30. 川崎病のtriggerは、花粉であろう(第5報) 2007年東京都定点報告川崎病発症数は過去8年間で最大であった。−2005年過去最大の花粉飛散年および2006年暖晩秋・2007年暖冬・通年気候温暖化気象における乳幼児花粉感作→川崎病発症の現況−
The trigger of Kawasaki disease(KD) is pollens(No5).The numbers of patients
suffered from KD reported in Tokyo IDWR of 2007 is the largest among 2000〜2007.−The
present state of sensitization of infants with pollens→occurrence of KD in the
largest pollen release in 2005 in the past,warm late autumn in ‘06・warm winter
in’07 and weather warming throughout the year.−
粟屋 昭 (皮膚科学疫学研究所、(独)理研横浜研究所、(独)科学技術振興機構) Akira Awaya (Dermatology&Epidemiology
Research Institute(DERI),Totsuka,Yokohama) |
著者は「花粉惹起(誘導)疾患(Pollen-Induced Diseases、PID)であるアレルギー性鼻炎・結膜炎(花粉症)や川崎病、喘息、アトピー性皮膚炎等アレルギー疾患患者、更にはパーキンソン病患者や難聴者の皮膚状態はおとなしく、ほくろの殆どない人・ほくろ生成系の弱い人が大多数である」という知見を2002年以来報告し、メラノサイトの活性化健康法を提案してきた。川崎病がアレルギー素因に加え、川崎病に特徴的病態に関わる素因を持つ家系で発症することを著者は把握しており、動物モデル作製の戦法に用いている。00〜02年の花粉大量飛散、1982年および95年の当時過去最大花粉飛散そして05年の過去最大花粉飛散、これら自然現象に連動して、PIDである花粉症や川崎病等の発症患者数(orその増加)は顕著であるが、その翌年以降も花粉飛散数の変動によらず、川崎病が右肩上がりに増加する年次推移現象が、特に東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、福岡県等で明確に見られ、患者個々人の花粉感作と発症のtime-lagの差異がこのcarry-overの原因であろうことを著者は報告してきた。自治医大恵与の91〜02年の5900人以上の神奈川県患者数の月別発症数のグラフ化により、年間3回+αの波(wave)を形作る、発症peak(高原状態)の存在patternが浮き彫りとなり、国立相模原病院観測花粉飛散数の年間推移との時系列比較解析は、先駆けor最盛期花粉飛散と発症との関連を強く示唆する状況証拠知見となっている。
【解析・結果・考察】東京都の06年の川崎病患者数合計は過去7年間で最大の101名であったが、07年は1、2月より06年を超える患者数が報告され、第30週まで合計65名である。06年11+12月の患者数合計は05年11+12月の合計よりはるかに多く06年暖晩秋・07年暖冬による先駆け花粉飛散に、感受性の高い乳幼児が感作・反応したためと考えられる。例年2月に見られるインフルエンザ流行時期と一致する一旦減少phaseが、flu流行の遅れで見られず、花粉飛散最盛時期を迎えた。また07年のflu流行の終息は遷延化した。夏季川崎病発症推移に影響する夏感染症にも着目している。暖冬・温暖化による花粉飛散の恒常化に対して花粉症同様に、アレルギー家系の乳幼児の花粉避け対策が肝要である。
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31. 学校保健統計の学童心電図異常出現率と出生年コホート別川崎病累積罹患率との検討
Electrocardiogram abnormality prevalence among pupils mentioned in school
health statistics in comparison with the Kawasaki disease cumulative incidence
according to patient's birth year cohort
河合邦夫 (福井県南越前町河野診療所) 中村好一 屋代真弓 柳川 洋 (自治医科大学公衆衛生学) Kunio
Kawai(Minamiechizencho Kouno Clinic,fukui) Yosikazu Nakamura Mayumi Yasiro
Hirosi Yanagawa (jichi medical university) |
【目的】川崎病の罹患が多い学年と少ない学年で、数年後に心臓の疾病出現率や心電図異常出現率の違いは出てくるのかどうか明らかにする。
【方法】出生年別川崎病累積罹患率と出生年別川崎病心後遺症累積罹患率の報告をもとにして、文部科学省から出版された学校保健統計調査報告書に記載されている、学校心臓検診における学年毎の心臓の疾病・異常の出現率と、小学,中学、高校の1年生に実施されている心電図検査における異常出現率をそれぞれ出生年毎の率に直して出生年コホート別に比較、検討を行った。
【結果と考察】出生年別川崎病累積罹患率(10年間)は1986年生まれより毎年徐々に増加しており、それにつれて心障害急性期累積罹患率も徐々に増加しているが、治療法の進歩により心障害後遺症者は毎年減少していた。学校心臓検診における心臓の疾病、異常の出現率と心電図異常出現率はともに1989年生まれ以降毎年徐々に上昇する傾向にあった。心電図異常出現率は川崎病累積罹患率の変動によく類似した増加傾向を示していたが、心臓の疾病出現率の変動については1986年以前の川崎病流行期の累積罹患率の変動には一致しなかった。性別の観察では、心臓の疾病の出現率では差がないのに比べ、心電図異常出現率はいずれの年も男性の方が出現率は高く、川崎病の疫学像と一致する傾向であった。地域差については、心臓の疾病出現率、心電図異常出現率ともに近畿で高く、沖縄で低かった。これは川崎病の心障害急性期累積罹患率とほぼ一致した傾向であった。出生年コホート別の心電図異常出現率と川崎病累積罹患率・心障害急性期累積罹患率は類似した変動をしており、川崎病の心血管系への長期の影響の可能性を思わせる結果であった。今後、川崎病罹患者の長期の慎重な経過観察が必要であると考えられた。
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32. BCG接種部位の変化を伴う川崎病患者の疫学特性 Epidemiology
on Kawasaki disease patients who had reddness of BCG inoculation site
上原里程 屋代真弓 大木いずみ 中村好一 柳川 洋 (自治医大公衆衛生学) Ritei Uehara Mayumi
Yashiro Izumji Oki Yosikazu Nakamura Hirosi Yanagawa (Department of Public Health,
Jichi Medical University) |
| 【目的】BCG接種部位の発赤等の異常は川崎病に特異的といわれ、診断の手引き(改訂5版)では参考条項に加えられている。第19回川崎病全国調査では、BCG接種部位の変化に関する情報を収集したので、本研究ではBCG接種部位の変化を有する患者の疫学特性を明らかにする。
【方法】第19回川崎病全国調査は2005年、2006年の初診患者を対象とし、2007年1月から実施された。2007年7月20日現在で20,355人が報告された。BCG接種部位の変化に関しては、BCG接種歴とともにBCG接種部位の発赤・痂皮形成の有無を尋ねた。BCG接種部位の変化を伴う患者特性を明らかにするために、性、年齢などの基本属性、診断、ガンマグロブリン投与や心後遺症の有無についてBCG接種歴があるがBCG接種部位の発赤・痂皮形成を伴わなかった患者と比較した。
【結果】BCG接種歴のある患者15,448人のうち、接種部位の変化があったのは7,683人(49.7%)であった。男児の割合はBCG接種部位の変化がある群で大きい傾向だった(変化あり群60.6%、変化なし群56.0%)。年齢に関しては、6-11ヶ月の割合がBCG接種部位の変化のある群で大きいことが特徴であった(変化あり群33.3% 、変化なし群4.4%)。診断では、主要症状5項目以上の確実例の割合はBCG接種部位の変化のある群とない群では同様であった(変化あり群82.6%、変化なし群 83.0%)。確実例のうち、発症時年齢3-20ヶ月の患者の70%以上、特に6-11ヶ月の患者の85%以上がBCG接種部位の変化を有していた。BCG接種部位の変化のある群のガンマグロブリン投与および心後遺症の頻度は、変化のない群と同様だった。
【考察】3ヶ月以上の乳児の大部分でBCG接種部位の変化を認めていることから、この変化が該当年齢児の川崎病の診断に役立つ可能性がある。なお研究会では、最終集計結果を報告する予定である。
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33. 川崎病患者はどのように受診し,治療を受けているか?―第18回全国調査成績を用いた検討―
How patients with Kawasaki disease consult the doctor and receive treatment? -From
the analysis of 18th nationwide survey in Japan-
牟田広実 須田憲治 伊藤晋一 石井治佳 家村素史 (久留米大学小児科) 石井正浩 (北里大学小児科) 中村好一
(自治医科大学公衆衛生学) Hiromi Muta Kenji Suda Shinichi Ito Haruka Ishii Motofumi Iemura
(Department of Pediatrics and Child Health, Kurume University School of Medicine)
Masahiro Ishii (Department of Pediatrics and Child Health, Kitasato University
School of Medicine) Yosikazu Nakamura (Department of Public Health, Jichi
Medical University) |
【目的】川崎病患者が初回ガンマグロブリン(GG)治療を受けた施設を,どのように受診し,その後どのような経過をたどるかを把握すること。
【方法】対象は,第18回川崎病全国調査で報告された19,138人。GG治療を施行せず,かつ他施設から紹介したりされたりもしてない患者2,066人と,病院から紹介された患者のうち,前医でGG治療をされていないことが把握できなかった患者1,390人を除外したのちに,重複報告例を一本化し,初回GG治療施設の他施設からの紹介および他施設への紹介の有無を,患者特性および施設規模別に解析した。
【結果】初回GG治療施設を受診した患者のうち,他施設より紹介なし(自己受診)が6,121人(全体の39.8%),診療所より紹介(病診連携)が8,914人(同57.9%),病院より紹介(病病連携)が362人(同2.4%)であった。自己受診や病病連携は6ヶ月未満の年少例や6歳以上の年長例に多かった。病病連携での送り手の病院は大半が小児科常勤医2人以下の施設で,受け手の病院は大半が2年間で20人以上の報告患者数がある経験豊富な施設であった。初回治療後に他施設へ紹介された患者のうち,解熱病日≧退院病日である患者,すなわち追加治療目的に他施設へ紹介されたと考えられる患者は35人(全体の0.2%),退院病日>解熱病日である患者,すなわち心血管障害の評価や今後のフォローアップ目的に他施設へ紹介されたと考えられる患者は365人(同2.4%)であった。
【結語】川崎病患者の約4割はGG治療が行われる高次病院を直接受診しており,本疾患の重症感を表しているものと考えた。またほとんどの患者の診療が初回GG治療が行われた施設で完結しており,今後川崎病の診療レベル向上をはかるにはすべての小児科医を対象とする教育プログラムが必要であると考えた。
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