12. 急性期川崎病とBNPの検討 The evaluation of B type
Natriuretic Peptide(BNP) in Kawasaki disease patients
横堀雄太 松下竹次 山中純子 瓜生英子 田中瑞恵 (国立国際医療センター小児科) Yuta Yokobori
Takeji Matsusita junko yamanaka hideko uryu Mizue Tanaka (internattional medical
center of Japan) |
【目的】BNPとは心室筋で産生・分泌されるトリウム利尿ペプチドであり、心室での壁応力の増加を反映して上昇する。近年心不全のマーカーとして注目されているが、川崎病の急性期においてもBNPの上昇があったとする報告が散見される。しかし、BNPの上昇の意義を考察した研究は少ない。そこで、今回急性期川崎病におけるBNP値と冠動脈病変に有意な相関があるか検討した。
【方法】対象は2005年1月〜2006年12月まで当院入院となり川崎病と診断された児30名。冠動脈拡張は冠動脈径4mm以上とした。BNPは全症例において治療前に測定した。
【結果】冠動脈拡張症例は8例(26%)あった。BNP値の平均値は50.5±58.7pg/ml(3.9-263.6)であり、正常値をうわまわっていた。また、冠動脈拡張の有ったものでは、BNP値47.6±32.3pg/ml(6.5-104.0)であり、無かったものについてはBNP値52.5±68.3pg/ml(3.9-263.6)で、p-value
0.793と両者に有意差はなかった。また、γグロブリンを再投与した症例、していない症例では、それぞれBNP値149.7±161.1pg/ml(35.8-263.6)、BNP値44.1±46.5pg/ml(3.9-209.0)で、p-value
0.523とこれについても有意差はなかった。 【考察】今回の検討では川崎病では、BNPが上昇する傾向があるも、冠動脈疾患の有無とγグロブリン再投与の有無にBNPは相関が認められなかった。しかし、Nが少なく十分な検討はできなかった。今後症例を蓄積し川崎病におけるBNPの意義について検討を進めていきたい。
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13. 組織ドプラを用いた川崎病患児の左室心機能の検討―川崎病急性期から遠隔期までの経時的変化ー
Evaluation of left ventricular cardiac function in Kawasaki patients by means
of Tissue Doppler imaging (TDI)
奥村謙一 尾崎智康 森 保彦 片山博視 玉井 浩 (大阪医科大学 小児科) 岡本直之 梶浦 貢 吉川聡介 西野淳司
川村尚久 (大阪労災病院 小児科) Kenichi Okumura Noriyasu Ozaki Yasuhiko Mori Hiroshi Katayama
Hiroshi Tamai (Department of Pediatrics, Osaka Medical College) Naoyuki Okamoto
Mitugu Kajiura Sousuke Yoshikawa Jyunji NIshino Naohisa Kawamura (Department of
Pediatrics, Osaka Rosai Hospital) |
【背景】川崎病急性期において、subclinicalな心筋障害が存在することは知られているが、その評価方法に一定の見解はない。近年、心筋壁運動の評価に組織ドプラ(TDI)が注目され、心筋障害の評価に用いられている。
【目的】川崎病罹患中の左室心機能の経時的変化を、TDIを用いて評価する。 【対象】再発例を含む川崎病患児45名(男31名、女14名)、age-matched
control群15名(男7名、女8名)。 【方法】川崎病罹患中、急性期(第3-11病日)、亜急性期(第12-25病日)、回復期(第24-57病日)、遠隔期(第111-405病日)に、心臓超音波検査を施行し、TDIを用いて、左室の収縮期壁運動速度(Sm)、拡張早期壁運動速度(Em)、拡張末期壁運動速度(Am)、等容収縮および拡張時間(ICT、IRT)、駆出時間(ET)、Tei
indexを計測した。また、左室流入血流速度(E)を計測し、E/Emを算出した。統計処理は急性期、亜急性期、回復期、遠隔期、正常群で多重比較検討を行った。
【結果】 (1)拡張機能の検討では、E/Emが急性期に他の4つの群と比較し有意に上昇していた。また、Em/Amは急性期に低下する傾向を示し、急性期と亜急性期の間に有意差を認めた。
(2)収縮機能の検討では、亜急性期および回復期のSmが正常群と比較し有意に低下していた。(3)Tei indexに関しては、急性期および亜急性期のTei indexが、正常群および遠隔期より有意に上昇していた。
【結語】川崎病急性期に起こると考えられている心筋障害は、TDIを用いた今回の検討で、急性期から亜急性期にかけての収縮機能および拡張機能の低下、Tei
indexの上昇として示された。この心筋障害は回復期および遠隔期には改善し、正常群と同程度まで改善していた。TDIは川崎病急性期の心筋障害の評価に有用であると考えられた。
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14. 川崎病による冠動脈拡大基準に関する検討2 -正常小児の冠動脈径の平均値と標準偏差-
Mean and standard deviation of coronary artery diameters in children
布施茂登 (NTT東日本札幌病院) Shigeto Fuse (NTT East Japan Hospital)
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| 【目的】 2004年のNewburgerらによる小児の川崎病の診断、治療と長期管理のAHA Statementは、DLをZスコアにより判断することを提唱した。Zスコアを計算する基礎となる正常小児の体表面積(BSA)区分ごとの冠動脈径の平均値と標準偏差を求める。
【方法】 対象は、当院の小児心臓外来を2004年9月から2007年7月までに受診した小児のなかで、先天性心疾患、後天性心疾患、熱性疾患を除外した409名(男201名、女207名)。
ALOKA社製SSD5500,6MHzプローブを使用し、LM,LAD,LCX,RCAの内径を計測した。冠動脈の左右の優位は、左優位をLM/RCAが2以上、右優位をRCA/LCAが2以上とした。
【結果】 左冠動脈優位は8名認めたため除外し、401名で検討した。BSA(m2)区分の冠動脈径の平均値(標準偏差)(mm)は下記のとおり。 BSA/LM/LAD/LCX/RCA/nの順に記す。
0.15-0.25/1.22(0.18)/1.00(0.16)/0.93(0.19)/1.06(0.19)/34 0.25-0.35/1.43(0.20)/1.22(0.19)/1.06(0.21)/1.20(0.21)/39
0.35-0.45/1.50(0.24)/1.27(0.19)/1.14(0.20)/1.30(0.20)/47 0.45-0.55/1.79(0.30)/1.53(0.29)/1.27(0.28)/1.46(0.21)/45
0.55-0.65/1.94(0.28)/1.63(0.22)/1.37(0.24)/1.70(0.27)/26 0.65-0.75/2.05(0.26)/1.72(0.27)/1.43(0.17)/1.85(0.27)/26
0.75-0.85/2.34(0.27)/1.86(0.25)/1.53(0.24)/1.93(0.44)/35 0.85-0.95/2.40(0.37)/1.95(0.30)/1.61(0.30)/2.06(0.38)/26
0.95-1.15/2.59(0.39)/1.98(0.23)/1.64(0.20)/2.21(0.31)/28 1.15-1.35/2.90(0.44)/2.38(0.33)/1.88(0.34)/2.36(0.32)/29
1.35-1.55/3.13(0.50)/2.59(0.40)/1.98(0.32)/2.69(0.42)/37 1.55-2.00/3.47(0.54)/2.85(0.45)/2.18(0.48)/3.01(0.61)/29
【考察】 正常小児のBSA区分の冠動脈径の平均値と標準偏差を示した。 これに基づくZスコアによる冠動脈拡大の評価は可能と思われる。 |
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15. 狭窄性病変を伴わない巨大冠動脈瘤内の血行動態特性 Hemodynamics
in giant coronary Aneursma without stenotic lesion
阿部正徳 勝部康弘 深澤隆治 上砂光裕 池上 英 渡邊美紀 初鹿野見春 鈴木伸子 渡邊 誠 小川俊一 (日本医科大学小児科)
Masanori Abe Yasuhiko Katsube Ryuji Fukazawa Mitsuhiro Kamisago Ei Ikegami
Miki Watanabe Miharu Hajikano Nobuko Suzuki Makoto Watanabe Shunichi Ogawa (Depatment
of Pediatrics,Nippon Medical School) |
【目的】有意な狭窄性病変を伴わない巨大冠動脈瘤内の血行動態特性をflow wire,
pressure wireを用いて検討すること 【方法】対象は、川崎病発症より巨大冠動脈瘤を有し、かつ経過中に瘤の前後に有意な狭窄性病変を有さない18例(男性13例、女性5例)、23冠動脈枝について、全例にCAGを施行し、さらにpressure
wireを用いて相対的心筋血流予備能(FFRmyo)を、flow wireを用いてflow pattern、平均最大流速(APV)および冠血流予備能(CFR)を測定、算出した。Pulsatile
pattern、APV≧15cm/sec、CFR≧2.5、FFRmyo≧0.75を正常範囲として検討した。 【結果】CABG・冠動脈縫縮術を施行したもの(CABG群)8例、消退ないしは消退傾向にあるもの(regression群)10例、変化無しのもの(no
change 群)5例であった。CABG群では8例中2例が全項目で異常、6例が3項目異常であった。一方、regression群では10例中8例で異常項目は0、他の2例はそれぞれ1つまたは2つ異常項目が認められた。CABG群のFFRmyoは0.8±0.1、APVは6.4±2.9cm/sec、CFRは1.2±0.1であり、他群に比し有意に低値であった。また、CABG群2例、no
change群1例にpressureの低下が認められ、急激な瘤径の増大に伴うエネルギーロスによることが推察された。 【考察】巨大動脈瘤内の血行動態特性は血流速度の低下、血流予備能の低下が認められ、shear
stressの低下より内皮機能の障害が危惧された。逆に、瘤内の血行動態を把握することにより、巨大瘤の予後を推定することも可能である。 |
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16. 川崎病遠隔期のマルチスライスCTによる右冠動脈障害の特徴 Specific
finding of right coronary artery abnomality after Kawasaki disease using Multi-sliced
spiral computed tomography
金丸 浩 唐澤賢祐 市川理恵 福原淳示 阿部 修 宮下理夫 鮎沢 衛 住友直方 原田研介 麦島秀雄 (日本大学小児科) 佐藤裕一
(日本大学内科学部門循環器分野) Hiroshi Kanamaru Kensuke Karasawa Rie Ichikawa Junji Fukuhara
Osamu Abe Michio Mayashita Mamoru Ayusawa Naokata Sumitomo Kensuke Harada Hideo
Mugishima Yuichi Sato (Nihon University School of Medicine) |
川崎病遠隔期の右冠動脈障害は特徴的であり、多くの症例で発症後2−3年に閉塞後再疎通の形態を認める。川崎病遠隔期症例に対するマルチスライスCT(MSCT)で判明した右冠動脈の閉塞パターン、石灰化および内膜肥厚について検討を行ったので報告する。
【対象と方法】対象は川崎病重症冠動脈障害28例で、平均年齢は21.4歳(13−34歳)である。全例に冠動脈瘤を認め、26例に50%以上の有意な冠動脈狭窄を認めた。MSCTはSIEMENS社製(4列)またはTOSHIBA社製(16列)を用いた。血行再建術の現状と、MSCTで判明した右冠動脈の閉塞パターン、石灰化および内膜肥厚について、Volume
rendering image、Curved multi-planar reconstruction imageおよびTrans-axial imageの所見から検討を行った。
【結果】血行再建術は28人中の7人(25%)、9箇所に施行され、冠動脈バイパス術が2箇所、バルーン血管拡張術(POBA)が1箇所およびロータブレータ(ROTA)が6箇所であった。右冠動脈に施行されたのはPOBAの1例のみであった。28例中の21例(75%)に右冠動脈障害を認めた。完全閉塞を認めたのは、右冠動脈障害を認めた21例中の7例(33%)で、全例に側副血行を伴っていた。これらの症例では心筋血流SPECTで生存心筋が確認できた。右冠動脈完全閉塞7例中全例に左冠動脈病変を伴い、3例で左前下行枝近位部にROTAを施行されていた。右冠動脈完全閉塞7例中の6例(86%)に石灰化冠動脈瘤を伴い、5例が全周性石灰化であった。内膜肥厚は全血管を対象に10箇所に認め、内6箇所(60%)が右冠動脈に存在した。
【考察】川崎病遠隔期の重症右冠動脈障害は、冠動脈近位側からの血栓性閉塞から再疎通による側副血行を認めることが多い。MSCTによる右冠動脈障害の良好な予後評価は、再疎通血管を描出すること、後下壁から心尖部に至る末梢の右冠動脈を描出することが重要である。
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17. 川崎病後遠隔期冠動脈病変のVirtual Histology-血管内エコー法による評価
In Vivo Plaque Composition and Morphology in Coronary Artery Lesions in the Adolescents
and Young Adults Long after Kawasaki Disease: Lessons Learned from Virtual Histology-Intravascular
Ultrasound Study
三谷義英 大橋啓之 澤田博文 早川豪俊 駒田美弘 (三重大学大学院医学系研究科小児発達医学) Yoshihide
Mitani Hiroyuki Ohashi Hirofumi Sawada Hidetoshi Hayakawa Yoshihiro Komada (Mie
University Graduate School of Medicine) |
【目的】川崎病後遠隔期の冠動脈病変例は、内皮機能障害、慢性炎症などアテローム硬化の代理因子で特徴づけられる。最近、生体内で動脈硬化プラークの成分と形態を評価する新たな方法としてVirtual
Histology-血管内エコー法 (VH-IVUS)が導入された。今回、川崎病後遠隔期症例の冠動脈病変の構成成分と形態がアテローム硬化の特徴を伴うか否かをVH-IVUSにより検討した。
【方法】冠動脈病変を伴う川崎病後遠隔期8症例(年齢19y5m (mean)±1y10m (SE)、川崎病後年数16y10m±1y9m)に対して冠動脈造影後にVH-IVUS
(Volcano Therapeutics)を施行した。各々のセグメントないし病変を検討した。プラーク成分は、fibrous (F), fibrofatty
(FF), necrotic core (NC), dense calcium (DC) areasに識別された。各断面の各成分の占める割合を%で表示した。
【結果】LS, AN, RAでは大部分内膜病変を認めたが、Nでは軽度以下であった。F, DCに加え、アテローム硬化で認められるFF,
NCが認められた。%DC, %NCはRA+NよりLS+ANでより高値であった (%NC, pl<t.05; %DC,pl<t.05)。定性的には、LSにおいてNC,
DCの内側に薄いfibrous cap様病変を認めた。 【考察】川崎病後遠隔期冠動脈病変において、VH-IVUS上アテローム硬化で見られるFF,
NCが従来の川崎病病理組織の報告から推測されるF, DCに加えて認められた。NC, DCは進行性病変 (LS+AN)でより広く認められ、その内側に薄いfibrous
cap様の病変も見られた。これらのVH-IVUS所見は川崎病後遠隔期の病変の進行におけるアテローム硬化の関与を知る上で新たな所見である。 |
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