急性心不全で発症した6歳冠動脈瘤の1例
あいち小児保健医療総合センター
 足達信子 福見大地 沼口 敦 安田東始哲 長嶋正實 北島直子 安藤嘉浩 岩田直美 
市立半田病院 篠原 修
発熱、リンパ節腫大で発症。第8病日に多呼吸、血圧低下が出現し、急性心不全のために当院へ救急搬送された。心エコー上心機能の低下(EF40%)、心嚢液貯留を認め、強心剤、γグロブリンの投与(1g/kg4日間)を行った。第12病日より解熱し、心機能は回復したが、その後両側冠動脈の拡張(最大7mm)、冠動脈瘤が出現し、川崎病の非定型例と診断した。アスピリン内服でフォロー後、発症3ヶ月で施行したCAGでは冠動脈瘤の退縮傾向を認めた。急性心不全で発症し、冠動脈瘤形成まで、診断に苦慮したため、報告する。
心筋炎を伴った重症川崎病に持続的血液濾過透析(CHDF)を施行した1例
茨城県立こども病院小児科 塩野淳子 磯部剛志
[はじめに]ガンマグロブリン不応性の川崎病において血漿交換療法の有用性が報告されている。我々は、心筋炎を伴った重症川崎病に対して持続的血液濾過透析(CHDF)を施行したので報告する。
[症例]5歳、男児。近医で川崎病と診断され、第5病日にガンマグロブリン1g/kgの投与を受けたが、心拡大、左室収縮力の低下が認められたため、第6病日に当院に搬送された。心筋炎、弁膜炎、脳症合併の重症川崎病と考えられ、人工呼吸器管理を開始した。翌日には無尿となったため、PMMA膜を用いたCHDFを開始した。第8病日には解熱し、第11病日でCHDFを、第14病日で人工呼吸器を離脱した。しかし、両側の巨大冠動脈瘤を形成し、1か月後に心筋梗塞のため死亡した。
[まとめ]CHDFはサイトカイン除去を目的に施行されることがあるが、川崎病に対してCHDFを施行した報告はない。CHDFは、重症川崎病の治療の選択肢のひとつとなる可能性が示唆された
心室細動にて発症し救命しえた川崎病の一例
岡山大学大学院医歯学総合研究科・循環器内科 原岡佳代 伴場主一 中村一文 草野研吾 大江 透
岡山大学大学院医歯学総合研究科・心臓血管外科 赤木禎治 佐野俊二
川崎病遠隔期心血管合併症としての冠動脈病変は重要であるが、初発症状が心室細動であった報告は少ない。明らかな川崎病の既往がなく心室細動を来し,蘇生後の冠動脈造影所見で川崎病によると思われる冠動脈瘤が発見された一例を経験したので報告する。 症例は15歳、男性。家族歴・既往歴に特記事項なし。平成15年3月4日バスケットボールをしていたところ突然倒れ、現場にいた教師により心肺蘇生を開始された。救急車到着時、モニター上心室細動であり、電気的除細動を施行され洞調律に復帰。入院後のカテーテル検査により右冠動脈1番に瘤状病変と高度狭窄、左前下行枝にも瘤状病変が認められ、それらによる心筋虚血が原因となり心室細動を発症したと考えられCABGを施行した。術後経過良好で、心停止による後遺症なく社会復帰している。若年成人における虚血性心疾患の原因疾患として,川崎病心血管後遺症は今後大きな問題となる可能性がある。
側副血行の発達促進を期待し、ヘパリン療法を試みた川崎病後心筋梗塞の乳児例
 
富山医科薬科大学 齋藤和由 大坪慶輔 廣野恵一 渡辺一洋 渡辺綾香 上勢敬一郎 橋本郁夫 市田蕗子 宮脇利男
富山赤十字病院 津端眞一 村上巧啓
症例は6ヶ月男児。川崎病第4病日よりガンマグロブリン大量療法開始し、不応のため同療法を計3回、ステロイドパルス療法を計2回施行したが、両側巨大冠動脈瘤を合併した。心エコー上、冠動脈内に一部血栓形成が疑われ抗凝固療法を開始したが、第38病日、突然、左前下降枝の完全閉塞による広範な心筋梗塞を発症した。直ちに経静脈的にtPA投与を開始したが、梗塞部位の血行再建は得られず、巨大な心室瘤を形成し、心機能は低下した(LVEF=40%)。再梗塞の予防及び側副血行の発達を期待し、ヘパリン投与(25単位/kg/hr)を約1ヶ月間施行した。施行後の心筋シンチグラフィーでは梗塞部位の血流分布に改善を認めた。成人における虚血性心疾患の場合と同様に川崎病後の虚血心筋に対してもヘパリン運動療法の有用性が報告されているが、運動ができない乳児においても、ヘパリン療法は側副血行の発達を促進する可能性が示唆された。
無脾症候群に合併した川崎病の1例
 
社会保険紀南病院小児科 谷口文崇 南 孝臣 番 浩
和歌山県立医科大学小児科 鈴木啓之 武内 崇 渋田昌一 吉川徳茂
【はじめに】無脾症候群は、先天性心疾患の中でも易感染性を有する特殊な症候群である。今回、無脾症候群に合併した川崎病を経験したので報告する。
【症例】1歳7ヶ月女児。無脾症候群、単心房・単心室・肺動脈閉鎖・房室弁逆流、Glenn術後で利尿剤・抗血小板剤を内服中。4/29〜発熱と発疹が出現し、第2病日に体温39.3℃、WBC13,100,CRP5.31mg/dlと上昇したため感染症を疑い当科に入院、CEZを開始した。第3病日に結膜充血、口唇発赤、手足の浮腫とBCG部の発赤を認めた。川崎病が疑われたためCEZを中止し、アスピリンを開始。第5病日からγ-globulin(1g/kg/day×2日間)を静注した。第6病日に解熱、第9病日から膜様落屑を認めた。冠動脈病変は認めなかった。
【まとめ】無脾症候群では、川崎病の報告がなく重症感染症との鑑別に苦慮した。また、γ-globulin投与は水分負荷となるため注意を要した。