川崎病患者におけるガンマグロブリン超大量療法抵抗例の予測
群馬大学大学院医学系研究科環境病態制御系小児生体防御学 小林 徹 井上佳也 岡田恭典 友政剛 田村一志 篠原 真 森川昭廣
高崎健康福祉大学 竹内一夫
群馬県立小児医療センター 小林富男
群馬川崎病研究班
【目的】川崎病治療前の患者背景、血液検査結果からガンマグロブリン超大量療法(IVIG)の治療抵抗例予測式を作成する。
【方法】2000年9月〜2005年7月までの期間に、群馬大学関連13病院で川崎病と診断しIVIGを施行した658例をスコア作成群(2000年9月〜2004年8月)とスコア検証群(2004年9月〜2005年7月)に分けた。スコア作成群で患者背景、治療開始前血液検査結果からlogistic modelを用い多変量解析を行い寄与の大きい独立変数を決定し、ROC曲線により各変数のcut off lineを求め、Odds比を参考に重み付けをした後IVIG抵抗例の予測式を作成した。スコア検証群を用い妥当性の検証を行った。
【結果】多変量解析の結果、モデル内にAST、Na、治療開始病日, 好中球%、CRP、血小板数、月齢が選択された。これら7変数を用い治療抵抗例の簡易予測式を作成したところ、87.0%の感度、62.9%の特異度でIVIG抵抗例を予測できた。スコア検証群では80.8%の感度、74.2%の特異度とほぼ同等の結果であった。
【考察】患者背景および血液検査結果からIVIG抵抗例の予測が可能であることが示唆された。
免疫グロブリン追加投与不応例の予測因子の検討
東京都立清瀬小児病院循環器科 河野一樹 大木寛生 葭葉茂樹 三浦 大 菅谷明則 佐藤正昭
【背景】免疫グロブリン療法(IVIG)不応の川崎病は一般にIVIG追加で治療されている.IVIG追加の不応は初回IVIGに比べ高率に生じ,冠動脈病変の危険性が高い.
【方法】2004年1月〜2005年6月に入院した146例の川崎病患児を対象とし,初回IVIG(2 g/kg/24hr)不応の29例(男16例,女13例,月齢2〜104ヵ月,中央値23ヵ月)を,IVIG追加に反応した20例と不応の9例(追加投与後ステロイドパルスで治療)の2群に分け臨床データを比較した.
【成績】年齢,性別では両群に有意差がなかった.初回IVIG前のALT(P =0.004),初回IVIG終了48時間後のWBC(P =0.004),CRP(P =0.004),ALT(P =0.014)に有意差を認めた.初回IVIG前後でWBCまたはCRPが増加した例は,IVIG追加反応群(9/20例,45%)に比し不応群(9/9例,100%)で有意に多かった(P =0.005).
【考察】初回IVIG前にALT高値を示し,また初回IVIG前後でWBCまたはCRPが増加する例はIVIG追加にも不応の可能性が高く,より有効な治療法を検討するべきである.
川崎病のγ-グロブリン治療による血漿ANP,BNP,CNP,アドレノメジュリン値の推移と心機能の評価
日本医科大学第二病院 初鹿野見春 勝部康弘 上砂光裕
日本医科大学附属病院 渡辺美紀 池上 英 小川俊一
日本医科大学多摩永山病院 深澤隆治 日野佳昭
【背景・目的】ANPとBNPは心臓から分泌され心不全や心筋梗塞,心筋炎などで上昇,一方CNPは特に血管障害部位の血管内皮細胞で多く分泌されるナトリウム利尿ペプチドである.アドレノメジュリン(ADM)は肺高血圧やうっ血性心不全などで分泌の増加が確認されている血管拡張物質で,ナトリウム利尿作用も持つとされている.今回川崎病における心・血管病変の評価のため,これらの値と心エコー図所見の変化を比較検討した.
【対象】川崎病患児30例.
【方法】γグロブリン治療前・後に血漿中ANP,BNP,CNP,ADM値の測定とカラー組織ドプラ−法を含めた心エコー検査を施行.
【結果】川崎病急性期に上昇したANP,BNP,ADM値は治療後速やかに正常化し,同時に低下していた心収縮能,拡張能も改善した.CNP値は治療前後で不変であった.
【結語】川崎病急性期における心筋ダメージはγグロブリン治療により速やかに改善した.
川崎病における免疫グロブリン大量療法の薬物動態
国家公務員共済組合連合会立川病院 森川良行 松岡 恵
【目的】川崎病の免疫グロブリン大量療法(IVIG)におけるIgG薬物動態を検討する。
【方法】川崎病の6例(年齢mean±SE、2.9±0.8y、体重 12.4±1.3kg 、男4例、女2例)を対象とし、IgG血中濃度をIVIG2g/kg投与前、投与直後、24時間、48時間、8日、15日後に測定した。2コンパートメントモデル及び台形公式により薬物動態の指標を検討した。
【結果】血中濃度から投与前値を差し引いた値を用い、6症例すべての血中濃度をまとめて検討すると、2コンパートメントモデルによく適合し、IgG=1038.6e-0.6908t+2015.0e-0.0348t で表現することができる。IgG血中濃度最大値Cmax(4006±227mg/dl)、Cmax-投与前値(3251±216mg/dl),α相血中半減期(0.98±0.22day), β相血中半減期(27.2±7.2day), 総クリアランス(0.055±0.0097L/day), Volume of distribution(1.82±0.2L)であった。
【考察】
IgG血中濃度は血液粘度とよく相関し、過度の血液粘度上昇は血栓症の危険を はらんでいる。今回の研究は、血中濃度を予測し過粘度症候群発症予防の基礎を与え る。