川崎病のtriggerは、花粉であろう(第3報) 2005年の春先の川崎病発症数は、 インフルエンザ流行により抑制傾向がみられた。 −川崎病発症への免疫・アレルギー状態・バランスのインフルエンザ流行による摂動−
(独)科学技術振興機構、(独)理研横浜研究所、皮膚科学疫学研究所 粟屋 昭
皮膚科学疫学研究所 森 透
東邦大学薬学部 佐橋紀男 |
| 著者らは03年、04年の本研究会で川崎病のtriggerは花粉であろうという知見を報告し、花粉惹起(誘導)疾患と名づけた。川崎病研究班疫学調査事務局が集積した川崎病発症数dataを都道府県別にグラフ化し、川崎病の過去3度の全国大規模発生のpeak高原状態の後にも、第4、第5等のpeak高原状態が、首都4都県と福岡県では明確に見られ、千葉県船橋市や神奈川県相模原市等の花粉飛散数との経年的比較で、花粉飛散の多い年と、その翌年あるいはそれ以降(右型上がりに)、川崎病患者が増加する(初めて花粉に被曝した乳幼児が直ぐ発症する症例と、花粉被曝・感作→免疫→発症状態が持ち越され・carry-overした乳幼児が、次の花粉飛散時期(2〜5月および8〜9月)を中心に、遅延的に発症する症例の合計)ことが示された。例年増加する春先の発症数が2005年のインフルエンザ流行により抑制されている状況が、川崎病の定点観測を行っている宮城県、東京都、熊本県の定点集計から垣間見れた。
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海外で川崎病に罹患するということ
| 都立八王子小児病院 後藤正博 |
演者の英国在住中に長女が麻痺性イレウスを合併した川崎病に罹患したが,現地の医療機関では十分な医療サービスが受けられず,早急にガンマグロブリン大量療法を行うために日本へ搬送する経験をした.
川崎病の発症率が高い本邦においては診断や治療についての知見が集積され,その疾患概念は広く小児科医に浸透している.しかしながら海外における頻度は低く,多くの医師達は川崎病に罹患した小児を実際に診療した経験がない.診断基準や治療開始時期についての認識も日本とは隔たりがあり,長期予後は必ずしも満足のいくものではない.
在留中の日本人子女が川崎病に罹患しても,現地の医療機関で日本と同等の医療サービスが安心して受けられるためには,海外へ向けた何らかの啓蒙が必要であると考えられた.文献的考察を加えて報告する.
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発症早期に初診しながらも,ガンマグロブリン治療開始が遅くなっていた症例に関する検討
久留米大学小児科 牟田広実 家村素史 須田憲治 松石豊次郎
北里大学小児科 石井正浩
自治医科大学公衆衛生学 中村好一
埼玉県立大学 柳川 洋 |
【目的と方法】ガンマグロブリン(GG)治療が遅れる原因を調査するため,第15,16回全国調査で3病日以内に初診していたがGG開始が8病日以降となっていた152例の2次調査をおこなった.
【結果】主要・参考症状の出現率(出現病日の中央値)は以下の通りであった[5日以上の発熱97%,結膜充血87%(5病日),口腔所見79%(5病日),発疹75%(4病日),四肢の変化49%(6病日),頚部リンパ節腫脹60%(3病日),BCG部発赤24%(3病日)].主要症状のうち,3,4,5症状が揃う病日の中央値は,それぞれ5,5,7病日であった.アスピリン(ASA)開始の平均7.8病日に対し,GG開始平均は9.9病日と遅くなっていた.急性期心障害は34%,心後遺症は11%に認めた.
【結語】治療が遅くなっていた理由は大きく分けて以下の3通りであった.(1)主要症状の出現が遅かった.(2)早期より疑っていたが,診断基準を満たすまで待っていた.(3)臨床・検査所見が軽症であったためASAなどで経過観察し,エコー上冠動脈に変化を認めてから使用した.(2),(3)については,GGには適切な投与時期があることを啓蒙することで,予防可能と考えられた.
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成人期川崎病冠動脈障害における動脈硬化危険因子の保有率に関する検討
日本大学医学部小児科
宮下理夫 唐澤賢祐 阿部 修 谷口和夫 金丸 浩 原 光彦 鮎沢 衛 能登信孝 住友直方 岡田知雄 原田研介 |
【目的】川崎病の影響が動脈硬化の危険因子になるのかは重要な課題である。重症な冠動脈障害を有する成人期の症例について動脈硬化との関連を検討した。
【対象】20歳以上の川崎病冠動脈障害18例(23.0±3.5歳、男10女8名)である。18例とも急性期に冠動脈瘤を形成し、遠隔期に冠動脈イベントを認めている。
【方法】各症例について、体格、血液生化学的検査、脂質データを後方視的に調査した。家族性高脂血症合併例は除外した。
【結果】BMI、動脈硬化指数、HOMA-R、コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライド、IRI他の項目において、異常値の保有率は10%から15%であった。
【考察】川崎病と動脈硬化の関連性について血管内皮障害が重要な因子であると報告されている。今回の検討では脂質代謝異常やインスリン抵抗性が、重症冠動脈障害例の遠隔期における動脈硬化の進展を助長している可能性が示唆された。 |
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