左室収縮不全をきたした川崎病心筋炎の4例
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科小児発達機能病態学分野
  吉川英樹 櫨木大祐 青木景子 池田さやか 野村裕一 吉永正夫 河野嘉文
済生会川内病院小児科 亀之園明
出水市立病院小児科 柳 貞光
鹿児島市医師会病院小児科 益田君教
 川崎病の重症心筋炎の報告は多くはない。私達はDOA等の治療を要した心筋炎4例を経験した。
【症例】7歳女児。 転院時(8病日)にEF 44%。GG 2g/kg,DOA等で加療し13病日に解熱。巨大瘤残存。6歳女児。5病日にGG 2g/kgで解熱も6病日でCRP 悪化しEF48%。DOA等で加療。9病日再燃しGG 追加で解熱。中等瘤残存。2歳男児。5病日にGG 1g/kgで6病日に解熱もCRPは悪化。7病日再燃し8病日にEF51%。GG ,DOA等で加療し16病日に解熱。中等瘤残存。7歳男児。5病日にGG2g/kgで解熱傾向も6病日にCRP 悪化しEF42%。DOA等で加療し7病日に解熱。小動脈瘤残存。
【考案】重症心筋炎は年長児に多いとされるが今回も3例が年長児だった。GG前にEF低値の1例は治療開始日が遅く炎症所見も高度だった。GG前EF正常の3例はGG後にCRPが悪化しEFが低下した。年長児はGG後にEFが悪化することもあり初期治療での慎重な心機能経過観察の重要性が再認識された。
川崎病発症後27年に右冠動脈瘤内血栓の出現した一例
国立循環器病センター小児科 津田悦子 黒嵜健一 渡辺 健 越後茂之
国立循環器病センター心臓内科 森井 功 宮崎俊一
 33歳女。6歳時に川崎病に罹患し、8歳時に初回の冠動脈造影(CAG)が施行され、右冠動脈セグメント1の瘤(RCA AN)と診断された。抗血小板凝集薬投与にて経過観察されていた。25歳時のCAGで、RCA ANとその遠位に40%の局所性狭窄(LS)がみられた。虚血所見はみられなかった。33歳時、背部痛、胸部息苦しさ、絞扼感のため。当院を受診した。12誘導心電図(ECG)で、 II, III, aVF の ST上昇がみられた。緊急CAGでは、 RCA AN内の血栓による90% LS であった。血栓吸引は危険と判断され、3日間大動脈内バルーンパンピング(IABP)にて経過観察され、胸痛は消失した。24時間後 II, III, aVF で、陰性T波がみられた。3日後のCAGでは、血栓は減少し、75%LSであった。ワーファリンとアスピリンにて外来で経過観察された。 30日後、再び胸痛で受診したが、ECGでは有意な変化はみられなかった。緊急CAGではRCAの完全閉塞であった。血栓吸引と経皮的バルーン血管形成術が施行され、RCAの開存が得られた。心筋逸脱酵素の有意な上昇はみられなかった。
川崎病による巨大冠動脈瘤を契機に発見された単一冠動脈の1症例
獨協医科大学小児科 坪井龍生 三上哲也 黒澤秀光 杉田憲一 江口光興
【緒言】川崎病罹患により発見された単一冠動脈の1症例を経験したので報告する。
【症例】1歳4ヶ月男児、発熱、口唇発赤にて発症し第12病日に主要症状5/6症状を認め川崎病の診断にてガンマグロブリン大量療法を施行した。しかし、反応不良で症状は軽快せず第22病日より心エコー上冠動脈病変を認めるようになった。第31病日より冠動脈瘤形成するようになり最大径8mmであった。症状軽快傾向とならないためステロイドを使用したところ発症後2ヶ月を経て症状消退となった。経過中右冠動脈は描出困難であった。発症後3ヶ月時に冠動脈造影を施行したところ左冠動脈主幹部を中心とした巨大冠動脈瘤と左冠動脈より起始する右冠動脈を認めた。形態より川崎病による冠動脈閉鎖後の発達した側副血行路ではなく単一冠動脈と判断した。以後、10年間抗凝固療法を行いながら経過観察を行っているが、血栓形成、虚血性心疾患などの出現はない。
【考案】稀な疾患である冠動脈奇形の10%にあたいする単一冠動脈は非常に稀な疾患であり川崎病を合併した報告も少ない。今回、川崎病により巨大冠動脈瘤を形成した単一冠動脈の長期観察症例を報告した。