明らかな川崎病の既往がなく心筋梗塞を来して冠動脈瘤が発見された1例
茨城県立こども病院 室伏 航 塩野淳子 磯部剛志
 川崎病の冠動脈瘤以外による小児の心筋梗塞の報告は少ない。明らかな川崎病の既往がなく、心筋梗塞を来したことで冠動脈瘤が発見された1例を報告する。症例は1歳2か月の男児。川崎病と診断されたことはなく、高熱が持続した既往もない。嘔吐を主訴に近医を受診したところ、心音減弱、CPK高値、心エコーでの左室収縮力低下から急性心筋炎が疑われ、当院に搬送された。来院時、血圧は測定不能で、心電図モニター上完全房室ブロックであり、直ちに人工呼吸器管理、プロタノール持続点滴、カテコラミン投与などが開始された。12誘導心電図で2、3、aVF誘導の深いQ波が認められ、心エコーで特に左室後壁の動きが不良であった。入院18日目に心臓カテーテル検査を施行したところ、左冠動脈の巨大動脈瘤(最大径8.8mm)と右冠動脈閉塞が認められ、右冠動脈閉塞による急性心筋梗塞と考えられた。ワーファリン、パナルジンの内服を開始され、外来で経過観察中である。
発熱以外に主要症状を認めない時点で冠動脈病変を認めた生後51日の川崎病の1例
東京臨海病院小児科 藤原摩耶 竹内大二
東邦大学第一小児科 佐地 勉
 症例:生後51日男児。38度の発熱を主訴に第1病日に来院。全身状態良好、診察上は明らかな異常所見はなかった。CRP9g/dl、WBC 13220/μlと炎症反応は高値だったが、肝機能検査、髄液検査、尿検査で異常はなかった。focus不明のまま各種抗生剤を使用したが、37.5-38.5度の発熱が持続しCRPは第3病日12.0g/dl、第5病日11.5g/dlと上昇した。第5病日に心臓超音波検査にて右側冠動脈に小瘤 (径2.5mm)を認め、川崎病を疑いIVIG 2g/kg/dを開始した。使用後に口唇の軽度発赤、体幹にわずかの小丘疹と足底の発赤を確認した。IVIG後12時間後には37度以下に解熱、第11病日に膜様落屑を認め、経過より川崎病確実B例と診断した。生後3ヶ月未満発症の川崎病は主要症状が揃いにくく、後遺症を残す頻度が高いと報告されており発熱のみでも冠動脈病変に注意を要する。
17歳で発症した川崎病の2例
社会保険紀南綜合病院 渋田昌一
和歌山県立医科大学小児科 芳山 恵 末永智浩 西原正泰 南 孝臣 武内 崇 鈴木啓之 上村 茂
 川崎病の好発年齢は4歳以下であり、10歳以上の発症はまれである。今回17歳発症の川崎病を2例経験したので、臨床上の特徴および問題点について考察を加え報告する。
 症例1:17歳女性。4病日で近医内科より当院耳鼻科に紹介され、頚部リンパ節炎として入院。5病日に小児科医が川崎病と診断。ガンマグロブリン1g/kg x 2日間静注され、一時解熱したが再び発熱したため、11病日よりウリナスタチンを開始。12病日に解熱。経過中心電図上T波平低化、エコー上心嚢液の貯留を認めたがいずれも軽快し、冠動脈病変の合併はなかった。
 症例2:17歳男性。1歳時川崎病に罹患。7病日で近医から当院内科に紹介入院。8病日に小児科に紹介され川崎病疑いとする(診断基準4/6)。9病日からガンマグロブリン1g/kg x 2日間静注。12病日より解熱し、落屑を認め(診断基準5/6)、冠動脈病変の合併症はみられなかった。