精製モノサイトを用いた急性期患者の遺伝子発現プロファイルの解析
国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部 阿部 淳 中島敏治 斎藤博久
千葉市立海浜病院小児科 地引利昭
都立八王子小児病院 野間清司
千葉大小児病態学 寺井 勝 |
【目的】川崎病患者の精製モノサイトで特異的に発現制御される遺伝子について解析した。
【方法】急性期患者(4例)の末梢血からモノサイトを精製してHG-U133A-GeneChipを用いて遺伝子発現量を解析した。リアルタイムPCR、ELISAにより結果を確認した。
【結果】精製単球分画では139個の遺伝子発現がIVIG療法後に2分の1以下に減少した(P<0.05)。このうち7個の遺伝子(FCGR1A、FCGR3A、CCR2、S100A9、S100A12、ADM、CYP1B1)について、リアルタイムPCRで発現の抑制を確認した。血漿中のS100A8/A9濃度は患者群で有熱対照群に比べて高く(P=0.001)、IVIG療法後に低下した(P<0.001)。
【考察】IVIG療法は、モノサイトにおける活性型免疫グロブリンレセプターおよびS100A8/A9カルシウム結合蛋白の産生を抑制する可能性が考えられた。
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FcγIIIa receptor 158V/F polymorphismと川崎病との関連性
日本医科大学小児科 深澤隆治
日本赤十字医療センター小児科 薗部友良
福岡大学小児科 濱本邦洋
京都府立医科大学小児疾患研究施設内科 坂田耕一 濱岡建城
日本医科大学小児科 渡邉美紀 池上 英 内木場庸子 初鹿野見春 上砂光裕 小川俊一 |
【目的】FcγIIIa receptorは主にNK
cell、monocyte、macrophageに発現している。FcγIIIa receptorは158 positionにPhe
or Valの遺伝子多型を持っており、ValのFcγIIIa receptorはPheのFcγIIIa receptorよりIgGへの結合性が高いことが確認されている。今回我々は、FcγIIIa
receptorの遺伝子多型を解析し、川崎病との関連性を検討した。 【方法・結果】インフォームドコンセントが得られた川崎病症例231例(年齢4.6歳±4.6)および正常コントロール(年齢27.2±6.0)から血液を採取し白血球からDNAを抽出、PCRにて遺伝子多型部位を増幅した後、制限酵素NlaIIIにて処理後にアガロースゲルに泳動し、遺伝子多型を判別した。FcγIIIa
receptor 158V/F polymorphismを川崎病例とControlとの間で比較したところ優位な差異は認められなかった。次に、川崎病の症例において入院日数、発熱期間、入院時白血球数、冠動脈狭窄の有無、冠動脈血栓の有無、冠動脈石灰化の有無についてそれぞれFcγIIIa
receptor 158V/F polymorphismとの関連性を検討した。検討した項目の中では、冠動脈石灰化の有無のみが有意な差異が認められた。即ち、冠動脈石灰化を有する症例ではFcγIIIa
receptor 158V/V polymorphismを有する症例の割合がその他(F/F、F/V)のPolymorphismを有する症例の割合に比し有意に高かった(17.9%(5/28)
vs. 5.8%(15/258)、odds ratio 3.52、95%CI: 1.17-10.57、p=0.034(Fisher’s
exact test))。
【結語】今回の検討では、川崎病冠動脈石灰化病変とFcγIIIa receptor 158V/V
polymorphismの関連性が示唆された。これは、FcγIIIa receptor 158V/V polymorphismのより高いIgGとの親和性が関係しているのか、また他に原因があるのか、更なる検討を要する。
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川崎病冠動脈病変合併例における末梢血単核球中サイトカイン関連遺伝子発現の検討
九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野
古野憲司 大野拓郎 池田和幸 金谷能明 宗内 淳 原 寿郎
福岡市立こども病院感染症センター 水野由美 |
【目的】川崎病冠動脈病変(CAL)合併例と非合併例の急性期末梢血単核球におけるサイトカイン関連遺伝子発現の相違を明らかにし、CAL発症機序の解明と末梢血を用いたCAL予測因子の開発を目的とする。
【方法】末梢血単核球からcDNAを合成。IntelliGene Human Cytokine
CHIPを用いて、CAL合併例4例について非合併例を対照とし発現量を比較。上位2遺伝子について、合併群9例、非合併群18例、対照群41例で発現量を定量。
【結果】Cytokine CHIPでは12遺伝子が合併例で常に高発現であった。定量PCRの結果、tissue
inhibitor of metalloproteinase 2 (TIMP2)とMacrophage inflammatory
protein-1 alpha (MIP-1a)は、合併群で有意に高値であった(各P=0.001、P=0.003)。
【考察】末梢血単核球中のTIMP2とMIP-1a mRNAは、冠動脈の病的変化にいち早く反応し高発現となることが推測される。末梢血を用いてこれらを測定することで入院時に冠動脈病変の予測が可能である。
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CD40L遺伝子多型と川崎病冠動脈病変発生リスクとの相関
独立行政法人理化学研究所遺伝子多型研究センター・消化器系疾患関連遺伝子研究チーム 尾内善広 羽田
明
福岡大学医学部小児科学教室 濱本邦洋
鹿子島大学大学院医歯学総合研究科健康科学専攻発生発達成育学講座分子遺伝学 岸 文雄
慶應義塾大学医学部小児科学教室 三浦 大
東邦大学医学部小児科学第一講座 佐地 勉
千葉大学大学院医学研究院小児病態学 寺井 勝
自治医科大学保健科学講座公衆衛生学部門 中村好一
埼玉県立大学 柳川 洋
日本川崎病研究センター 川崎富作
東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター・ゲノムシークエンス解析分野 中村祐輔
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【目的】川崎病の病因及び冠動脈病変(CALs)の発生に関与する遺伝的背景を明らかにする。
【方法】CD40L遺伝子内22個の一塩基多型につき、連鎖不平衡解析及び川崎病427例、対照476例間での相関解析を行った。
【結果】新規に見出されたIVS4+121 A/G多型のアレル頻度は川崎病群に高い傾向にあり(109/602,
18.1% vs. 111/737, 15.1%)、特にCALs(+)の男児において強い相関を示した(15/58, 25.9%,
vs. 111/737, 15.1%, OR=2.0, 95%CI=1.07-3.66; p=0.030)。同多型はコーカソイドではきわめて稀(1/145,
0.7%)であることも分かった。
【考察】川崎病急性期におけるCD40Lの発現量とCALsとが相関するというWangらの報告や川崎病発症率の男女差、及び人種差を考える上で興味深い結果である。今後CALs(+)の症例をさらに多数解析し、本多型の持つ生物学的意義についても検討したいと考えている。 |
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