Infliximabが有効であったガンマグロブリン・ステロイドパルス療法無効の川崎病2例
 
東邦大学第一小児科 監物 靖 嶋田博光 高月晋一 中山智孝 松裏裕行 月本一郎 佐地 勉
【症例1】4歳男児。第12病日に当院受診。主要症状6/6の典型例。同日IVIG 2g/kg投与、第13・15・17病日にステロイドパルス療法(iMP)15mg/kgと第19病日にIVIG 2g/kgの追加投与を行うも無効であり、右冠動脈拡張を認めたため第21病日にinfliximab 5mg/kgを投与した。その後速やかに解熱し炎症反応も改善した。
【症例2】5歳女児。第4病日に他院を受診。主要症状6/6の川崎病典型例。同日IVIG 2g/kg投与、第6・7病日にiMP20mg/kgを行うも無効であり第8病日に当院転院。3回目のiMP後も症状持続し右冠動脈が拡張した。第10病日にinfliximab 5mg/kgを投与し速やかに解熱し炎症反応も改善した。
大量ガンマグロブリン不応性川崎病症例に施行した血漿交換療法の後方視的検討
〜不応例基準と重症度スコアの評価〜

横浜市立大学小児科 高橋亨岳 森 雅亮 今川智之 横田俊平
大量ガンマグロブリン(IVGG)不応例の判定基準および重症度スコアは個々の施設で設定され、全国的に標準とされるものが存在していないのが現状である。今回我々は当科で経験した、IVGG不応のため血漿交換療法(PE)を施行した難治例116例(男児73例, 女児43例、年齢2.3±1.8歳)について、従来からの不応例基準(発熱持続期間、体温など)および各種重症度スコア法(原田のスコア、岩佐のスコア、fractional changeなど)の適性を後方視的に検証し、標準的に使用できる基準もしくはスコア法の模索を試みた。重症度判定基準は簡便で有用性が高い方法が好ましいが、その検討結果を報告する。 今後、難治例の診断・治療に関しては、一定の不応例基準および重症度スコアの導入の検討は必須であると思われる。
IVIG追加投与不応例の検討 ―次の治療戦略は?
公立陶生病院小児科 浅井俊行
当院では平成9年5月よりIVIG 2g/kgまたは1g/kgの単回投与を行い、不応例については追加投与を行っている。その期間に川崎病の入院患者数は144例であった。IVIG治療を行ったのは126例で、追加投与を行ったのは24例(19%)であった。そのなかで追加投与に不応例が7例(5.5%)存在した。IVIG追加投与後の治療内容は、(1)IVIG再々投与のみ;1例 (2)ウリナスタチン(UST)のみ;1例 (3)IVIG+UST; 3例 (4)IVIG+UST→メチルプレドニゾロンパルス療法;1例 (5)プレドニゾロン+IVIG+UST; 1例である。径8mm以上の巨大冠動脈瘤は(1)、(2)、(4)の3例に出現した。他の4例は経過中4〜5mm程度の一過性拡張を認めたが退院時にはすべて退縮していた。
【結語】追加投与不応例は巨大冠動脈瘤が出現する頻度が高いので、次にどのような治療戦略で行くか?につき幅広く御教示を賜りたい。
ウリナスタチンの早期併用療法により冠動脈病変の進行を認めなかった重症川崎病の3例
東京医科歯科大学小児科 細川 奨 佐々木章人 脇本博子 土井庄三郎  
ウリナスタチン(UTI)は、IVIG不応例に対する治療手段とされ、現時点では冠動脈病変予防効果に関するエビデンスはない。今回われわれは発症早期より原田のスコアの高い重症川崎病3例に対しUTIを早期併用投与し、冠動脈病変の進行を認めなかったので報告する。 3症例は典型例で3−5病日で診断基準を満たし、その時点で原田のスコアは2例が5点、1例が6点で重症例であった。aspirinとIVIG2g/kg投与にて治療を開始し、3例ともIVIG1-2g/kgの追加投与を必要とした。UTIの使用開始日は1例は3病日、2例は7病日で5,000単位/kgx3-6/日を使用した。いずれの症例もUTI使用前後において冠動脈病変に変化を認めなかった。 以上の結果から、川崎病治療において原田のスコアを重症度評価として用い、重症例に対してUTIの早期併用療法は冠動脈病変の予防に有効であると考えられた。