高度に肝逸脱酵素の上昇を来した川崎病症例の臨床的検討
和歌山県立医科大学小児科 末永智浩 鈴木啓之 武内 崇 南 孝臣 西原正泰 上村 茂 吉川徳茂
国保日高総合病院小児科 奥田修司 岩橋誠司 太田里衣子
社会保険紀南綜合病院小児科 渋田昌一
 川崎病で肝逸脱酵素の高度な上昇を来す例は稀とされるが、当院及び関連病院では平成12年以来15例の高度上昇例を経験した。臨床的検討を加えて報告する。
【対象】平成12年1月から平成15年9月の間に当院・日高総合病院・紀南綜合病院で経験した川崎病145例のうち、GOT・GPT一方もしくは両方が500U/l以上を示した15例を高度上昇症例と定義し、検討を加えた。
【結果】高度上昇症例においては経過中全例GOT・GPTともに急速に低下した。また高度上昇症例は全例第4病日までに入院していた。そこで非高度上昇症例のうち第4病日までに入院した59例を対照群として、統計学的に検討したが、原田スコア・γグロブリン投与量・冠動脈病変の有無などの各種臨床的パラメータに有意差は認められなかった。
【考察】全症例中、高度上昇症例は早期に入院していた。また逸脱酵素は速やかに低下しており、高度上昇症例の潜在が示唆される。
腋窩リンパ節が腫脹した川崎病の一例
沼津市立病院小児科 知念詩乃 谷口和夫 宇佐美等 梁 茂雄
【症例】1歳8ヶ月、男児。主訴は発熱、腋窩リンパ節腫脹。家族歴、既往歴に特記すべき事はない。入院4日前から発熱し翌日に左腋窩の腫瘤に気づいた。入院当日になりBCG部位の発赤も認めたため当院へ紹介入院した。左腋窩の腫瘤はリンパ節で、エコー所見は単房性で内部に一部高エコー域を認めた。その後眼球結膜の充血、口唇発赤、手足の発赤を認めた。また、心エコーで冠動脈の拡張はみられなかったが、軽度の心膜液貯留と僧帽弁閉鎖不全(MR) を認めた。以上より川崎病と診断しASA内服とIVIG1g/kgを行った。IVIG後は速やかに解熱するとともに左腋窩リンパ節の腫脹も消失し川崎病の一症状であると考えられた。10病日の心エコーではMRは改善し、11病日に膜様落屑を認めた。
【考案】通常川崎病の頚部リンパ節腫脹は多房性であることが特徴といわれているが、本症例は腋窩リンパ節腫脹を認め、単房性であったことが興味深い。
MRIで関節滑膜炎が証明された川崎病女児例
倉敷中央病院 北 誠 美馬隆宏 井田鈴子 田原昌博 脇 研自 新垣義夫 馬場 清
 7歳女児。主訴は発熱、両頸部リンパ節腫脹。3歳時、4歳時に川崎病に罹患。4歳時はγグロブリンを3回投与した。今回3回目の川崎病と診断され、アスピリン、γグロブリンを投与。発熱が持続し、両肘部の関節痛、伸展時の可動制限を認めた。臨床症状より川崎病の再燃と判断、γグロブリンを投与した。しかし、関節痛は両手指、両足趾に広がり、朝のこわばりも出現。諸症状の改善を認めないため再度γグロブリンを追加投与した。川崎病の臨床症状は改善したが、関節症状は増悪し、朝のこわばりの持続時間も増加した。NSAIDSの増量を行った。左手のMRIは関節滑膜炎を認めた。このためJIA様関節炎を疑いMTX10mg/m2/weekを開始した。その後関節症状は徐々に改善した。両手指の握力の改善、歩行可能となり、退院した。画像診断および文献的考察を中心に報告する。
腹部大動脈瘤の1例の自然経過
東京慈恵会医科大学小児科 藤原優子 寺野和宏 斉藤亮太 河内貞貴 衛藤義勝
【目的】川崎病後の腹部大動脈瘤の経過を蓄積する。
【症例】2ヶ月発症(1988年)のIVIG,ステロイド加療を行った川崎病の16歳男児。左右冠動脈瘤を有し、IVIG療法にも不応、有熱時に心筋梗塞を発症、人工呼吸管理・NTG・UKで改善した。1989、1990年に心カテを行い、右冠動脈閉塞と左冠動脈からの側副血行、左冠動脈瘤、総腸骨動脈瘤と診断した。1994、1989年のカテでも同様の所見であった。10才時に左足の痛みを訴え、左外腸骨動脈の閉塞を認めた。内服治療(flurbiprophene,sarpogrete HCl,beraprost sodium,aspirin,enalapril )を継続した。2003年のCT検査では著変はなかったが、2004年8月のエコー検査で腹部動脈瘤内に可動性のない血栓を認めた。血栓形成の誘引は怠薬であった。現在、warfarinを追加し手術適応について検討中である。
【結論】川崎病の腹部大動脈瘤の自然経過についての報告は少なく、症例の蓄積が必要である。