γ-グロブリン投与(IVIG)前後における川崎病患児の
好中球形態・IL-6・GCSFの変動に関する検討
| 岡崎市民病院 瀧本洋一 早川文雄 長井典子 近藤勝 加藤徹 鈴木基正 林誠司 後藤研誠 中田智彦 |
【背景】川崎病においては血管炎発現の初期に好中球の果たす役割は重要である。
【目的】IVIG前後での末梢血好中球の形態変化やIL-6・GCSF・各種検査値の変動から、追加投与が必要な症例や冠動脈病変(CAL)high
risk症例を早期に選別するための指標を検討する
【対象・方法】対象はH17年4月〜H18年3月に当院で川崎病と診断した38例のうち検討項目を満足し得た34例(男:女=28:6)。これをT群(28例):IVIG×1でCAL(−)とU群(6例):IVIG追加またはCAL(+)に分類し比較検討した。好中球形態は×1000倍顕微鏡下で30個の好中球を観察し顆粒形成(G)、空胞形成(V)の割合で比較した。
【結果】IL-6、GCSFはIVIG後、T群の2例を除く全例で減少。平均値の比較ではT・U群間に有意差を認めなかった。好中球形態については、IVIG前にはT・U群間で差を認めなかったが、IVIG後には(G)、(V)ともにU群で有意に高値となった。その他の検査値ではIVIG前のAST、ALT、IVIG後の好中球数、CRP、AST、ALT、FibでT・U群間に有意差を認めた。
【考案】IL-6、GCSFについてはT・U群ともIVIG後に平均値が有意に減少した。しかし症例ごとの変動には一定の傾向がなく、T群とU群の比較では有意差を認めず、追加投与やCAL
high risk症例選別の指標となり得なかった。一方、好中球の形態変化は、IVIG後にU群において有意な高値であり、これはU群において好中球の活性化が遷延していることを示す重要な所見と推測した。今後、好中球数、AST、ALTなどに「好中球の形態変化」を加味したスコアーを考案することで、追加投与・冠動脈病変high
risk症例の早期選別を行い得る可能性があると考えた。 |
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BNP迅速測定は急性期に症状の揃わない
川崎病の診断に有用である
大阪医科大学小児科 尾崎智康 片山博視 奥村謙一 井上奈緒 玉井浩
済生会吹田病院小児科 森保彦
阪和住吉総合病院小児科 清水俊男
北摂総合病院小児科 清水達雄 |
【目的】我々は以前、川崎病急性期での診断に脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の有用性を報告した。しかし従来の測定法では結果を得るのに数日を要し、迅速な臨床診断への応用は実用的では無かった。最近、BNPの迅速測定が可能となった。我々は川崎病急性期に従来の測定法と迅速測定法を比較検討し、川崎病の早期診断におけるBNPの有用性を検討した。
【方法】152例の急性期川崎病患児と52例の川崎病以外の急性熱性疾患(対照群)で、BNPを測定した。川崎病患児のBNPの測定時期は、第2病日8例、第3病日20例、第4病日46例、第5病日41例、第6病日以降37例であった。152例中33例はBNP測定時に4症状以下の“症状の揃わない”川崎病であった。BNP迅速測定はPATHFAST(三菱化学ヤトロン社製、CLEIA法)を用いた。また、我々は川崎病の診断に対する従来の測定法(シオノリアBNP)で得たBNP値の感度・特異度も検討した。カットオフ値は18.4pg/mlとした。
【結果】PATHFASTによるBNP迅速測定値と、シオノリアBNPによる従来のデータとの相関は極めて良好であった。(r=0.994、Y=1.04x-6.53)BNP値は第2病日には38.5pg/mlと上昇し、第5病日には79.4pg/mlとピークに達した。
BNP値は152例中128例で基準値以上の上昇を認め、BNP測定時に4症状以下の33例中26例で上昇を認めた。対照群では52例中3例のみで上昇を認めた。診断に対する感度・特異度はそれぞれ84.2%、94.2%であった。BNP測定時に4症状以下の症例では感度・特異度は78.8%、94.2%であった。
【結論】BNP迅速測定法は従来の検査法と同等の精度であり、川崎病を早期に診断する上で有用である。 |
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当科における川崎病冠動脈病変に対する
ジピリダモール負荷心筋血流SPECT
| 兵庫県立こども病院循環器科 齋木宏文 鄭輝男 城戸佐知子 藤田秀樹 藤井麻衣子 |
【背景】当科では急性期に中等度以上の冠動脈病変を認め、リスクが高いと考えられた症例に対して負荷心筋SPECTが施行されてきたが、従来の報告同様、造影所見との解離が少なくない。
【目的】検査の適応を明確にし、一般化に伴う特異度の低下を軽減すること。
【対象】慢性期に負荷心筋SPECTを施行した左脚ブロックを伴わない34例。
【方法】ジピリダモール負荷後に軽い運動負荷を行い、心筋SPECTを撮像。明らかなfill
inまたはdefectを認めた症例を陽性、そうでないものを陰性とし同時期のカテーテル所見と比較。核種はTc99mまたはTl201を使用し負荷像と安静像を主要3枝の支配領域ごとに評価。
【結果】核種に依存すると思われる明らかな検出力の差異は認めず。
<SPECT陽性症例>検査回数21。男16例、女3例。発症年齢2.6±2.5歳。罹患後フォローアップ期間16.6±6.2年。遠隔期死亡1例、CABG2例。SPECT所見:検査年齢11.6±3.6歳。fill
in 18、集積欠損3。造影所見:異常部位に一致した病変なし11例、有意狭窄(75%以上)4例、瘤形成7例(全8血管うち巨大瘤7。)。病変なし領域のSPECT所見は全例fill-in
(LAD領域9例、RCA領域2例)。
<SPECT陰性症例>検査回数17。男11例、女4例。発症年齢2.7±2.3歳。罹患後フォローアップ期間12.2±4.3年。イベント発生なし。検査年齢7.7±3.9歳。造影所見:狭窄50%未満4例。巨大瘤1例。軽度拡張〜所見なし12例。以上より有意狭窄検出感度
100%,特異度 48%。巨大瘤+有意狭窄検出感度 92%,特異度 59%。
(1)イベント発生例を検出。(2)有意狭窄例を全例検出。(3)陽性症例で造影上所見がない例は約半数を占め、LAD領域が多い。(4)有意狭窄症例は全例急性期に巨大瘤を認めた。
【結論】負荷心筋シンチ陽性症例はハイリスク症例を含み、超音波や造影上あきらかな狭窄や巨大瘤を認めた症例の観血的検査適応の鑑別、予後評価やフォローアップの指標に適する。病初期エコーで中等瘤程度の症例では偽陽性の頻度が高く、形態診断を優先するのが妥当。問題点として偽陽性例
(主に健常小児で集積低下の多い、LAD領域ではあるがfill-inが明瞭)の意義について明確な結論がないことが挙げられ、予後の検討が必要。 |
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川崎病重症冠動脈障害例に対する
低侵襲的冠血流評価の有用性に関する検討
| 日本大学小児科 金丸浩 唐澤賢祐 阿部修 宮下理夫 谷口和夫 鮎沢衛 住友直方 岡田知雄 原田研介 |
【目的】2002年から学童期以降の川崎病冠動脈障害例に対する経過観察において、運動負荷心筋SPECTによる心筋灌流評価とMulti-slice
spiral CT(MSCT)による冠動脈形態評価を行っている。この低侵襲的冠血流評価で選択的冠動脈造影(CAG)を必要と判断した5症例について、本法の有用性を検討した。
【方法】対象は川崎病重症冠動脈障害5例で、CAG上4例に冠動脈狭窄、全例に冠動脈瘤を認めた。平均年齢は24.4歳(16〜37歳)であった。冠動脈形態評価はSiemens
SOMATOM Volume Zoom(4列)またはToshiba Medical Aquilion16(16列)MSCT、心筋灌流評価はエルゴメーター負荷Tc-99m
tetrofosmin 心筋SPECTを用いた。低侵襲的冠血流評価で有意狭窄性病変を検出した症例に対し治療方針決定のためCAGを施行し、その評価に関する検討を行った。
【結果】CAG所見がMSCTとSPECT所見の組み合わせによる低侵襲的冠血流評価に合致したものが2例、低侵襲的冠血流評価の組み合わせが過大評価(瘤の近傍から分枝する対角枝に対するMSCTのアーチファクトとSPECTの部分容積効果)であったものが1例、低侵襲的冠血流評価の内SPECTと合致しMSCTが過大評価(高度石灰化瘤による部分容積効果)であったものが1例、およびMSCTと合致しSPECTが過小評価(高度狭窄性病変に対する軽度の灌流低下)であったものが1例であった。
【考察】有意狭窄性病変を検出する診断法として、MSCT、SPECTおよびCAGは各々の冠血流動態・観察部位が異なる。川崎病重症冠動脈障害に対する低侵襲的冠血流評価で陽性所見を認めた場合には、モダリティの特徴(ミスマッチをおこすファクターおよびアーチファクト)を把握し、総合的な臨床的評価が重要である。 |
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