MSCTを用いた川崎病冠動脈障害の評価
順天堂大学小児科 福永英生 秋元かつみ 織田久之 大槻将弘 宮崎菜穂 大高正雄 稀代雅彦 大久保又一 山城雄一郎
順天堂大学循環器内科 秋元芳典
順天堂大学放射線科 堂領和彦
【目的】multi-slice CT(MSCT)による川崎病冠動脈障害(CAL)の評価が報告されているが症例数は少ない。今回MSCTを用いてstent留置症例,冠動脈バイパス術(CABG)後症例の評価を行った。
【方法】対象はCALを有する川崎病既往5例(10-25歳,CABG後1例、stent留置後1例)。MSCT(東芝 Aquilion 64)所見と冠動脈造影(CAG)所見との比較を行った。
【結果】MSCTで瘤の形態はCAG所見と相関した。CABG例ではbypass血管の描出も良好であった。しかし、stent部位では血管径の拡大と前後の血管の狭小が見られCAGとの乖離を認めた。また、CAGでは認められた側副血行路が描出不良であった。
【考察】MSCTは低侵襲でありCAGに代わる検査として期待されているが、stent留置症例ではCAG所見との差があり、撮影条件の最適化など検討の余地がある。
ACバイパス術後の川崎病経過観察におけるMRIの有用性について
東京逓信病院小児科 北爪 勉 鈴木淳子 稲葉利佳子
東京逓信病院放射線科 武村 濃
東京新病院放射線科 是永建雄
日赤医療センター小児科 薗部友良 土屋恵司
【目的】川崎病冠動脈障害のACバイパス術後例の経過観察において、MRIの有用性を検討した。
【方法】装置はPhilips社製の1.5T Gyroscan intera MR systemで、Navigator echo balanced TFE法(b-TFE法)、Black Blood法(BB法)の2方法を併用した。対象は、川崎病の12例(検査時年齢は5歳−25歳:中央値14歳)で、バイパスグラフトは20本:LITA(12)、RITA(5)、SVG(2)、rtGEA(1)であった。吻合部位はLAD(12)、RCA(6)、LCX(2)。今回は、(1)バイパスか依存の有無、(2)吻合部の描出、(3)吻合部より末梢の冠動脈血流状態の3点について検討した。
【結果】(1)は、CAGに基き、鋭敏度94.4%、特異度50%、陽性予測値94.4%、陰性予測値50.0%、有効度90%であった。(2)の描出率は75%、(3)は75%で血流の評価が可能であった。BB法は体内の胸骨接合部ワイヤーや止血クリップによる金属アーテイファクトを最小限にとどめることが可能であり、また冠動脈の閉塞の確認にも役立った。
【考察】非侵襲的な検査であるMRIにより、ACバイパス術後の川崎病例の経過観察が可能であることが示された。
川崎病冠動脈障害成人例の動脈硬化検診
日本大学医学部小児科 能登信孝 吉野弥生 原 光彦 岡田知雄 原田研介
【目的】川崎病冠動脈障害成人例(AKD)の動脈硬化促進性を評価する。
【方法】左右いずれかに冠動脈巨大瘤と有意狭窄を有するAKD26例(15〜42歳,平均19.6歳)を対象に、冠危険因子(RF)、前腕負荷(FMD%)、総頚動脈エコー法よるIMTおよびEpを検討した。
【結果】血圧、耐糖能異常に異常例はなく、BMIは1例に肥満(≧25)、2例に肥満傾向(25〜22)を、高脂血症(mg/dl)は3例(2例T-ch≧220、1例TG≧150)認められた。また喫煙は3例、家族歴は2例認められた。また7%未満のFMD%異常は5例に、IMT≧1.0mmのプラークとEp高値(≧80kPa)は何れも2例検出された。またRFを有した5/6例(83%)でFMD%は異常値を、RFを3つ以上有した2/3例(66%)でプラークとEp異常が認められた。
【考察】RFの集積による動脈硬化促進性がAKDに認められ、FMD%とIMTによる動脈硬化スクリーニングと治療介入がAKD例に必要である。