川崎病急性期患者末梢血単核球のToll-like receptor(TLR)発現について
 
東邦大学医学部第二小児科 二瓶浩一 道海秀則 中里純子 山口佳世 岸田 勝 青木継稔 四宮範明
【はじめに】自然免疫系におけるToll-like receptor(TLR)の研究は、病原体の認識機構の解明に大きな進歩をもたらした。発症原因が不明の川崎病において、免疫担当細胞上のTLRmRNA発現レパートリーの検討は、病初期の病態解明に重要である。
【方法】川崎病患者40名。発病初期および回復期の患者末梢血単核球を分離し、RT-PCR法にてTLRmRNA発現レパートリーを検討した。そして他の発熱性疾患(大腸菌尿路感染症、マイコプラズマ肺炎、アデノウイルス感染症、EBウイルス感染症)の発現レパートリーと比較した。
【結果と考察】川崎病患者末梢血単核球は、TLR6mRNAおよびTLR9mRNAが約70%の症例で強く発現しており最も高頻度であった。川崎病の急性期と回復期におけるTLRmRNA発現レパートリーの検討では、有意な傾向は認めなかった。比較した疾患群の中では、EBウイルス感染症の発現レパートリーに類似しており、興味深い所見と思われた。
川崎病とEBウィルス感染との関連―HERV-K18(EBV関連スーパー抗原)とK18 allele typingからみた検討
金沢医科大学小児科 高 永煥
Tufts大学病理学 ブリジッド フーバー
川崎病(KD)におけるEBウィルス(EBV)感染の関連とKDにおける遺伝的背景を検討する目的で,EBV関連スーパー抗原遺伝子HERV-K18の発現及びそのallele の亜型をみた.
【方法と結果】1)KD急性期の血液DNAよりreal-time PCRにてEBV genomeの検出を行ったが, 陽性はKD群 4/46(9%), 対照群 4/21(19%)で差はなかった.2)血液DNAよりreal-time PCRにてHERV-K18 allele typingを行ったが、日本人(J)とCaucasian(C)では有意に差がみられた(p=0.00013)が,KD群と対照群では差はなかった.3)血液RNAよりRT PCRにてHERV-K18の発現の程度をみたがKD群と対照群で差は認めなかった.
【結論】HERV-K18 allele typingは有意にJ群とC群では差がみられたが、KERV-K18がKD発症の上で何らかの役割があるのかは今回EBV陽性KDの症例が少なく,さらに症例を増やして検討する必要がある.
川崎病患児における血管内皮前駆細胞の検討
京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学 岩崎直哉 浜岡建城
財団法人 先端医療センター再生医療研究部 浅原孝之 西村浩美
【目的】血管内皮前駆細胞(以下EPC)は、血管新生に深く関与し、成人においては外傷や虚血性病変などが刺激となり、骨髄から動員され末梢血液中で増加する。また、内皮傷害もEPC数に影響を与えることから、川崎病患児におけるEPC数の変化を計測、検討する。
【方法】川崎病患児の末梢血液より単核球分画を抽出し、一定期間培養の後、血管内皮細胞の性質を持つ細胞の数を計測し、病期および冠動脈病変の有無にて分類し、比較検討を行う。対照として、有熱性疾患に罹患した患児の末梢血液を用いた。
【結果】急性期において、EPC数の増加がみられた。そのうち、冠動脈に形態変化をきたした症例ではより増加の傾向を示した。遠隔期については、冠動脈後遺症を有している群では有していない群に比べ、増加していた。
【考察】川崎病の急性期では、EPC数の増加は内皮傷害を反映しており、細胞数の計測は、川崎病の重症度を評価する手段となりえると考える。
免疫グロブリンは末梢血好中球、単球の走化性に影響を与えない
日本医科大学小児科学教室
 池上 英 深澤隆治 鈴木伸子 初鹿野見春 渡邊美紀 倉持雪穂 大久保隆志 上砂光裕 勝部康弘 小川俊一
【目的】今回我々は免疫グロブリンの、好中球・単球の走化性にあたえる影響について検討した。
【方法】健常ボランティアから採取した血液をコントロール(血液3ml+生食1ml)、Intact IgG(血液3ml + 5% Intact type IgG 1ml)、Trypsinized IgG(血液3ml + 5% Trypsinized IgG 1ml)の3群に分け、37℃ 30分間 Incubation後 Lymphoprep(AXIS-SHIELD PoC AS)及び、MACS monocyte isolation kit(Miltenyi Biotech)により単離した、単球、好中球(顆粒球) を用いEZ TaxiScanにてその走化性を測定した。
【結果】好中球、単球双方において、走化性は3群間で有意差を認めなかった。
【考察】正常人の末梢血好中球、単球に免疫グロブリンを作用させてもその走化性に差異はなかった。川崎病患者においても同様か否かは今後検討を要する。