川崎病治療におけるガンマグロブリン不応例:臨床像及び予測因子の検討
久留米大学小児科 江上公康 牟田広実 菅原洋子 家村素史 前野泰樹 松石豊次郎
北里大学小児科 石井正浩

【背景】川崎病治療におけるガンマグロブリン療法(IVIG)の有効性は明らかであるが、約10〜20%にIVIG不応例が存在し、これらに対する治療戦略の確立が急務である。本研究の目的はIVIG不応例の予測スコアを作成することである。
【対象と方法】1998年4月から2004年3月までに当院及び聖マリア病院小児科に入院し、初回IVIG療法を施行した川崎病患児357例を対象にIVIG療法前の身体所見及び検査データを後方視的に検討した。
【結果】男児、
3病日以内の早期治療群、CRP7.0mg/dl以上、GPT 45 IU/l以上、総ビリルビン 0.7mg/dl以上、Na134mEq/l以下の項目で、これら1項目をそれぞれ1点としたスコアを設定することで予測スコア3点以上で感度82%、特異度56%でIVIG不応例を治療前に予測することが可能であった。
【結語】多因子を組み合わせることにより早期にIVIG不応例を予測することが可能であった。今後、このスコアを用いて、新たな初期治療の戦略をたてる必要がある。

第17回川崎病全国調査資料から見た免疫グロブリン追加投与症例の検討
関西医科大学附属洛西ニュータウン病院小児科 荻野廣太郎 河村栄美子 田中智子
自治医科大学公衆衛生学 中村好一 屋代真弓
埼玉県立大学 柳川 洋
【目的】第17回全国調査資料を用いて免疫グロブリン(IG)の追加投与症例の背景を分析した。
【方法】重複症例を一本化した後、IGの初回投与量と投与開始病日とが明らかな14,202症例を対象とし、性、発症時年齢、IG投与開始病日、初回投与量、初回総投与量の関与を検討した。
【結果】追加投与症例は1,974例、13.9%であった。後遺症期の拡大+瘤+巨大瘤+死亡の頻度は、追加投与なし群で3.10%、あり群で15.86%であった。それぞれの要因での追加投与率は、男15.2%、女12.1%で、0〜5か月児16.3%、6〜11か月12.1%、1〜3歳13.9%、4歳以上14.1%であった。また1〜4病日投与開始例20.5%、5〜7病日11.7%、8〜10病日7.7%、11病日以降8.3%であった。初回投与量別では100〜300mg/kg群9.8%、301~900群7.9%、901~1,500群17.1%、1,501以上群16.4%で、初回総投与量が2,101mg/kg以上の症例では25.4%が追加投与を必要とした。
【考察】追加投与率が高いのは、男・0〜5か月発症児・1〜4病日投与開始例・初回901〜1,500mg/kg使用群であった。これらの要因を有する川崎病児には慎重な配慮が必要である。
川崎病のグロブリン不応例についての治療戦略
名古屋第二赤十字病院 岩佐充二 横山岳彦 安藤恒三郎
 ステロイドやミラクリッドを使用しないでポリエチレングリコール処理グロブリン(PGG)を投与し、解熱しない場合はPGGの追加投与を繰返すというプロトコールで治療を行なった。ハイ ・リスク児にGG 2g/kgの単回投与、ロウ ・リスク児に GG 1g/kgの単回投与を始めた1994年6月から2004年5月の10年間に8病日以内に入院し、グロブリン投与前に冠動脈障害(CAL) を認めなかった定型例は330例であった。そのうち8病日以内にPGG投与を行った例は221例であった。PGGの追加投与を行なったのは80例(36%)。221例の使用量は一人当り2.4g/kgであった。血漿交換例は3例であった。一過性拡張は9/221例であった。
【結論】PGG処理のグロブリンを解熱するまで充分に投与する。それでも9病日の発熱が38.5度以上でかつCRP値が14mg/dl以上の場合血漿交換療法を9病日から開始する。