川崎病におけるγグロブリン1g/kg投与に対する
反応例、不応例の検討
| 自治医科大学小児科 市橋光 佐藤麻美 白石裕比湖 |
【目的】当院では原田のスコアを基に川崎病に対するγグロブリン療法の適応を決定している。1g/kgの靜注後、改善がなければさらに1g/kgの追加投与を行なっている。今回、1g/kgのみで軽快した症例と、その後にγグロブリンの追加投与が必要だった症例とを比較し、反応例と不応例を予測することができるかを検討した。
【方法】対象は、過去4年間に当院へ入院した川崎病患者のうち、γグロブリン療法が行なわれた84例である。初回1g/kg投与で軽快した56例を反応群、追加投与を必要とした28例を不応群として、男女比、年齢、γグロブリン療法前の血液検査、原田のスコア、γグロブリン初回投与病日を比較検討した。解析にはMann-WhitneyのU検定を用いた。
【結果】男女比は反応群で男児37例、女児19例、不応群で男児19例、女児9例であった。年齢は反応群で1.9±2.0歳、不応群で2.0±2.2歳で、両群に差を認めなかった。血液検査ではWBC、Ht、Plet、TP、Alb、Na、ESRには差を認めなかったが、CRPは不応群で高かった(反応群8.0±4.1mg/dl、不応群10.1±4.2mg/dl)。原田のスコアは不応群で高かった(反応群4.6±1.1、不応群5.2±0.8)。γグロブリン初回投与病日は不応群で早かった(反応群5.9±1.3日、不応群5.2±0.8日)。
【考察】CRPおよび原田のスコアが低い症例は、2g/kgではなく1g/kg投与を考慮すべきである。逆にこれらが高い場合は、初めから2g/kg投与を考慮すべきである。第4病日以内のγグロブリン投与は効果を減弱させる可能性がある。 |
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川崎病のグロブリン不応例について
| 名古屋第二赤十字病院小児科 岩佐充二 横山岳彦 安藤恒三郎 |
川崎病の重症例に対して、多くの施設ではグロブリン(IVIG)の再投与が行われているが、IVIG療法にも不応例がある。ステロイドを使用しないで、IVIG療法の限界を明らかにすることを目的とした。
【方法】99年7月から06年6月までに本院に8病日以内に入院し、入院時やIVIG投与前に冠動脈拡張(CAL、+2.5sd以上)が無い、定型264例のケースシリーズを対象とした。ポリエチレングリコール処理グロブリンを投与し、解熱しない場合はIVIGの追加投与を繰返すというプロトコールに従い治療を行なった。
【結果】264例のうちIVIGを投与しなかったのは29例、投与したのは235例であった。264例のうちCAL例は11例で、30病日の時点のCALは6例で、全例1年以内に正常に退縮している。発熱期間が8日以内の例は210例で、そのうちCAL有は6例であった。発熱期間が9日以上の例は54例(CAL有5例)であった。発熱期間が9日以上の群で、9病日の熱が38.5度以上で、9病日のCRPが14mg/dl以上の例は6例(CAL有3例)、9病日の熱が38.5度以上で、CRPが14mg/dl未満の例は12例(CAL有0例)、9病日の熱が38.5度未満で、CRPが14mg/dl以上の例は3例(CAL有0例)、9病日の熱が38.5度未満で、CRPが14mg/dl未満の例は32例(CAL有2例)であった。9病日の熱が38.5度以上で、CRPが14mg/dl以上の6例のIVIG使用量は一人当たり3から9g/kg(平均5.1g/kg)であり、血漿交換療法はこの中の3例(CAL有1例)に施行した。
【考察】解熱しない例にIVIGを繰り返しても、9病日の熱が38.5度以上でCRPが14mg/dl以上の例をIVIG不応例と考えた。このIVIG不応例は2.2%(6/264)で、このような例に対して治療戦略を考える必要がある。 |
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神奈川県における川崎病ガンマグロブリン不応例の背景:
第17/18回全国川崎病調査より
昭和大学横浜市北部病院こどもセンター 野中善治 曽我恭司 松岡孝
昭和大学横浜市北部病院循環器センター小児科 上村茂 |
【背景】川崎病のガンマグロブリン療法(以下IVGG)不応例は未解決の問題であり、不応例の予測と早期対応が冠合併の予防には不可欠である。神奈川県は東京都に次いで川崎病症例数が多い。県内のIVGGに対する反応の背景を吟味することには意義がある。
【目的】第17・18回の全国調査のデータから県内治療例の臨床経過を解析し不応例の背景を探ることで治療開始早期に不応例を予測評価しうる条件を模索する。
【対象】第17・18川崎病全国調査のデータから神奈川県内の施設で治療を受けた症例。なお重複例は症例ごとに統合した。記載不備などの症例は対象から除外した。
【方法】IVGG症例を中心に解熱反応(IVGG開始与日から解熱日までの日数)、IVGG投与量、性別、年齢、等を反応群(3日以内解熱R群)不応群(4日以降UR群)別に検討。
【結果】IVGGを受けた症例のみを対象として解析。解熱反応が2日以内に診られた群は全体の63.3%、3日以内が計77.3%、4日目以降が22.7%。2日以内では冠動脈合併は急性期約7%、慢性期約2%だが3日以降5日までの群ではそれぞれ約19%、5.2%、6日以降で63%、20%と頻度は上昇。急性期合併は解熱が3日目以降から頻度が高くなる傾向であり、6日以降でさらに上昇。慢性期合併は6日目以降で特に頻度が高い傾向。解熱反応の傾向をR(3日以内の解熱R群)と不応群(4日以降UR群)で見た。各群のIVGG投与量の平均値ではR群1976mg、UR群2978mg、初診病日4.3日、3.9日、治療開始日5.3日、4.9日、解熱反応1.8日、6.48日、解熱病日7.1日、11.4日、日齢889、955、であった。
【考察・結語】R群とUR群の間には平均値での有意差がいくつか見られるが治療前の危険因子を確認することはこの研究からは困難である。今後、一定以上のサイズを持った母集団での前方視的共同研究が望まれる。
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免疫グロブリン療法不応例のG1Mアロタイプ
山口大学大学院医学系研究科小児科学分野 竹川剛史 上野佳子 市山高志 松原知代 古川漸
川口済生会総合病院小児科 佐野弘純 島村直紀 河野智敬 大山昇一 |
【はじめに】川崎病のヒト免疫グロブリン療法(IVIG)不応例の予知とその治療について多くの検討がなされているが、未だ確立したものはない。免疫グロブリンIgGの大部分を占めるIgG1にはH鎖上の定常領域の抗原性の相違により、4種類のアロタイプ(G1Mアロタイプ)が存在する。川崎病患児血清およびヒト免疫グロブリン製剤中に含有するG1Mアロタイプを測定し、IVIG不応例の予知とその治療におけるG1Mアロタイプの意義について検討した。
【対象および方法】対象は1ヵ月-9才2ヵ月(中央値2才)の川崎病94例(男児48例)。IVIG例は85例で、有効例(IVIG後48時間以内に解熱)は70例、IVIG不応例(症状が改善せず追加投与を必要とした症例)は15例。正常対照は川崎病非罹患成人34例。免疫グロブリン製剤(帝人)は30ロットを測定した。血清および免疫グロブリン製剤中G1Mアロタイプ(G1M(1)、G1M(2)、G1M(3)、G1M(17))を血球凝集阻止反応法により測定した。
【結果と考察】G1M(1)とG1M(7)は100%陽性、G1M(2)とG1M(3)陽性率は川崎病(31.9%、20.6%)と正常対照(14.9%、14.7%)で差がなかった。IVIG不応例のG1M(2)陽性率は46.7%で有効例17.1%に比し有意に高値だった(p<0.02)。G1M(3)陽性率は有効例15.7%、不応例20%で差はなかった。免疫グロブリン製剤30ロットのG1Mアロタイプ分布はロット間で若干差があったが、すべてG1M(2)はG1M(1)より少量だった。G1M(2)はIgGのCH3に存在するアロタイプで、川崎病のIVIGに対する応答性に影響していた。G1M(2)はFc部分の機能にどのように関連するかは定かではないが、G1M(2)陽性のIVIG不応例に対して、G1M(2)を多く含む(あるいは含まない)免疫グロブリン製剤の選択的な使用が有効である可能性が考えられる。
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