「シンポジウム-2の目指すところ」 
関西医科大学小児科 荻野廣太郎
 川崎病急性期の治療にとってヒト免疫グロブリンの大量静注療法は極めて有用な治療法でした。この治療法も進化を続け、1,000mg/kg・1〜2回投与、さらには2,000mg/kg・1回投与法が保険医療上も適応になり、第18回の全国調査結果を見ても冠動脈障害発生頻度は30病日の時点で5%を切るに至りました。しかしこの治療に抵抗するいわゆる不応例が10〜15%前後存在し、またこのグループの冠動脈障害発生頻度は高く、本療法の限界もまた明らかとなりました。この現実を見据え、冠動脈障害ゼロを最終目標とする更なる治療法の開発が急務になっています。
  昨今これらの不応例に対する治療法として、ステロイド療法が見直されるようになってきました。しかしながら現時点で治療効果に対する評価は定まっておりません。本療法に関しては14日に行われるシンポジウム-1「川崎病の急性期治療にステロイドをいかに使用するか」で大いに議論していただきたく思っております。
  このシンポジウム-2では「川崎病に対する更なる治療法を求めて」と題して、いろいろな観点から近未来的な治療法を含めて発表して頂くことにしました。最初に川崎病血管炎を論じる上で常に原点となる病理の立場から、血管炎の場に局在し何らかの影響を及ぼしていると考えられる、炎症性細胞やサイトカインなどについて最新の情報をお話していただきます。その後に、病理学的なエビデンスを踏まえつつ、その有効性が注目されている抗サイトカイン療法(特に抗TNFα製剤)の日本における使用状況とその有効性、またウリナスタチンを中心にして現在使用されている好中球エラスターゼ阻害剤の有用性について、さらに夢の治療薬になるかもしれない「p38 mitogen-activated protein kinase阻害剤」や「血管内皮前駆細胞」を用いた川崎病治療の可能性についてお話し頂くことにしました。これら以外にも様々な治療法が考えられていることと思いますが、討論の時間を利用してその一端をお聞かせ願えれば幸いです。
  このシンポジウムでは新しい治療法に対して大いに夢を語っていただきたいと存じます。川崎病冠動脈障害の発生「ゼロ」を目指した有意義なシンポジウムになれば望外の幸せです。演者の先生方にはどうかよろしくお願い申し上げます。
「川崎病に対する更なる治療法を求めて」
S2-1 血管炎の場に局在するサイトカインは何か

東邦大学医療センター大橋病院病理部 高橋啓
 川崎病冠状動脈炎は発症後6-8日に始まり10病日頃に汎血管炎へ進展、12病日前後に動脈瘤が形成される。侵襲動脈には単球/マクロファージの異常集積が観察されることが病理組織学的特徴のひとつでもある。一方、急性期川崎病では著明な好中球増多が存在し、好中球が血管障害に深く関与している可能性も示されている。活性化した諸細胞が相互に作用し、さまざまな物質を産生、放出して組織傷害を引きおこしているのであろう。 ここでは血管炎の場に出現する細胞とそれらが有する諸酵素やサイトカインなどについて免疫組織学的手法による解析を試み、川崎病血管炎の病態を整理することを目的とした。
【浸潤細胞について】
  病変部に出現する細胞は、全経過を通じてCD68陽性単球/マクロファージが主要構成成分である。一方、抗エラスターゼ抗体を用いて検出した好中球は10病日をピークとした浸潤を示す。この発症10日という時期はいわば動脈瘤形成直前期に相当し、瘤に至る動脈構築破壊に好中球が大きく関与していることが示唆される。また、より後期に死亡した症例の中にも抗MPO抗体陽性好中球の著しい浸潤をみるものがあり、この点からも単球/マクロファージと共に好中球が組織傷害に関与していることが推測される。リンパ球はCD3陽性T細胞がCD20陽性B細胞よりも多く出現するが、CD4、CD8の詳細については明らかにできていない。
【サイトカインについて】
  我々は、川崎病と病理組織学的に類似性の高いマウス血管炎誘発モデルの解析を行っている。マウスに起炎物質を投与すると投与後数時間をピークとする血清TNF-αやIL-6、IL-12の上昇が認められる。免疫組織学的検索でも病変部にはTNF-α、IL-6、IFN-γなどに対する抗体に陽性を示す諸細胞が出現している。また、この誘発モデルではマウス系統により血管炎の発生頻度が異なるが、血管炎が生じ難い系統では前述したサイトカインの産生が低いことに加え、ある種のサイトカイン産生能が高い。つまり、抗炎症性に働くサイトカインの存在が示唆される。
  一方、剖検検体に対して病理組織学的にサイトカインの局在を証明するにはさまざまな制約がある。パラフィン包埋標本および凍結標本の検索では、単球/マクロファージと考えられる大単核細胞に抗TNF-α抗体陽性像をみた。この他、IFN-γやIL-8も程度はさまざまながら陽性を示す細胞が出現していた。VEGFやPDGFなどの増殖因子は内皮細胞や単球/マクロファージ、平滑筋細胞に陽性を示した。
  現在、他のサイトカイン、NOSや各種接着因子などについても検索を加えている。
【まとめ】
  川崎病血管炎、特に動脈構築破綻過程には単球/マクロファージと共に好中球が関与している。炎症局所には様々なサイトカインやケモカインが発現している。従って、蛋白分解酵素阻害やサイトカイン抑制を考慮することは新たな治療戦略になり得ると考えられる。動物モデルの成績から抗炎症的に作用するサイトカインを補充するという考え方もあるかもしれない。

  謝辞:本発表にあたり川崎病剖検例の凍結標本の検索をお許し下さいました日本大学医学部小児科学講座鮎沢 衛先生、原田研介先生、同病理学講座砂川恵伸先生、三俣昌子先生に深謝いたします。
[協同研究者:大原関利章、山田仁美、横内 幸、直江史郎、三浦典子、大野尚仁、大川原明子、鈴木和男]
S2-2 抗サイトカイン療法(抗TNFα製剤)によるIVIG不応例・難治例の治療
東邦大学医療センター大森病院小児科 佐地勉 監物靖
【背景】
 難治性KDにおいては、Weiss JE et al(J Rheumatol.: 2004. 31. 808-10)が最初の使用例を報告した。その後、2005年 Jane Burnsら( Burns JC, et al: Infliximab treatment for refractory Kawasaki syndrome. J Pediatr, 2005; 146: 662-7)により、IVIG・IMP不応KD17例へのInfliximab(INF, Remicad)のPilot Study の成績が報告された。その結果、有効性・安全性とも短期的には満足できる結果であるが、長期予後を観察する必要がある。さらにINFを始めとして、その他の抗サイトカイン製剤には注射による初期反応、重症感染症の併発、結核の再燃など、悪性腫瘍の発生、および適応症例に関する考慮も必要である。
【川崎病での使用状況
 昨年第25回の本会において自験3例を報告したが、これまでに4例のIVIG・IMP不応例へのINF投与を経験した。投与方法は5mg/kg/2時間投与で、年齢は1歳7ヶ月から5歳4ヶ月。全例に有効であり、WBC,CRP,IL-6の低下を認めた。解熱効果は静注開始後3〜5時間に認められた。主な合併症は認められず、安全で有効であった。そこで今回、日本川崎病研究会会員にアンケートを郵送し、H18.7月の時点での抗サイトカイン製剤使用例の現状を調査した。その結果、全国の166委員から解答が寄せられ、8施設からレミケード16例、その他1例の使用が報告された。現在、二次調査によりその詳細を検討中である。
【生物学的製剤】
  現在、我が国で承認されている(対象疾患;RA・IBD炎症性腸疾患)生物学的製剤は、インフリキシマブ(レミケード)、エタネルセプト(エンブレル皮下注)で、治験段階のものには、トシリズマブ、アダリムマブ、とアバタセプトがある。 インフリキシマブ(INF)はヒト−マウスキメラ型抗TNFαモノクロナル抗体で、抗ヒト腫瘍壊死因子(TNF)作用を有する。INFは流血中のTNFαに結合して流血中からの除去を、またTNF産生細胞表面上のTNFαに結合して細胞破壊を来たす。投与経路は、経静脈的であり、投与量は3〜10mg/kg/8週間である。血中半減期は9.5日で、抗原性(ヒト抗キメラ抗体出現の可能性)がある。TNFβには結合せず、効果は有さない特徴がある。
【使用に際しての注意点】
  免疫反応の減弱に伴う重篤な副作用として、感染症の発症と増悪、特に敗血症、肺炎、結核、真菌感染を含む日和見感染症には注意が必要である。そして白血球減少、リンパ球減少症例にはさらに注意が必要である。潜在性真菌感染の否定、β―D グルカン陰性の確認、活動性B肝炎の否定なども重要である。BCG未接種の乳幼児期には更に注意が必要であり、使用後も長期の観察、クウォンティフェロンTB-2GによるTbcの特異的検査も必要であろう。その他、Infusion Reaction、薬剤への抗体の産生、抗dsDNA抗体の陽性化を伴うループス様症候群、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍の発生、脱髄性疾患(GBS等)、再投与での遅発性過敏症など多彩である。
  そして、急性期川崎病では、特に心不全の増悪、心機能の低下があり、この場合はIFNが使用できないこと、再投与は危険性が高いこと、冠動脈瘤発生の頻度、程度、予後に与える影響を注意深く観察し、使用の適応を判断する必要がある。今後もさらなる協力と知識の共有が必須である。
S2-3 p38 mitogen-activated protein kinase阻害剤による治療の可能性
千葉大学大学院小児病態学 東浩二 浜田洋通 江畑亮太 遠山貴子 本田隆文 安川久美 寺井勝
 近年の分子生物学の進歩によって、細胞内シグナル伝達機構の研究が盛んに行われている。現在では基礎研究の分野にとどまらず、様々な疾病の病態解明や新たな治療の開発への足がかりとして大きな注目を集めている。 生体は、常に周囲の環境変化や外的刺激をいち早く察知し、その状況に応じた適切な応答を行うことを求められている。このことは生命の最小単位である細胞のレベルにおいても同様である。即ち、様々なホルモン・増殖因子・サイトカインなどの細胞外情報を細胞内に正確に伝達し、細胞の増殖・死・接着・運動・発生・分化など多彩な細胞応答を行うことで生命活動を営んでいるのである。細胞内シグナル伝達機構とは、細胞内で効率良く情報をつなげるためのシステムであり、細胞内シグナル伝達物質とは伝達の際に活性化される様々な物質の総称である。これらの伝達物質が連続的に反応し合い、相互作用を行うことで核内への情報伝達を担っており、このネットワークが実に多彩で巧みな細胞応答を生み出している。
  Mitogen-activated protein kinase (MAPK)カスケードは、細胞内シグナル伝達機構の中で重要な役割を果たしている経路の1つであり、胚発生、細胞増殖、分化、細胞運動、細胞死といった生命現象に深くかかわっている。現在、MAPKカスケードには4つのサブファミリー分子の存在が明らかになっており、この内の1つにp38MAPKがある。p38MAPKは、TNF-αやIL-1などの炎症性サイトカインやLPSなどの刺激によって活性化され、ストレス応答、細胞分化、細胞周期の制御に関与している。このことから様々な炎症性疾患の病態との関連について今までに多くの検討がなされており、現在ではp38MAPKを標的とした阻害剤が、クローン病や関節リウマチに対する新規治療薬として臨床治験中である。また、その他の炎症性疾患においても治療薬に成り得る可能性があり、大きな期待が寄せられている。
  川崎病では現在までの多くの研究によって、病初期に様々な炎症性サイトカインが過剰産生されることが判明している。これらが川崎病血管炎の病態に大きく関与していると考えられるが、それぞれの炎症性サイトカインが生体内でどのような活性を持ち、どのような細胞内シグナル伝達経路が働くことで炎症の進展に寄与しているのか、更にはその細胞応答の結果、いかにして冠動脈瘤が形成されるのかということについては残念ながら全く分かっていない。今回、川崎病とp38MAPKの関連を検討するためにインビトロ実験を行い、急性期症例、特に治療抵抗例においてp38 MAPKが強く関与していることを示唆する結果を得た。
  抗TNF-α製剤は川崎病に対する新規薬剤として注目されているが、TNF-αはp38MAPKの細胞内シグナル伝達経路を活性化させる様々な因子の中の1つである。今後p38MAPKを中心とした細胞内シグナル伝達経路の解明やその他の伝達経路に対する相互作用を更に検討していくことで、難治性川崎病に対する有効な治療法の確立や冠動脈瘤の発生予防の開発につながると考えられる。
S2-4 好中球エラスターゼ阻害剤による治療の可能性
茨城大学教育学部教育保健講座 竹下誠一郎 
宮崎市小児診療所 中谷圭吾
防衛医大小児科 川村陽一 安國真理
 血管炎の病態において活性化好中球による血管内皮細胞傷害が関与しており、その主役は活性酸素やエラスターゼであると考えられている。川崎病(Kawasaki disease, KD)の病態においても活性化好中球による血管内皮細胞傷害が関与していると考えられ、急性期に血中エラスターゼ濃度は高値を示すことが既に報告されている。本邦では、種々のプロテアーゼ阻害剤が開発されており、現在では主としてDIC、膵炎、心血管疾患の治療薬として広く用いられている。
【基礎的実験】
  我々はまず、活性化好中球を介する血管内皮細胞傷害に対して種々のプロテアーゼ阻害剤が抑制効果を示すかどうかを検討するために、in vitroにおいてヒト臍帯静脈内皮細胞を用いてcytotoxic assayを施行した。好中球エラスターゼの不活化作用を有するUlinastatin (UTI) 及び Sivelestat sodium hydrate (SSH)によって内皮細胞傷害は抑制されたが、エラスターゼの不活化作用を有しない他のプロテアーゼ阻害剤(gabexate mesilate, nafamostat mesilate, aprotinin, argatroban)やγグロブリン製剤によっては抑制されなかった。さらに、UTIとSSHは、好中球自体の細胞内エラスターゼ活性を有意に抑制した。従って、UTIとSSHは好中球が細胞外に分泌したエラスターゼを不活化するとともに、好中球からの活性型エラスターゼの分泌を抑制することによって内皮細胞傷害を抑制すると考えられた。
【UTIの臨床成績】
  防衛医大小児科では1999年から2006年までに300例のKD患児に対して、診断確定後直ちにUTIを投与開始しγ‐グロブリン大量療法(IVIG)と併用するプロトコール(IVIG+UTI早期併用療法)で治療している。UTIのみで軽快した症例は71例、IVIG単回投与で解熱した症例(A群)は204例、IVIG追加を必要とした症例(B群)は25例(IVIG不応例:約8%)であった。A群とB群の治療開始前のWBC数は有意差を認めないが、B群の幼若好中球の占める割合(%)はA群に比較して優位に高かった。B群の中で一過性の冠動脈拡大を示したのは4例、冠動脈瘤を残したのは1例(中等瘤)のみであり、良好な治療結果が得られている。従って、UTI先行療法は、活性化された好中球機能を沈静化することによって血管内皮傷害を抑制して、冠動脈病変の出現を抑えている可能性はある。
【SSHによるKD治療の可能性】
  選択的エラスターゼ阻害剤であるSSHは、UTIと同様にin vitroの実験で活性化好中球による血管内皮細胞障害を抑制するため、KDの治療においても有効性を発揮する可能性はある。しかしながら、本剤の適応は機械的人工呼吸器管理下の急性肺障害に限られているため、現時点ではKDに対して使用できない。本邦では小児科領域において、現在までに8例(対象疾患:誤嚥性肺炎、ARDS、肺炎、RAウイルスによる細気管支炎)のSSH使用経験が報告されている。いずれの症例でも重篤な副作用は認められず、呼吸状態とともに炎症反応の改善を認めている。今後、保険適応の拡大が許可されれば、KD治療に対して試みるべき価値のある治療法の1つと考える。ただし、UTIと同様に川崎病初期から投与開始すべきであり、あくまでIVIGの補助療法として使用すべきと考える。
S2-5 血管内皮前駆細胞を用いた川崎病治療の可能性と展望
京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学 岩崎直哉 濱岡建城
 末梢血液中における血管内皮前駆細胞(EPC)の存在が明らかになって、10年程経過し、このEPCの生体内における振る舞いや役割について、多くのことが明らかになりつつある。知見の集積に伴い、一部領域においては、EPCを利用した細胞療法が実用化されつつある。
 EPCは、体内の組織における虚血状態や、外科的なストレスなどを契機として、骨髄から末梢血液中へ動員され、必要とされている部位へ集積し、自らが増殖するとともに、血管内皮細胞へも分化し、局所での血管新生に中心的な役割を果たしている。成人においては、虚血性心疾患や、動脈の閉塞による下肢の虚血状態に対して、EPCを局所あるいは経静脈的に全身投与することによって、心機能や血流の改善を行った例も報告されている。また、機械的な血管内皮の傷害に対して、傷害部位へ早期よりEPCが集積、分化することが明らかとなり、EPCが血管内皮の早期の修復に深く関わっていることも知られるようになった。
 川崎病は、血管炎を特徴とする疾患であり、急性期に進行する内皮の傷害や、それに起因する内皮機能の低下が、長期的にみても問題と考えられる。川崎病による血管内皮の傷害と、EPCとの関係を明らかにするために、我々はこれまでに、川崎病患児におけるEPCの動態を調べてきた。その結果、(1)川崎病急性期において、末梢血液中でのEPC数が増加すること、(2)冠動脈病変を生じた群では、EPC数増加の程度がより著しいこと、(3)冠動脈後遺症を有している群では、遠隔期においてもEPC数増加は持続していることが明らかとなった。特に急性期におけるEPC数の増加は、比較的早い時期からみられている事から、血管内皮傷害に早くから反応し、EPC動員が行われていると推測される。
 川崎病の急性期において、いちはやく炎症反応を封じ込め、血管内皮傷害の進行を抑えることは、最優先で行われるべき治療であるが、同時に、既に傷害を受けた血管内皮の修復をできるだけ早期から開始するべきであると考える。血管内皮傷害の放置は、炎症細胞の侵入を許し、血管構造の破壊を進行させる要因となる恐れがある。我々は、川崎病急性期の治療のひとつとして、早期からの血管内皮修復促進の必要性を提唱する。
 EPCを用いて血管内皮を修復する方法の候補として挙げられるものは、大きく分けて、(1)抹消血液中からのEPC分離、体外での増幅、再投与、(2)骨髄からのEPC動員促進の二つがあるが、時間的な制約などから、(1)は困難である。 EPC動員を促進するほうが容易であると思われる。末梢血液中のEPC数を人為的に増加させる手段には、(@)スタチンなどの薬物、(A)サイトカイン(G-CSFなど)、(B)エストロゲンの投与などが知られている。しかしながら、川崎病急性期での応用にあたっては、各々の方法について問題がある。(@)スタチン投与に対する反応には時間がかかること、(A)白血球増多の状況下でG-CSF投与は好ましくない影響について未知数であること、(B)乳幼児に対してエストロゲン投与の影響はどの程度まで許容されるかわかっていないことなどである。
 川崎病様の血管炎を再現するモデル動物は、既に数種類提示されていることから、今後は、急性期のモデル動物を対象とした、上記手段による血管内皮修復の効果を検証し、治療への応用の実現が望まれる。