川崎病成人例に対する超音波検査のガイドライン(案)
西神戸医療センター小児科 深谷 隆
長野県立こども病院循環器科 里見元義
徳島大学医学部小児科 森 一博
 日本循環器学会では“循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン”を,主に成人を対象として作成中である。ガイドラインの内容改善を図ることを目的として,作成途中ではあるが,川崎病の部分を“案”として提示する。川崎病後遺症の重症度分類は同学会の“川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン”に準じ,I.拡大性変化がなかった群,II.急性期の一過性拡大群,III.Regression群,IV.冠動脈瘤残存群,V.冠動脈狭窄性病変群とし,V群をa.虚血所見のない群とb.虚血所見を有する群に分けた。検査の適応としてClass Iは冠動脈病変から重症度分類V-b,V-a,IVとし,弁膜病変から大動脈弁閉鎖不全と僧帽弁の閉鎖不全とした。Class IIに冠動脈病変から,重症度分類III,II,Iとした。後遺症を有する群では症例毎に検査の内容を決定する必要があると考え,緩やかなガイドラインとしている。
冠動脈合併症を有する川崎病患者の長期管理における各種パラメータについての検討
東京都立広尾病院 中村隆広 原 光彦 斎藤恵美子 伊東三吾
【目的】【方法】近年の血管エコー検査の進歩により川崎病の既往と動脈硬化の関連が指摘されている。今回我々は、成人に達した冠動脈瘤を有する川崎病既往患者2症例を対象に、身体計測と血圧測定、生活習慣の問診、血管エコーにおける総頸動脈の内膜中膜複合体厚(IMT)、β値、上腕動脈における Flow Mediated dilatation(FMD)、腹部超音波における腹膜前脂肪厚(P)を測定した。
【結果】症例1も2も20代で肥満、高血圧や喫煙歴はない。症例1はPが厚く、大酒家であった。IMTは0.5mm vs 0.4mmでβ値は12.5 vs 4.9、%FMDは1.8% vs 8.5%であり、症例1は血管障害 が高度であった。
【考察】不適切な生活習慣や内蔵脂肪蓄積によって血管障害はより高度になる。冠動脈病変を伴う患者には、積極的にβ値やFMD、Pの測定を行い、患者本 人に情報を還元していく必要がある。
川崎病の左右冠状動脈起始部の冠動脈瘤に瘤切除,CABG4枝施行した70歳の1例
健康保険岡谷塩嶺病院 畑 博明
 70歳女性。小児期にリンパ節腫大、発熱にて加療歴あり。平成16年1月より労作時胸部不快感出現紹介医受診。狭心症の診断下4月6日CAG施行。左冠動脈主幹部、右冠動脈起始部に石灰化を伴った冠動脈瘤を認め、右冠動脈は瘤部で閉塞、左冠動脈瘤から出る左前下行枝,回旋枝,その枝の起始部に90%以上の狭窄を認めた。手術目的に当院紹介。7月1日肺動脈主幹部横断による主幹部冠動脈瘤切除、 CABG4枝(LITA - LAD #8,RITA - LCx #11,SVG - Diag.1 #9,SVG - RCA #3)施行。術中冠動脈側副血行の発達を認め、 無血視野確保に難渋したが経過は良好であり、左室機能はEF70.8%と良好に保たれ、術後造影では全グラフトの良好な開存を確認した。摘出左主幹部冠動脈瘤内には血栓は存在せず、病理所見では石灰化により壁構造が消失したアテローム変化を認めた。川崎病で冠動脈瘤を摘出しCABGを受けた70歳は最高齢と思われ報告する。
免疫グロブリン追加投与後の麻疹ワクチン抗体価の推移
横浜労災病院小児科 三浦 大
日本赤十字医療センター小児科 薗部友良
【目的】免疫グロブリン療法(IVIG)から麻疹ワクチン接種までの間隔は、日本では6〜7ヵ月、米国では11ヵ月と推奨されている。 IVIG不応例の川崎病に対しIVIG追加を行った場合の適切な間隔につき検討した。
【方法】麻疹罹患もワクチンも既往のないIVIG不応の川崎病5人,(再発を含め)6例を対象に, IVIG追加(総量4 g/kg 5例,6 g/kg 1例)直後から3ヵ月毎にEIA( enzyme immunoassay)法とNT (neutralization test)法により麻疹抗体価を測定した。
【結果】EIA抗体価:3ヶ月後全例陽性(≧400),6ヵ月後陽性1例,判定保留3例,陰性(< 200)2例,9ヵ月後全例陰性であった。NT抗体価:3ヶ月後全例陽性(≧1 : 4),6ヵ月後1例陽性,5例陰性(<1 : 4),9ヵ月後全例陰性であった。IVIG追加9ヵ月後に麻疹ワクチンを接種した1例で麻疹抗体価の陽性化を認めた。
【考察】IVIG 追加投与(総量4 g/kg)後から麻疹ワクチンまでの適切な接種時期は9ヵ月と考えられた。