重症川崎病患者に対するガンマグロブリン・プレドニゾロン初期投与の有用性
群馬大学大学院小児生体防御学分野 小林徹 井上佳也 岡田恭典 友政剛 田村一志 篠原真 森川昭廣
高崎健康福祉大学 竹内一夫
群馬県立小児医療センター循環器科 小林富男 |
【目的】初期治療開始前に重症度を判定し、リスク別にガンマグロブリン・プレドニゾロン初期投与の効果を検討すること。
【方法】2000年9月〜2005年3月に群馬大学関連病院で行われた無作為化比較試験(Inoue
Y, et al. J Pediatr. 2006)に参加した188症例(IVIG群88例、IVIG+PSL群90例)を対象とし、リスクスコア(Kobayashi
T, et al. Circulation. 2006)を用いて後方視的に重症度の層別化を行った。リスクスコア4点以上を高リスク群、3点以下を低リスク群と定義した。リスク別にステロイド初期投与が予後に与える影響について分割表分析を用いて検討した。
【結果】リスクスコアを用い両治療群の約半数が高リスク群に分類された。高リスク群、低リスク群共に治療群間で患者背景、血液検査結果、スコア点数に統計学的な有意差はなかった。低リスク群においては治療抵抗例、冠動脈病変いずれもIVIG群、IVIG+PSL群で有意な差を認めなかったのに対し、高リスク群では冠動脈病変の発生頻度が有意にIVIG+PSL群において少なく、初期治療不応例の頻度もIVIG+PSL群で少ない傾向であった。治療開始後解熱するまでの日数は高リスク、低リスク群共にIVIG+PSL群で有意に短縮していた。一方治療開始後CRP陰性化するまでの日数は低リスク群で両治療群間に統計学的な有意差を認めなかったのに対し、高リスク群ではIVIG+PSL群で有意に短縮していた。
【考察】ガンマグロブリン・ステロイド初期併用療法は治療抵抗例であることが予想される高リスク群に対し予後を改善させる。我々のリスクスコアは初期治療を選択するツールとして有用である。 |
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免疫グロブリン不応例に対する再治療:ステロイドパルス療法の検討
北里大学大学院医療研究科小児科学 緒方昌平
北里大学医学部小児科 中畑弥生 藤野宣之 石井正浩
海老名総合病院 木村純人 林初香 越野浩江
相模原協同病院 箕浦克則 橘田一輝 佐伯敏亮 |
【目的】免疫グロブリン(IVIG)超大量療法初回投与に不応であった川崎病症例の追加治療法について検討した。
【方法】平成16年度〜平成18年度の2年間に当院及び関連病院で川崎病と診断された127例のうち18例が初回IVIG療法に不応であった(14%)。18例のうち11例にIVIG追加投与を行い、7例に対してステロイドパルス療法を施行した。
【結果】追加投与後も寛解せず、さらに追加治療を行った症例はIVIG群3例、ステロイドパルス群2例であった。有熱期間はIVIG群11日間、ステロイドパルス群12.3日間であった。冠状動脈瘤合併例はIVIG群2例、ステロイドパルス群0例であった。
【結論】今回の検討で追加治療法による大きな違いは認めなかった。IVIG不応例への追加治療法として、ステロイドパルス療法も有用であると考えられた。
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初回IVIG不応の急性期川崎病に対する
メチルプレドニゾロンパルス療法の治療効果
| 東邦大学医療センター大森病院小児科 直井和之 池原聡 嶋田博光 高月晋一 中山智孝 松裏裕行 佐地勉
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【目的】初回ガンマグロブリン(IVIG)不応の急性期川崎病典型例に対するメチルプレドニゾロンパルス(MP)療法の治療効果を後方視的に検討した。
【方法】IVIG(2g/kg)投与開始後48時間以内に解熱(37℃以下)を認めないものをIVIG不応例とした。初回IVIG不応例に対して22例はMP(15mg/kg)を14例はMP(20mg/kg)をいずれも2hr点滴静注で追加投与し、その治療前後の臨床データを検討した。
MPの初回投与病日は平均6.4病日であった。
【結果】体温:MP(15mg/kg)群の22例中18例は、1回投与で48時間以内に解熱し、その有効率は82%であった。残り4例のうち1例はMP複数回投与に対して不応であった。MP(20mg/kg)群では14例中8例が1回投与で解熱し、その有効率は57%であった。残り6例のうち2例はMP複数回投与に対して不応であった。体温低下が最も著しい時間は、MP(15mg/kg)群では投与6時間後、MP(20mg/kg)群では投与12時間後であった。CRP値の減少率:MP(15mg/kg)群は、IVIG前と終了12〜24時間後では−31%、MP前と終了24〜48時間後では−73%であった。MP(20mg/kg)群は、それぞれ−31%、−58%であった。
冠動脈拡張病変:全36例中0例であった。 低体温:35℃以下はMP(15mg/kg)群では22例中3例、MP(20mg/kg)群では14例中0例でいずれも一過性の低下であった。
MP療法後の感染による再発熱:MP(15mg/kg)群では22例中2例(9%)、MP(20mg/kg)群では14例中4例(29%)であった。
【まとめ】IVIG(初回)不応例に対してMP(15〜20mg/kg)は36例中26例(72%)に48時間以内の解熱が認められ、有用であった。低体温と使用後の感染徴候には注意を要する。
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免疫グロブリン療法不応の川崎病に対する
ステロイドパルス後経口プレドニゾロン療法の効果と副作用の検討
東京都立清瀬小児病院循環器科 河野一樹 武井大 大木寛生 葭葉茂樹 三浦大 佐藤正昭
東京都立清瀬小児病院 松岡恵 |
【背景】当院では、初回免疫グロブリン療法(IVIG)不応の川崎病に対しIVIGを追加し、追加IVIG不応に対しステロイドパルス療法(IVMP)後プレドニゾロン(PSL)経口投与を行い、良好な成績を得ている。
【目的】IVMP後経口PSL療法の有効性と安全性を評価すること。
【対象・方法】2003年7月〜06年6月、初回IVIG(2 g/kg/24hr)を行った川崎病259例のうち、投与終了後36〜48時間後に37.5℃以上の発熱を認めた51例(19.7%)を不応例とし、同量のIVIGを追加した。追加IVIG終了後に37.5℃以上の発熱を認めた15例(29.4%)を不応例とし、IVMP(メチルプレドニゾロン
30 mg/kg/day、3日間;IVMP開始は第8〜13病日)を行い、後療法としてPSLを経口投与(1 mg/kg/dayを1週間、以後1週間で漸減中止)した。ヘパリン、抗生剤、H2ブロッカーを併用した。この15例(男9例、女6例、年齢2ヵ月〜8歳7ヵ月:中央値2歳9ヵ月)を対象とし、後方視的に検討した。
【結果】IVMPの開始(第8〜13病日)当日から全例解熱したが、2例(13.3%)に炎症が再燃した。PSL減量中にCRP値の再燃を認めた1例にはPSL増量(投与期間24日)で、PSL中止後に発熱およびCRP値の再燃を認めた1例には3回目のIVIGで加療した。冠動脈病変は後者の1例のみ(拡大病変)に生じ、他の14例は正常であった。副作用に関しては、IVMP中に低体温(35℃台8例、34℃台2例)、洞性徐脈(13例)、高血圧(8例)、高血糖(10例)を一過性に認めたが、PSL開始後に増悪を認めた例はなかった。房室ブロック、心室頻拍、心房粗動などの重症不整脈、消化管出血、梗塞症状、神経症状、精神症状、2次感染は認めなかった。
【考察】IVMP中に洞性徐脈、低体温、高血圧、高血糖を高率に認めたがいずれも一過性で重篤な副作用は生じなかった。経口PSL療法開始後は副作用の増悪はなく、IVMP後経口PSL療法は冠動脈病変の抑制に有効で安全性も高い、と考えられた。
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