノサイト/マクロファージの免疫電顕所見は、モノサイトとマクロファージの混在を示した。末梢血中でモノサイトからマクロファージへの成熟がおこっていると考えられる。炎症に関与するサブポピュレーションであるCD14+CD16+モノサイト/マクロファージは増加しており、その増加は重症度と相関した。 炎症性サイトカイン、ケモカインおよび接着分子の発現・産生には、遺伝子からmRNAへの転写が必要である。この細胞内シグナル伝達の制御に転写因子NF-kBが関与している。急性期のモノサイト/マクロファージにおけるNF-kB活性化はTリンパ球に比し顕著で、IVGG投与により抑制された。
2 末梢血Tリンパ球の弱い活性化
急性期にIFN-g産生CD3+Tリンパ球の減少がみられ、Th1タイプTリンパ球の免疫不応答が示唆された。CTLA-4 (CD152)は、CD28と同一のリガンドに結合しTリンパ球の活性化を抑制する分子である。約半数例でCD3+およびCD4+Tリンパ球内CTLA-4の活性化がみられたが、伝染性単核症に比し約1/4程度だった。
3 IVGGの抗炎症作用
IVGGの抗炎症作用について、ヒト血管内皮細胞、単球系細胞(U-937)、T細胞(Jurkat)を用いてNF-kBの面から検討した。IVGGはU-937細胞およびヒト血管内皮細胞でより強くTNF-aによるNF-kB活性化を抑制した。
4 SEREXによる抗原解析
患児血清と反応した血管内皮細胞由来の抗原として、抗原処理に関与するユビキチン、細胞骨格蛋白であるトロポミオシンなどが検出された。現在末梢血モノサイト/マクロファージにおけるユビキチンの動態について検討中である。