遠隔期川崎病冠状動脈病変に生じる石灰化についての病理組織学的検討
 
東邦大学医療センター大橋病院病理 高橋 啓 大原関利章 横内 幸 若山 恵
桐蔭横浜大学工学部医用工学科 直江史郎
【目的】巨大動脈瘤にしばしば生じる石灰化について病理組織学的検討を加える。
【対象と方法】罹患後1年以上経過し死亡した12遠隔期川崎病例の冠状動脈病変に対し、石灰化の有無、性状、分布について検索をおこなった。
【結果】石灰化は罹患後1年8ヶ月以降死亡例で観察された。また、標本上径7mm以上の動脈瘤に限られ、血管炎瘢痕を残す瘤非形成動脈にはみられなかった。動脈瘤が開存したまま残存する場合、石灰化は硝子化に陥った瘤壁に沿い心筋側から瘤全周へと進展し、最終的に瘤を取り囲み殻状の石灰化を呈するに至る。また、石灰化の内側には浮腫性の内膜肥厚が薄く生じていた。瘤流出部では器質化血栓を含む内膜肥厚により内腔狭窄がもたらされていたが、石灰化はみられなかった。一方、血栓性閉塞後再疎通を来たした瘤では、器質化血栓内に大小結節状、顆粒状の石灰化がみられた。石灰化周囲にはスリット状の新生血管が生じ、新生血管破綻による出血も観察された。
NF-κB活性化およびCD16(FcγRIII)発現抑制に対する免疫グロブリン製剤とステロイド薬の比較
山口大学小児科 市山高志 金子美保 松原知代 古川 漸
私共は免疫グロブリン製剤(IVIG)のNF-κB活性化抑制作用とactivation rec eptor FcγRIII(CD16)発現抑制作用について川崎病患児の末梢血や培養細胞 を用いて報告してきた(Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol 2004, Infla mm Res 2004, Reumatology 2005)。NF-κB活性化抑制作用(単球系培養細胞T HP-1、T細胞系培養細胞Jurkat、ヒト正常冠動脈血管内皮細胞)とFcγRIII発 現抑制作用(単球系培養細胞THP-1)についてIVIGとステロイド薬(Dexametha sone: DXM)を比較検討し、報告する。
γ-グロブリン不応の難治性川崎病に対する血漿交換療法の有効性
〜血漿交換による炎症性サイトカインの除去〜

横浜市立大学小児科 小林直樹 今川智之 森 雅亮 横田俊平
【目的】川崎病の約10%にγ-グロブリン大量(IVGG)治療不応例が認められるが、当科ではIVGG不応例に対し、血漿交換(PE)治療を実施して良好な成績を得ている。今回、IVGG不応例の川崎病に対するPE療法の効果についてサイトカイン動態の見地から検討した。
【方法】IVGG不応例でPE治療を施行した川崎病患児の治療前後における血清中のサイトカイン濃度をCBA法およびELISA法にて測定した。
【結果】IVGG有効例では治療前で高値であった血中IL-6およびsTNFR濃度は治療後に減少していた。一方、不応例ではIVGG治療後もそれらのサイトカイン濃度は高値を示していたが、PE治療後には減少していた。
考察】IVGG不応例の川崎病患児では血中サイトカイン濃度が減少しないあるいは治療後に再上昇することが炎症反応の持続につながると考えられ、血中サイトカインおよび病因因子の除去を目的としたPE療法はIVGG不応例に対して有効であると思われる。