川崎病患者が受診する病院の特性:小児循環器専門医がいる病院を受診しているか?
自治医科大学公衆衛生学教室 中村好一 屋代真弓 上原里程 大木いずみ
埼玉県立大学 柳川洋 |
【目的】小児循環器専門医が勤務する病院を受診している川崎病患者の割合を明らかにする。
【方法】2005年に2003年、2004年の2年間の患者を対象とした第18回川崎病全国調査を実施した。全国の小児科を標榜する100床以上の病院、及び小児専門病院全施設(2308病院)に調査票を郵送し、患者個人の情報、及び病院の病床数、小児科医の数などの報告を求めた。なお、小児循環器専門医の定義は特にしておらず、回答者の判断に委ねた。
【結果と考察】1618病院(70.1%)から回答があり、このうち1058病院から患者が報告された。常勤の小児循環器専門医数の回答があった病院は923施設で、勤務医数は0人(581病院、62.9%)から20人まで分布していた。受診医療機関の小児循環器専門医の数が判明した患者17481人(総報告患者数19138人の91.3%)のうち、常勤の小児循環器専門医がいない病院を受診していた患者は7452人(42.6%)であった。非常勤の小児循環器専門医まで含めると、有無が判明している917病院中601病院(65.5%)で勤務しており、これらの病院を受診したのは17690人中14478人(81.8%)であった。この割合を都道府県別に観察すると格差が大きかったが、この格差はいわゆる都会で高く、地方で低いといった傾向ではなく、一般的な医師や小児科医の偏在ではなく、小児循環器専門医の偏在を示しているものかもしれない。川崎病の患児は急性期から心血管系の評価を行うことができる医師の管理が必要と考えられ、可能であれば常勤の小児循環器専門医がいる病院で、それが不可能であっても最低でも非常勤の専門医による評価が必要と考えられる。
【結論】第18回川崎病全国調査結果を解析し、患者の過半数は常勤の小児循環器専門医がいる病院を受診していたが、約2割弱は非常勤も含めて専門医が不在の病院を受診していた。
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初回IVIG治療後の追加療法の検討
―第18回川崎病全国調査資料から―
関西医科大学附属男山病院小児科 荻野廣太郎
自治医科大学公衆衛生学 中村好一 屋代真弓
埼玉県立大学 柳川洋 |
第18回全国調査資料を用いて、初回IVIG治療後に施行された種々の追加療法でのCAL発生頻度を比較検討した。
【対象および方法】第18回調査で報告された患者数は19,138例であった。コードに従って重複例を一本化すると18,791例となり、これを対象とした。IVIG治療を受けなかった症例は2,490例13.3%、初回IVIG治療を受けた症例は16,301例86.7%であった。IVIG治療後に何らかの追加療法を受けた症例は3,186例19.5%であった。CALは拡大性病変のみをとりあげ、後遺症なし(正常+一過性拡大、N)、拡大(DL)、瘤(ANm)、巨大瘤(ANl)に分類した。統計学的解析にはカイ2乗検定を用いた。
【結果】以下に主な治療群におけるCAL発生頻度を列記する。IVIG(−)群:DL 1.9%、ANm
1.2%、ANl 0.08%。初回IVIGのみ群13,115例:DL 1.6%、ANm 0.5%、ANl 0.05%。初回IVIG後何らかの追加療法を受けた群:DL
5.9%、ANm 4.0%、ANl 1.69%、うち(A)追加IVIGのみ群1,655例:DL 5.0%、ANm 2.3%、ANl
0.54%、(B)追加ステロイド(S)のみ群121例:DL 5.0%、ANm 3.3%、ANl 4.13%、(C)追加ウリナスタチン(U)のみ群465例:DL
3.4%、ANm 1.9%、ANl 0.0%、(D)追加IVIG+S群186例:DL 9.1%、ANm 10.2%、ANl
3.23%、(E)追加IVIG+U群537例:DL 6.7%、ANm 5.2%、ANl 2.05%、(F)追加IVIG+S+U群170例:DL
14.1%、ANm 16.5%、ANl 10.59%。血漿交換療法を受けた症例は27例であった。
【考案】全国調査の資料を用いた検討ではすべての治療選択に何らかのバイアスがかかっており、本結果のみにて結論を出すことは非常に難しい。ただ治療法、治療開始病日、患児の重症度など不明であるが、ステロイドが追加療法として選択された症例群の治療成績は不良であった。今後、ステロイド使用症例の詳細な検討が必要である。 |
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第18回川崎病全国調査成績からみた容疑例、
4主要症状数以下例の冠動脈障害出現率
日赤医療センター小児科 本間順 苛原香 今井庸子 土屋恵司 今田義夫 麻生誠二郎 薗部友良
京都第2赤十字病院小児科 清沢伸幸
自治医大公衆衛生学 屋代真弓 中村好一 |
【目的】川崎病4主要症状数以下例(広義不全型)の冠動脈障害(CAL)出現率は、今までの全国調査成績解析では5主要症状以上例の出現率より高いことが判明している。今回第18回全国調査成績の分析を行う。
【方法】第18回調査の19,138例の内で、重複例を除いた18,733例に付き、各診断群の出現率、免疫グロブリン使用率、診断群別病期別のCAL出現率などを解析する。
【結果】総数18,733例中、確実Aは83.5%、確実Bは3.1%、容疑例は13.4%であり、4主要症状以下例(容疑例と確実Bを併せた例で、以下は不全型と略)は16.5%であった。全体の免疫グロブリン使用率は87.0%で、確実Aは92.5%、確実Bは80.1%、容疑例は54.0%であり、不全型は58.9%であった。急性期CAL出現率は、確実Aは全体で11.5%(拡大:9.4%、瘤:1.6%、巨大瘤:0.4%)、確実Bは全体で59.3%(拡大:51.1%、瘤:7.4%、巨大瘤:0.9%)、容疑例は全体で5.8%(拡大:4.7%、瘤:0.9%、巨大瘤:0.1%)、不全型は全体で15.9%(拡大:13.5%、瘤:2.1%、巨大瘤:0.3%)であった。後遺症期CAL発生率は、確実Aは全体で3.8%、確実Bは全体で15.8%、容疑例は全体で1.8%、不全型は全体で4.5%であった。また、全てのCAL例中に不全型の占める割合は21.4%(4主要症状が15.1%、3主要症状以下例が6.3%)であった。
【考案】今回も4主要症状以下例のCAL出現率は、以前の全国調査成績と同様に、5―6主要症状数例(確実A)の出現率よりも高かった。全国調査における容疑例のCAL出現率の正確性には問題があるが、全CAL例の内で4主要症状以下例の占める割合が約20%であったことは、これらの例のCAL出現に強く留意する必要性を示している。
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第18回川崎病全国調査におけるガンマグロブリンの開始病日の違いにおける
心後遺症の出現頻度の比較
東京女子医科大学東医療センター小児科 鈴木悠 伊藤けい子 本間哲 杉原茂孝
自治医科大学公衆衛生学 中村好一 屋代真弓 上原里程 大木いずみ |
【目的】川崎病の急性期におけるガンマグロブリン大量療法(IVIG)は、有効性の確立した治療である。しかし、必ずしも早期ガンマグロブリン治療例において炎症が速やかに落ち着くとも限らない印象がある。IVIG開始病日の違いにより心後遺症の出現頻度に差がみられるのか、より適切な使用時期が見出せるのかを検討した。
【方法】第18回川崎病全国調査の資料をもとに、初診が4病日以内の川崎病診断確実A例(川崎病診断の手引きの6つの主要症状のうち5つ以上を満たすもの)で、治療にガンマグロブリンのみ使用した8373例において、ガンマグロブリンの初回投与方法として最も多かった1)2000(1,900〜2,099)mg/kg/日×1日と2番目に多かった2)1000(900〜1,099)mg/kg/日×2日について治療開始がA)発症1〜4病日の例とB)発症5〜7病日例の2群に分けて後遺症の有無を比較検討した。
【結果】1)について、ガンマグロブリンの追加投与をせずに後遺症がなかった例と、追加投与をした例も含めて後遺症があった例において後遺症率を求めるとA群3.3%、B群2.7%であった。同様に2)についてはA群3.3%,B群3.6%であった。2000mg/kg/日×1日の投与方法では、5〜7病日にIVIGを開始したほうが心後遺症が低い傾向にあった。
【考察】IVIGにおける2000mg/kg/日×1日の投与方法では、5〜7病日に治療を開始したほうが心後遺症が少ないことが示唆された。 |
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