アンケート調査からみた川崎病罹患児に対する抗血栓療法の現況
産業医科大学小児科:○酒井道生、白幡 聡
日本川崎病研究会運営委員を主な対象として、川崎病罹患児に対する抗血栓療法の現状をアンケート調査した。31名にアンケート用紙を送付し22名から有効回答を得た(回収率71.0%)。冠動脈拡大性病変例と巨大瘤以外の冠動脈瘤例に対しては殆どの回答者が抗血小板療法のみを選択していたが、巨大瘤例、狭窄性病変合併例および虚血性心疾患既往例に対しては抗血小板療法と抗凝固療法の併用を選択する回答者が多かった。抗血小板薬では、アスピリンが最も頻用され投与量は3-5mg/kgが多く、次いで、ジピリダモール、チクロピジンの順であった。抗血小板療法のモニターを必ず行うと答えたのは1名のみであった。一方、抗凝固薬では、抗凝固療法を行っていない1名を除く全員がワルファリンを使用していた。抗凝固療法のモニターは、トロンボテスト、次いでプロトロンビン時間が多かった。今回の調査から、施設間の抗血栓療法の適応および薬剤選択の相違が明らかになった。

キーワード:  抗血栓療法 冠動脈障害 抗凝固療法
急性期川崎病に対する新しい選択的ウリナスタチン・
免疫グロブリン併用療法とその治療成績について
岐阜県立多治見病院小児科: ○中野正大、立木秀樹、荒川 武、小久保義一、木村勝則、岩城利充
我々は、血液製剤である免疫グロブリン(γ-Glo)の投与率と投与量を減らし、冠動脈病変の合併率をさらに改善するため、1993年以来、選択的ウリナスタチン(UTI)・γ-Glo併用療法を考案し、治療を行っている。9年間の治療成績は、対象146例のうちγ-Glo併用例は21例14.4%,一過性軽度冠動脈拡張例は4例2.7%,中等瘤例は1例0.7%であった。以上の結果から、この治療法は有用と考えられた。しかし、UTI単独治療例の中で冠動脈病変は認められないものの、発熱その他の炎症反応が遷延する例がみられた。できるだけ速やかに炎症反応を終結し、患児の苦痛を軽減するため、2003年1月より新たなるプロトコールを作製し、治療を行っている。治療成績と問題点の有無について報告する。

キーワード:  川崎病 冠動脈病変予防 選択的ウリナスタイン・免疫グロブリン併用療法
大量ガンマグロブリン療法施行後も血清IgG値の上昇がみられない
重症例に対する血漿交換療法の有用性の検討
横浜栄共済病院小児科、横浜市立大学医学部小児科: ○梅澤礼美
横浜市立大学医学部小児科: 森 雅亮、黒澤るみ子、今川智之、片倉茂樹、横田俊平
川崎病急性期に大量ガンマグロブリン (IVGG)療法を施行した際血清IgG値の上昇率が冠動脈病変(CAL)の発症の予測因子として有用であるという報告が散見されている。本施設ではIVGG療法抵抗症例に血漿交換療法(PE)を施行しているが、これまでのPE施行症例に対しIVGG投与後の血清IgG値上昇率を後方視的に検討した。対象はPE施行例72例で、PE非施行例85例と比較した。PE非施行例ではCAL(+)症例のみで血清IgG値の上昇率が54.6±37.6% (CAL(-): 73.6±27.0%)と低かったが、PE施行例ではCALの有無に関わらず血清IgG値の上昇率は著明に低下していた(CAL(+):56.8±12.5%, CAL(-):58.3±17.7%)。この結果から、血清IgG値の上昇率が低くCAL形成の危険性が高かった重症例に対してもPE施行によってCALの発症を抑制した可能性が示唆された。

キーワード:  血漿交換療法 血清IgG値上昇率 冠動脈病変