インフリキシマブが著効したガンマグロブリン不応の
生後1ヶ月発症川崎病
| 国立病院機構高知病院小児科 白石泰資 大石拓 玉城渉 小倉英郎 |
【目的】ガンマグロブリン他に治療抵抗性で、冠動脈瘤の形成・増大が止まらない乳児川崎病例にインフリキシマブ投与を試みる。
【症例】症例は生後1ヶ月28日で発症、2病日に入院した体重4.5kg女児(LCA、RCAとも1.5mm)。5病日に主要症状5/6、原田スコア6/7。3病日からアスピリン30mg/kg、4病日(CRP13.8)と7病日にIVGG
2g/kg投与するも解熱せず、9と10病日、12と13病日にメチルプレドニゾロン10~20mg/kgのパルス施行後一時解熱、CRP3.0まで低下した。しかし心エコー上7病日から出始めた左右冠動脈の拡大傾向は止まらず、再度発熱持続し、IVGG1g/kg追加とウリナスタチン7日投与、アスピリン増量も無効で、26病日にCRP11.0に再上昇、LMT瘤は4.9mm、RCAと
LAD は3.9mm、3.4mm径までび漫性に拡大、全身状態も悪化して生命予後が危惧されはじめるに至り、翌27病日のレミケード投与を決定した。レミケード5mg/kgの点滴静注後速やかに解熱した。開始直後に蕁麻疹様発疹、翌日から2週間全身に小発疹、30と32病日に一過性微熱をみとめたが、以後瘤増大は止まり、45病日にCRPも陰性化してヘパリン加点滴を中止、アスピリン10mg/kgとワーファリンの処方で53病日に退院した。その後も左右冠動脈瘤は経時的に縮小し、発病6ヶ月の心エコーでLMTはまだ3.2mmの小瘤をみとめたが、発病7ヶ月時の選択的冠動脈造影でLMT1.6mm、LAD1.5mm、RCA
1.4mm径に正常化していた。
【考察】本例で急性期血中TNFαが高くなかったことは、TNFαが炎症冠動脈に集積した可能性があり、従って血漿交換が行なえず、冠動脈が拡大し続ける難治例には血中TNFα値に拘らずインフリキシマブは考慮してよい治療法と考える。造影とエコー所見との解離はエコーで評価し難い心内膜肥厚のためと考え、発病9ヶ月現在アスピリン5mg/kgを継続中。副作用に関しては数ヶ月間の充分な注意が必要である。
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Infliximabにより重篤な心合併症を残さなかった
免疫グロブリン・ステロイドパルス療法不応の4ヵ月男児例
| 旭川厚生病院小児科 梶野真弓 大久保淳 五十嵐加弥乃 土田悦司 雨宮聡 小久保雅代 高瀬雅史 白井勝 坂田宏 沖潤一 |
【はじめに】免疫グロブリン(IVIG)やステロイドパルス(パルス)療法不応の川崎病患児への治療として、抗TNF製剤infliximabの有効例の報告が散見される。今回IVIG、パルス療法不応であった4ヵ月の男児に対してinfliximabを投与し、良好な経過がえられたので報告する。
【症例】4ヵ月男児。発熱、肝機能障害を主訴に第2病日入院。口唇の発赤・不定型発疹・手足の硬性浮腫・右頚部リンパ節の腫脹を認め川崎病と診断した。同日IVIG
2g/kg/日投与及びflurbiprofen 5mg/kg/日の内服、ulinastatin 3万IU/kg/日/分6投与を開始したが解熱せず、第5病日IVIG
2g/kg/日の追加及びパルス療法30mg/kg/日・3日間を併用した。第6病日には速やかに解熱し症状も消退した。パルス後prednisolone
1.2mg/kg/日の静注を施行したが、第10病日再発熱し、WBC 42200/μl(好中球32176/μl)、CRP
6.1mg/dlと著明な上昇を認めた。IVIG・パルス不応と判断し、冠動脈障害発症の危険性を考えinfliximab 5mg/kg/doseを第11病日投与した。副作用は認めず、投与直後から解熱し、症状も消失、血液検査上炎症反応も著明に改善した。その後、CRPの微増や白血球増加、また再発熱などを認め、第22病日及び第38病日にIVIG
2g/kg/doseを5日間にわけて投与した。以降再燃なく経過した。経過中第12病日から両側冠動脈の一過性拡大(16病日最大3.8mm)を認めたが、第29病日から退縮傾向を認め、重大な冠動脈障害は認められなかった。
【まとめ】VIG及びパルス不応例において、早期にinfliximabを使用する事は重篤な冠動脈障害の予防に非常に有用である。
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難治性川崎病に対しInfliximabを投与した2症例
埼玉県立小児医療センター感染免疫科 田村英一郎
埼玉県立小児医療センター循環器科 濱岡亜希子
東京慈恵会医科大学小児科 藤原優子 |
【目的】TNF-αのモノクローナル抗体(Infliximab)は、TNF-αを抑制することにより、炎症性サイトカインの抑制が可能であるとの考えから、現在関節リウマチ、クローン病患児に対して治療薬として承認されている。川崎病においても近年免疫グロブリン(IVIG)不応例に対して臨床応用されてきており、今回我々は、各種治療に抵抗性の難治性川崎病2症例に対してInfliximabを投与したので報告する。
【症例1】3歳男児。第5病日に川崎病と診断し、IVIGを施行したが解熱せず、冠動脈も拡張傾向を認めたため、血漿交換療法、シクロスポリン療法、ステロイドパルス療法を施行し解熱、炎症反応陰性化した。しかし、ステロイド・シクロスポリン漸減中に繰り返し発熱と炎症反応上昇を認めたため、167病日にInfliximab3mg/kg/dayを投与した。
【症例2】3ヶ月男児。他院にて川崎病と診断され、IVIG施行も解熱せず、9病日に当院紹介入院。ステロイド療法、シクロスポリン療法を施行したが発熱、炎症反応高値を繰り返したため、24病日・38病日にInfliximab5mg/kg/day投与を計2回行った。
【結果・考察】(症例1)Infliximab投与後ステロイド・シクロスポリンを順調に漸減し、中止とした。冠動脈は23病日に最大で右7.5mm、左5mmの瘤を形成したが、以降縮小傾向であり、Infliximabは有効と判断した。
(症例2)2回目のInfliximab投与後に一度発熱、炎症反応高値を認めたが、その後ステロイド・シクロスポリンを漸減している。冠動脈は両側最大約10mmと巨大冠動脈瘤を形成し、現在加療中である。Infliximabの効果については判定中である。2症例のInfliximabに対する反応には違いがみられた。投与時期、投与方法など、今後のIVIG不応例に対するInfliximab投与について詳細な検討が必要であると考えられた。
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ガンマグロブリン過敏症の川崎病患児に対して
Infliximab(抗TNF-α抗体)を使用した経験
| 富山大学小児科 齋藤和由 渡辺綾佳 渡辺一洋 廣野恵一 上勢敬一郎 市田蕗子 |
| 症例は2才女児。第1病日から39度の発熱が持続するため第3病日に紹介医を受診した。CRP16mg/dl、尿中白血球が高値のため、紹介医へ入院となった。その後、口唇発赤、手掌紅斑などが出現してきたため第5病日に川崎病と診断され、当院へ転院となった。1才時に特発性血小板減少性紫斑病に罹患した際、γ-グロブリンを投与され、発熱、嘔吐を認めた既往があり、治療の選択に苦慮した。第5病日よりステロイドパルス療法を施行したが、不応であったため、第14病日にInfliximab(抗TNF-α抗体)を使用した。速やかに症状の改善を認めたが、巨大冠動脈瘤を残した。Infliximabの使用に関して文献的考察を踏まえて報告する。
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infliximabにて寛解せず、血漿交換療法が著効した川崎病の1女児例
| 横浜市立大学小児科 木下順平 中岸保夫 小澤礼美 黒澤るみ子 宮前多佳子 今川智之 森雅亮 満田年宏 相原雄幸 横田俊平 |
抗TNF-α製剤であるinfliximab(IFX)の難治性血管炎への治療適用が近年散見されている。今回IVIG不応の川崎病に対して、IFXを導入したが再燃し、血漿交換療法(PE)にて軽快した1女児例を経験したので報告する。
【症例】2歳4ヶ月 女児。
【既往歴】1歳4ヶ月時に川崎病発症。IVIGにて軽快。
【家族歴】兄は川崎病を2回発症(2歳、6歳)。IVIGにて軽快。
【現病歴】平成17年11/26より38℃台の発熱。第2病日より頚部リンパ節腫脹、口唇発赤、紅色小丘疹が出現。またWBC
19100 /μl、CRP 15.4 mg/dlと炎症反応高値を認めたため、川崎病と診断され前医へ入院。第4病日に眼球結膜充血も出現し、IVIG(2g/kg)施行。一旦解熱したが、第5病日から再度熱発し、血液検査所見の改善が見られず(CRP
17.0 mg/dl)、第7病日にIVIG(2g/kg)を追加投与したが、39℃台の発熱が持続し、第10病日にCRP 36
mg/dl、WBC 30600/μlと炎症反応の増悪を認めたため、同日当院転院。入院時体温38.4度、口唇発赤・糜爛、苺舌、両側眼球結膜充血、両側頚部リンパ節腫脹、四肢末端の硬性浮腫、全身性発疹を認め、川崎病診断基準6/6であった。WBC
30600/μl (Neu92%)、CRP 36.8 mg/dl と炎症反応高値を認めた。心エコーではLMTに壁不整、拡張(3.1mm)、輝度亢進を認めた。心機能低下は認めなかった。
【入院後経過】第10病日よりIFX 5mg/kg点滴静注。投与後12時間程で36℃台まで一旦解熱し、白血球数とCRPの改善も見られた。しかしその後39℃台の熱発とCRPの高値持続を認めたため、第13病日より計4日間のPEを施行。PE開始後より徐々に症状は改善し、第17病日に解熱し第24病日にCRPが陰性化。第40病日の心エコーでは冠動脈壁の不整も改善し、冠動脈瘤も認めなかった。
【結果】 IVIGが無効であり、IFXにて寛解せず、PEが著効した川崎病の2歳女児例を経験した。治療抵抗性の川崎病に対し、PEは重要な治療法であることが示唆された。また経過中のサイトカインについて経時的に追跡できたので併せて報告する。
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ガンマグロブリン・ステロイドパルス療法が無効な急性期川崎病における
Infliximab(レミケード)の有効性
| 東邦大学医療センター大森病院小児科 監物靖 池原聡 嶋田博光 中山智孝 松裏裕行 月本一郎 佐地勉 |
【はじめに】Infliximabはキメラ型の抗ヒトTNF-alphaモノクロナール抗体であり、クローン病や関節リウマチの治療に承認され、その有効性が確立されている。2004年以降、急性期川崎病の難治例への使用が報告され注目されている。今回、自験例4例での有効性を検討した。
【対象・方法】ガンマグロブリン(1-2g/kg)・ステロイドパルス療法(15-20mg/kg)に不応の急性期川崎病患者4例に対し、infliximab
5mg/kgを2.5時間かけて投与した。性別は男2女2であり、年齢は1y7m-5y4mであった。入院時CRPは4.4-25.3mg/dl、WBCは7,000-61,500/mm3であった。4例中3例でinfliximab投与前から冠動脈拡張を認めていた。投与時期は9-21病日であった。結核病変の否定にはツベルクリン反応や胸部CT、クオンティフェロンを用いた。
【結果】全例、投与開始後3-5時間で37.5℃以下に解熱し、投与前後で平均CRP 8.8から5.4mg/dl、平均WBC
24,700から18,000/mm3、平均IL-6は233から9.2pg/mlへと低下した。Infliximab投与中のinfusion
reactionや、結核を含む重症感染症、悪性腫瘍などの副作用は現在まで(投与後観察期間6m-1y4m)認めていない。
【まとめ】Infliximab 5mg/kgの単回投与はガンマグロブリン・ステロイドパルス療法に不応の難治例に対して有効な治療法であると考えられた。
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大量γグロブリン療法不応川崎病に対する
インフリキシマブの効果と適応
| 横浜市立大学医学部小児科 今川智之 木下順平 佐野史絵 中岸保 小澤礼美 黒澤るみ子 伊藤秀一 森雅亮 岩本眞理 横田俊平 |
【緒言】川崎病に対し大量γグロブリン療法(IVIG)が行われているが、IVIG不応症例が存在する。我々はIVIG不応症例に対しインフリキシマブ(IFX)を用い速やかな炎症改善と冠動脈病変抑制を認めた。難治性川崎病に対するIFXの効果と適応について報告する。
【方法】対象は2歳以上かつ発症10病日以内の川崎病症例の内、IVIGを3g/kg以上行いIVIG前後での白血球数、CRPなど変化を森のpercent
changeにより評価し、改善のない例をIVIG不応例とした。胸部CT、心臓超音波検査(UCG)により結核等感染症と心不全例を除外した。保護者に説明を行い同意を得た。IFX5mg/kgを生理食塩水に溶解・希釈し、2時間以上かけて静脈内投与した。IFXの有効性と心機能評価を体温、白血球数、CRP、UCGにて投与前後で行った。
【結果】2005年9月〜2006年6月に、川崎病8症例(平均4.5歳、男5例、女3例)がIVIG不応例として登録した。2症例で胸部CT上の気管支肺炎と解熱改善を認めIFX投与から除外した。6症例の川崎病診断は全て5/6以上で平均4.8病日よりIVIGを平均2.9g/kgが投与され、投与前平均38.8℃、白血球数21200/μl、CRP15.4mg/dl、胸部CT・心機能の異常はなく、4例で冠動脈の輝度亢進と軽度拡張を認めた。IFX投与後全例で解熱、白血球数(11400/μl)、CRP(8.2mg/dl)の改善を認めた。1例で投与後2日より再燃を認めた。5例はその後も再燃なく冠動脈病変はなかった。IFXによる投与時反応や感染症発現、心機能異常は認めなかった。
【結語】IVIG不応川崎病に対してIFXは有効と思われる。一方、心機能への影響、感染症など副作用発現の可能性と、1歳未満の乳児への投与経験がない状況では、本剤の適用について十分な検討が必要である。
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