川崎病におけるウリナスタチン先行投与の影響
広島市立広島市民病院小児循環器科 木口久子 中川直美
広島市民病院小児循環器科 鎌田政博 |
【背景】川崎病におけるウリナスタチン(UTI)投与の有効性は議論のあるところである。
【目的】病初期からのUTI投与が冠動脈瘤の発生率、臨床像に与える影響について検討した。
【方法】対象は平成8年から平成18年7月までに当院でガンマグロブリン大量療法を含む川崎病急性期治療を受けた237名中以下に条件に該当した182例。それらをガンマグロブリン大量療法後、解熱しない症例にのみUTIを投与した症例:A群;UTI先行投与なし群(N=87、男:女=56:31、月齢24.611±18.6ヵ月;2‐77ヵ月)と、ガンマグロブリン投与の1日以上前からUTIを投与した症例:B群;UTI先行投与群(N=95、男:女=55:40、月齢25.6±18.0ヶ月;2−106ヵ月)にわけ、冠動脈瘤の発生率、ガンマグロブリン追加投与の割合などについて検討した。
【結果】男女比、月齢、6ヵ月未満の占める割合、川崎病腫主要症状の項目数、原田のスコアについては両群間に有意差を認めなかった。ガンマグロブリンの追加投与を行った割合はA群16.0%(14/87)、B群14.7%(14/95)と同等であった。冠動脈瘤(径4mm以上)の合併率もA群4.6%(4/87)、B群で5.3%(5/95)であったが、A群では冠動脈瘤をきたした4例中全例にガンマグロブリン追加投与が行われていたが、B群では初回のガンマグロブリン投与で解熱していたため、5例中4例では追加投与が行われていなかった。
【結語】病初期におけるUTI投与は川崎病の炎症症状をマスクすることにより、ガンマグロブリンの追加投与が行われず、冠動脈瘤の合併率を高める可能性が示唆された。 |
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各種治療に抵抗性の川崎病にシクロスポリンAが有効であった1例
| 富山大学医学部小児科 渡辺綾佳 斉藤和由 上勢敬一郎 金兼弘和 市田蕗子 宮脇利男 |
| 症例は3歳女児。高熱が続き第5病日には眼球結膜充血、口唇紅潮、手掌紅斑、硬性浮腫と川崎病の診断基準を5/6 満たし、紹介医にて川崎病と診断された。同日γ-グロブリン大量療法(2g/kg)を行い、翌日不定形発疹は消失したがその他の症状は軽快せず解熱も認めなかった。そのため、追加療法として第7病日にγ-グロブリン大量療法(2g/kg)を再度行った。その後も40℃以上の発熱が続きγ-グロブリン不応の川崎病として第8病日に当院小児科に紹介入院となった。ウリナスタチン投与を併用したが無効であり、第9病日にInfliximabの投与(5mg/kg)を行った。しかし解熱せず、採血でもCRP18とさらに上昇傾向を認め白血球数も高値を示したままであった。そこで第11病日に再度Infliximab(5mg/kg)の投与を行った。投与後速やかに解熱を認め翌日には37.7℃にまでなり、採血でも白血球の改善は認めないもののCRPは7.9と半減した。このまま病勢が治まるかに思えたがその翌日(第13病日)には再び発熱、川崎病の主要症状の再燃を認め、第14病日からステロイドパルス療法を2クールおこなった。しかし2クール後も再燃し、第28病日からシクロスポリン1.3mg/kg/day静注を開始した。開始後緩やかに症状は消失し解熱した。第32病日にシクロスポリンは内服に変更し、退院後漸減中止可能であった。4ヶ月のフォロー中再燃は認めず、心臓カテーテル検査でも冠動脈病変は認められなかった。Infliximabは2回投与を試みたが、効果は不十分であった。病勢と一致した各種サイトカイン値の変動があり、難治性川崎病の一例として経過とともに報告する。
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Cyclosporineが有効であった難治性川崎病の1歳男児例
| 市立豊中病院小児科 五十嵐岳宏 小林尚弥 福島文 森田祥子 佐藤恵実子 川上展弘 吉川真紀子 徳永康行 松岡太郎 |
| 症例は1歳5ヶ月の男児。発熱により発症し、川崎病第4病日より大阪川崎病共同治療研究会グループのハイリスクプロトコールに従いmethylprednisolone併用γグロブリン大量療法を開始した。不応のため第7病日より同療法を再度行うものの、不応のため第9病日から第11病日までdexamethasone点滴静注を行った。一旦解熱するものの第12病日より再度発熱・口唇発赤及び右冠動脈の拡大傾向を認めたため、第13病日よりcyclosporine療法を開始した。第15病日より解熱し炎症反応も陰性化した。第24病日より減量したところ37℃台後半の微熱が出現し炎症反応も軽度上昇を認めたため、第30病日より減量前の量にもどしたところ36℃台になり炎症反応も軽快した。次回cyclosporine減量する際に再度再燃を防ぐために第35病日よりprednisolone内服を併用した。第38病日で炎症反応陰性化認め、第45病日よりcyclosporineを漸減中で現在のところ再燃や副作用は認めていない。以上より、γグロブリン不応例の難治性川崎病に対する治療法のうち、cyclosporineは比較的他の疾患で頻用されている点、リスクや副作用が少ない点、さらには費用対効果の点からみて多くの施設で選択しやすい治療法として位置付けられると考えられた。 |
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