川崎病冠動脈瘤組織の特徴的老化・加齢所見の検討
日本医科大学小児科: ○深澤隆治、渡邊美紀、池上 英、内木場庸子、小川俊一
日本医科大学胸部外科: 落 雅美
(背景・目的)成人においては動脈内皮細胞のX-Gal染色が動脈硬化病変を含む加齢・老化現象を証明する手段として確立されている。今回我々は老化に伴う特徴が、川崎病後の冠動脈瘤組織において認められるかどうかを検討した。
(方法・結果)Coronary artery bypass graft (CABG)が適応となった川崎病既往児で、巨大冠動脈瘤を有し、かつ冠動脈瘤縫縮術が適応となった3例(3,5,11歳)について、摘出された冠動脈瘤組織を検体としてX-Gal染色を施行し組織老化現象の有無を検討した。さらに、その他の老化の特徴であるICAM-1の発現増加やeNOSの発現低下の有無を検討した。コントロールとしては、成人(58,67,71歳)のCABG時にtrimmingされる内胸動脈を用いた。川崎病患児の冠動脈瘤組織では成人の内胸動脈に比べても、強いX-Gal染色とICAM-1発現亢進、eNOS発現の低下が認められ、老化の特徴が著明となっていた。
(結語)川崎病の冠動脈瘤では、若年であっても加齢・老化の特徴が進行していることが証明され、動脈硬化の早期進展も危惧された。

キーワード: 冠動脈瘤 X-Gal染色 老化
川崎病遠隔期の冠動脈病変と不安定プラーク

大阪市立大学大学院 医学研究科 病理病態学: ○白井伸幸、上田真喜子
大阪医科大学 第一内科: 根来伸行
三重大学医学部 小児科: 三谷義英
千葉大学大学院医学研究院 小児病態学: 寺井 勝
山田赤十字病院 循環器科: 西川英朗

(背景)川崎病が発見されてから約30年経過した。川崎病による血管炎を起こした冠動脈病変が動脈硬化性病変、さらには不安定プラークに移行するか否かは未だ不明である。
(方法)症例は川崎病の既往を持ち、剖検を行った1歳6ヶ月から15歳までの小児4例(罹患後1年4ヶ月から10年)と、川崎病罹患から30年後に不安定狭心症を発症し、冠動脈アテレクトミー(DCA)を施行した32歳男性。これらの症例から得られた冠動脈標本の連続切片を免疫組織化学的に解析した。
(結果)すべての冠動脈病変部でびまん性の内膜肥厚が認められた。発症後5年以上の例では平滑筋細胞の脱分化を伴う動脈硬化性病変が認められ、一部では血栓形成と炎症細胞の浸潤も見られた。DCA標本では、マクロファージの集積を伴う不安定プラークが見られた。
(結語)川崎病患者の冠動脈病変は、動脈硬化性プラーク、さらには不安定プラークに移行する可能性のあることが示唆された。

キーワード: 不安定プラーク 動脈硬化 冠動脈
急性期の冠動脈径による狭窄性病変の出現頻度について

国立環器病センター小児科: ○津田悦子、井埜晴義、廣田正志、黒崎健一、越後茂之

(目的)川崎病冠動脈障害において、急性期の冠動脈径による狭窄性病変の出現頻度について検討した。また、狭窄性病変をきたしうる冠動脈径の危険域について検討した。
(対象、方法)対象は川崎病に罹患し発症後100日以内に選択的冠動脈造影(CAG)が施行され、その後遠隔期にフォローアップのCAGが施行された190例(男142 女48)である。初回CAGにおいて、右冠動脈、左前下行枝、左回旋枝の最大冠動脈径を測定した (Branch群)。最大冠動脈径によって、S (4mm以上6mm未満)、M (6mm以上8mm未満)、L (8mm以上)に分けた。それぞれ、S群77、M群 85、L群121であった。遠隔期のCAGにおいて冠動脈枝における狭窄性病変の出現頻度について検討した。遠隔期のCAGは発症後1年、その後は冠動脈障害があれば3-5年間隔で施行した。L群においては、冠動脈瘤が退縮しても、10年以上経過した時点でCAGを施行した。狭窄性病変は、25%以上の局所性狭窄、閉塞、セグメント狭窄とし、狭窄性病変の出現をendpointとし、Kaplan-Meier法で検討した。川崎病発症年齢は平均33月で、初回CAGから最新のCAGまでの平均期間は97±72月であった。
(結果)Branch群の狭窄性病変の出現頻度は、発症から5年、10年、15年では、L群44%、62%、74%、M群6%、20%、58%で、S群において狭窄性病変の出現はみられなかった。
(結論)狭窄性病変をきたしうる冠動脈径の危険域は6mm以上である。

キーワード: 川崎病 冠動脈瘤 狭窄性病変