34. 急性期川崎病における酸化ストレスによる血管内皮障害 〜Reactive Oxygen
Speciesの変動から〜 Endotherial dysfunction caused by oxidative stress in patients
with acute Kawasaki syndrome
高月晋一 岡松千都子 寺田江里 池原 聡 嶋田博光 中山智孝 松裏裕行 盛田俊介 佐地 勉 (東邦大学医療センター大森病院小児科)
石黒 精 幸田恭子(帝京大学溝口病院小児科) Shinichi Takatsuki Chizuru Okamatsu Eri Terada
Satoshi Ikehara Hiromitsu Shimada Tomotaka Nakayana Hiroyuki Matsuura Shunsuke
Morita Tsutomu Saji (Toho University Medical Center Omori Hospital) Akira
Ishiguro Kyoko Kohda(Teikyo University School of Medicine University Hospital
Mizonoguch) |
【はじめに】酸化ストレス・マーカーであるReactive oxygen species
(ROS) の上昇は、動脈硬化や糖尿病、高脂血症などにおいて血管内皮細胞の障害を示唆することが報告されているが、川崎病におけるROSの変動ついての報告はない。
【目的】急性期川崎病におけるROSの関与を明らかにする。 【対象】入院治療によりIVIGの投与をうけた川崎病典型例の患者
11例、男:女 7:4、 年齢:中央値2歳(3ヶ月〜3歳)、入院病日:中央値5日(3〜9日)、IVIG 1g/kg;2例、2g/kg;9例。経過中、冠動脈病変を認めた症例はなかった。
【方法】急性期川崎病における血中のROSを測定し、正常値との比較、治療による変動および既知の炎症性パラメータとの相関を検討した。インフォームドコンセントの上、同意の得られた対象症例の血清を冷凍保存し、Diethyl-phenylene-diamine
Sulfate (DEPPD) 法を用い測定した。5μlの血清に塩化鉄溶液を添加して過酸化物を作成し、発生したフリーラジカルをDEPPDと反応させ、この吸光度からROSの総量を測定した。健常成人のROS値は146±45.1unitと報告されており、これを成人正常値とした。
【結果】ROS値は、入院時;277±57.9unitであり、正常値に比し高値であった。 IVIG治療2日後;238±46.4unit、IVIG治療後5〜7日後;228±60.9unitであり、入院時と2日目(P=0.001)、及び5〜7日目(P=0.02)との間に統計学的に有意な低下が認められた。入院時のCRP値、WBC値、好中球数、アルブミン値、Ht値との間には有意な相関は認めなかった。
【結語】川崎病において、ROSによる血管内皮障害の可能性が示唆された。 |
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35. 川崎病における抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の検討 Syndrome
of inappropriate antidiuretic hormone in Kawasaki disease
森 治郎 城 裕之 (横浜労災病院小児科) 三浦 大 (東京都立清瀬小児病院循環器科) Jiro Mori
Hiroyuki Shiro (Yokohama Rosai Hospital Shonika) Masaru Miura (Tokyotoritsu
Kiyose Shoni Hospital Junkankika) |
【目的】低ナトリウム(Na)血症は川崎病(KD)急性期に高率に認められ,免疫グロブリン療法(IVIG)不応や冠動脈病変の危険因子であると報告されているが,その機序は明らかでない。近年,SIADH
により低Na血症を起こしたKDの症例報告が散見される。そこで,KDにおけるSIADHの合併例について検討した。 【対象および方法】対象は2006年4月から2007年3月までにIVIG(2g/kg/24時間)を行ったKD患者43例(年齢0歳2ヵ月〜7歳0ヵ月,中央値1歳3ヵ月,男27例,女16例)。IVIG開始前24時間以内およびIVIG終了後24時間以内における低Na血症とSIADHの合併率を調べた。低Na血症は血清Na濃度
< 135 mEq/L,SIADHは,低Na血症,血清浸透圧 < 280 mOsm/H2O・kg,尿浸透圧 > 100 mOsm/H2O・kg,尿Na濃度
> 18 mEq/Lを満たし,甲状腺,副腎,腎機能異常のないものと定義した(Fleisher GR: Textbook of Pediatric Emergency
Medicine, 5th ed., LWW)。 【結果】IVIG前では低Na血症は29例(67%),SIADHは13例(30%,低Na血症の45%)に認められた。IVIG後では低Na血症は15例(36%),SIADHは5例(12%,低Na血症の33%)に減少した。IVIG前にSIADHと診断された13例のうちIVIG後もSIADHが持続した2例では低Na血症が増悪した。この2例に対する輸液量(IVIGを含む)は,水分・電解質所要量(HollidayとSegarの式)の132%,134%であった。一方,IVIG後にSIADHが軽快した10例(1例はデータなし)の輸液量は平均82%で,2例を除き100%未満であった。
【考察】今回の検討により,SIADHの合併率はKD全体の30%,低Na血症症例の45%と高率であることが明らかになった。またKD急性期の輸液管理では,過剰な水分量に注意するべきであると考えられた。(共同研究者,慶應義塾大学小児科,長谷川奉延准教授)
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36. 川崎病の頚部リンパ節エコー像:カラードップラー法を用いた検討 Clinical
utility of echo study of cervical lymph node in Kawasaki disease.
緒方昌平 坂東由紀 安藤 寿 木村純人 中畑弥生 石井正浩 (北里大学医学部小児科) Shouhei Ogata
Yuki Bando Hisashi Ando Sumito Kimura Yayoi Nakahata Masahiro Ishii (Kitasato
university medical department pediatrics) |
| 【目的】川崎病における非化膿性リンパ節腫脹は、主要症状のひとつであるが、川崎病不全型や年長例などでは、リンパ節腫脹のみの症例もあり診断に苦慮することも多い。過去の報告で頚部リンパ節エコー所見としてリンパ節が集属に腫脹することが知られている。しかし、血流についての報告はない。
【方法】川崎病と診断された児に対し、頚部リンパ節のカラードップラー超音波をおこない、川崎病非化膿性リンパ節の血流変化を検討した。川崎病と診断された症例に対し、入院時及び、治療終了後、症状が改善した時点で頚部超音波を行い、カラードップラーを用いて血流の変化を検討した。
【対象】当院にて川崎病と診断された症例12例、並びに化膿性リンパ節炎2例、及び菊池・藤本病、悪性リンパ腫と診断された症例、各1例ずつで検討した。
【結果】川崎病ではリンパ節内のカラードプラ法による血流の増強所見が認められた。他の疾患はリンパ節内にカラードップラーによる血流は認めなかった。
【結語】頚部リンパ節のカラードップラー像は川崎病の診断において有用であった。
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37. 川崎病回復期も斜頸が継続した1例 A Case of Continuous
Torticollis Complicated with Kawasaki Disease
小田優子 植村泰子 山口佳世 二瓶浩一 岸田 勝 四宮範明 (東邦大学医療センター大橋病院小児科) 武者芳朗
(東邦大学医療センター大橋病院整形外科) Yuko Oda Yasuko Uemura Kayo Yamaguchi Koichi Nihei Masaru
Kishida Noriaki Shinomiya Yoshirou Musha (Toho University Medical Center Ohashi
Hospital) |
| 6歳女児。2日前より右頸部のリンパ節腫脹と発熱が出現し、同日近医を受診し右頸部リンパ節炎の診断のもとセフカペンピボキシル(CFPN-PI)が処方された。以降症状の改善が見られないため当科紹介入院となった。入院時体温39.1℃、右頸部リンパ節の腫脹は著明で、顔位は左向きのまま固定しているような状態であった。他の臨床症状なくWBC?22,700/μL、CRP 12.7mg/dLにて炎症反応も高値であったことから化膿性リンパ節炎を疑いスルバクタム/アンピシリン(SBT/ABPC)の投与を開始した。入院翌日の頸部MRIにて右頸部リンパ節の累々とした腫大と咽後膿瘍様の所見が確認された。その後、体幹部の発疹、眼球結膜の充血、口唇発赤、手指の硬性浮腫等が順次出現し川崎病の診断に至り、IVGG 1g/kg×2回にて解熱し炎症反応も順調に改善した。しかし解熱後1週間経過し頸部リンパ節の腫脹も消退したにもかかわらず斜頚の改善がみられないため、当院整形外科を受診し環軸椎回旋位固定(atlanto-axial rotatory fixation:AARF)が判明した。グリソン牽引やネックカラー装着で経過観察し1カ月後には治癒した。AARFの発症機序は不明であり、誘因としては外傷が多いが炎症性疾患(上気道炎など)や先天性形態異常、腫瘍性疾患なども報告されている。本症例は川崎病の頸部リンパ節腫脹が発症誘因と思われ、川崎病回復期に頸部リンパ節腫脹が改善したにもかかわらず斜頚が続く場合、AARFも考慮すべきと考え報告する。
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38. 頚部リンパ節腫脹により斜頚を呈した川崎病3症例の検討 Three cases
of Kawasaki disease with torticollis causing by cervical lymph nodes swelling
里村茂子 松下正民 坂口善市 (さぬき市民病院小児科) Shigeko Satomura Masatami Matsushita
Zenichi Sakaguchi (Department of Pediatrics, Sanuki City Gereral Hospital) |
【はじめに】頚部リンパ節腫脹は、川崎病の診断基準の中では最も頻度が低く、年齢別では年長児に多い傾向がある。頚部リンパ節腫脹により斜頚を呈した川崎病3
症例を経験したので報告する。 【症例】 〔症例1〕 5歳男児。第2病日に左頚部リンパ節腫脹・疼痛が出現し第3病日に左斜頚を呈した。第6病日に眼球充血・苺舌が出現し川崎病と診断した。
〔症例2〕 6歳女児。第1病日に左頚部リンパ節腫脹・疼痛が出現し、第2病日に左斜頚を呈した。第6病日に眼球充血・苺舌・四肢末端の硬性浮腫が出現し川崎病と診断した。症例3:8歳女児。第1病日より左頚部痛を認め、第2病日に左頚部リンパ節の腫脹・左斜頚を呈した。第5病日に不定形発疹・眼球結膜充血を認め川崎病と診断した。非常に強い頚部痛を全例で認めた。
【検査結果】3症例とも白血球13000/mm3以上、CRP9mg/dl以上を示し、原田のスコアは5〜6点で重症川崎病と診断した。頚部リンパ節は径5cm以上に腫脹しており、頚部単純CTでは直径2cm前後の多数のリンパ節腫大を認めた。
【治療経過】3症例とも免疫グロブリン大量療法を施行した。治療への反応は悪く、全例で追加投与(1〜2g/kg)を必要とした。追加投与に対する反応は良好で、第10病日までに解熱した。冠動脈に関しては、症例2のみ4mmを超える拡張を認めた。冠動脈瘤の形成は3症例とも認めなかった。非常に強い頚部痛に対し、非ステロイド系消炎鎮痛剤を使用した。いずれも効果を認めず、ステロイド投与で痛みは軽減した。症例1・3では、免疫グロブリン大量療法終了時に主要症状および斜頚の改善を認めた。症例2では、斜頚が残った。その後、頚部3D-CTで環軸椎回旋位固定と診断した。
【考察】頚部リンパ節腫脹を年長児に認めた場合、化膿性頚部リンパ節炎と川崎病との鑑別が重要である。また、頚部リンパ節腫脹に伴う斜頚を認めた場合、環軸椎回旋位固定の合併を考える必要がある。
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39. 川崎病急性期の咽後膿瘍類似所見について Kawasaki disease
resembling a retropharyngeal abscess
山口佳世 小田優子 植村泰子 渡邊温子 二瓶浩一 岸田 勝 四宮範明 (東邦大学医療センター大橋病院小児科) Kayo
Yamaguchi Yuko Oda Yasuko Uemura Atsuko Watanabe Koichi Nihei Masaru Kishida Noriaki
Shinomiya (Toho University Medical Center Ohashi Hospital) |
| 川崎病急性期に咽後膿瘍類似の所見を認めた報告が近年数施設からなされている。われわれも短期間に3例の川崎病急性期における咽後膿瘍類似の所見を経験した。これら3症例と過去の報告例を合わせ、その特徴を検討した。 症例1、5歳男児。症例2、7歳男児。症例3、6歳女児。全例頸部リンパ節腫脹と発熱のため入院。末梢血白血球数やCRP高値。頸部のCTやMRI(T1強調画像)検査にて咽頭後間隙に低吸収域を認め、咽後膿瘍を疑い抗生剤治療が開始された。しかし発熱は続き炎症反応の改善も見られず、数日後川崎病主要症状が順次出現しIVIG治療にて軽快した経過であった。これまでの会議録を除いた報告例は11例であった。当科の症例も含めたその特徴は、1)年長児例が多い。2)頸部リンパ節腫脹は全例に認められる。3)炎症反応は高値。4)抗生剤に反応せず川崎病の診断に至る経過が多い。5)川崎病の治療には反応し冠動脈後遺症を残した症例はない、などであり 川崎病急性期に咽後膿瘍類似所見を認めた症例を管理する上で有用と考え報告する。
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40. 咽後膿瘍との鑑別が困難であった川崎病年長児例 A Case of Kawasaki
Disease Resembling a Retropharyngeal Abscess
堀田智仙 長谷山圭司 櫻井のどか 永井 和重 堤 裕幸 (札幌医科大学小児科) Norihisa Horita
Keiji Haseyama Nodoka Sakurai Kazushige Nagai Hiroyuki Tsutumi (Department of
Pediatrics, Sapporo Medical University School of Medicine) |
【はじめに】年長児の川崎病は、頚部リンパ節腫脹の所見が顕著で、鑑別を要す疾患も多岐にわたり、診断に至るまで時間が掛かる場合も多い。今回我々は、咽後膿瘍が疑われ切開排膿術が施行されたが、最終的に川崎病と診断した12歳男児例を経験したので報告する。
【症 例】 12歳5ヶ月男児。 【主 訴】 発熱、頚部腫脹、嚥下困難、頚部皮膚の発赤。
【現病歴】 平成19年5月22日より38.5℃の発熱出現。翌日より右頚部腫脹も認め、近医で抗生剤内服の処方を受けたが、発熱は持続し頚部腫脹は増大した。26日に市内総合病院に紹介され入院。CT検査では、頚部リンパ節腫脹と右深頚部から咽後間隙に至る範囲に膿瘍を疑わせる低信号域を認めた。さらに鼻咽腔ファイバースコープ検査で咽頭粘膜の発赤と喉頭蓋の浮腫を認め、喉頭腔が狭くなっていることが確認された。頚部の皮膚は下顎部から前胸部にかけて発赤を認め、以上の所見より深頚部膿瘍、咽後膿瘍と判断した。頚部腫脹は進行性であり、気道閉塞が危惧されたため同日当院ICUに転院し、右頚部切開排膿術を施行したが、複数のリンパ節腫大のみで膿の流出は認めなかった。WBC
14800 (Neu 95%)、CRP 18.6で炎症反応の上昇を認め、抗生剤(PAPM/BP + CLDM)静注投与を行ったが、症状は改善せず。29日に川崎病を考慮し、心エコー検査を施行したが冠動脈の変化は認めなかった。リンパ腫を疑い、30日にリンパ節生検を行ったが術中迅速検査で悪性所見は認めず、炎症細胞浸潤のみであった。同日眼球結膜の充血が出現し、再度心エコーで確認したところ、左右冠動脈の拡大傾向と(LMT3.9mm、RCA2.9mm)、軽度の僧帽弁閉鎖不全を認め、川崎病と診断した(四肢末端の変化以外、主要症状5/6
+ 冠動脈病変)。IVIG 療法(2.0g/kg 24時間投与)を開始し、12時間後に解熱し、臨床症状および検査所見は速やかに改善した。心エコーによる観察では、冠動脈の拡大は進行することなく、徐々に退縮傾向を認めた。6月15日に退院となったが、退院後に手足の膜様落屑が出現し、最終的に川崎病診断基準の主要症状の全てを満たした。現在、外来観察を継続しているが、冠動脈病変の遺残なく経過している。
【考 察】本症例における咽後間隙の炎症は非化膿性であり、川崎病の頚部リンパ節炎と同様の反応性変化によるものと推測される。年長児では著明な頚部リンパ節腫脹による気道狭窄の報告もあり、注意が必要である。
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