53. 急性期川崎病に対する静注用ガンマグロブリン製剤の使用成績調査(PMS)の最終報告
Results of Post Marketing Surveillance of Intravenous Immune globulin(IVIG) for Acute Kawasaki disease -Its Efficacy and Safety-

佐地 勉 (東邦大学医療センター大森病院小児科) 
中川雅生 (滋賀医科大学小児科)
中澤 誠 (総合南東北病院小児/生涯心臓疾患研究所小児科)
原田研介 (日本大学総合科学研究所)
Tsutomu Saji (Toho University Medical Center Omori Hospital)
Masao Nakagawa (Shiga University Department of Pediatrics)
Makoto Nakazawa (Southern TOHOKU Research Institute Department of Pediatric Cardiology)
Kensuke Harada (Nihon University Institute of Science)
2003年7月、急性期川崎病(KD)に対する静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)の超大量単回療法が承認された。第25ならびに26回の本研究会で使用成績調査PMSの一部を報告したが、今回厚労省へ提出された最終結果をまとめて報告する。
【方法】4社(帝人−化血研、日薬、三菱ウエルファーマ−べネシス、バイエル)から、既に解析が終了し厚労省へ提出されたPMSの結果(H15.8.1からH18.7.31までの集計症例)を基にした。
【対象】収集症例数:7631、安全性評価対象症例:7259、有効性解析対象症例:7196、初回治療例:6954、追加治療例1199、投与目的;初回治療:5998、追加:129、初回+追加:1040、男:女:4200(57.9%)、3059、年齢分布:1歳未満:1754、1-3歳未満:3153(43.4%)、3歳以上:2352、初発:6976、再発:280例 
【結果】−安全性合併症:あり:1708(23.5%)、なし:5546、不明:3安全性調査対象:副作用:484例(6.7%)、697件、重篤な副作用:68例(0.94%)、79件。副作用(件数):掻痒感・発疹78、肝機能障害69、肝機能関連検査値異常:40、低体温50、無菌性髄膜炎19、低血圧19、蒼白15、チアノーゼ14、末梢冷感13、ショック13、心不全13、溶血性貧血4、その他350。
【有効性】初回治療時無効率: 平均13.7%(12.5〜15.2%)、追加治療時無効率:平均17.6%(15.0%〜20.1%)(4製品間で有意差なし)心断層エコー所見:初回のみ異常:平均2.17%(1.76〜2.58)(但し3社の報告)、Total異常率:3.68(2.72〜4.81%)(但し3社のみ、3製品間で有意差なし)。
【結論】 各製品の有効性ならびに安全性の定義や評価の方法が微妙に異なるため、比較可能な範囲が限られるが、同一疾患の多数例のPMS報告とすれば、急性期川崎病においては有用かつ比較的安全に使用されていると推測された。
54. “ガンマグロブリン不応例”のほとんどはガンマグロブリン“反応例”である。〜当院における川崎病初期治療プロトコールの検討〜
Most of "Non-responders" are a "Responder" in gammaglobulin therapy in Kawasaki Disease

脇 研自 柴田 敬 徳増裕宣 原 茂登 新垣義夫 馬場 清 (倉敷中央病院小児科)
Kenji Waki Takashi Shibata Hironobu Tokumasu Shigeto Hara Yoshio Arakaki Kiyoshi Baba (Kurashiki Central Hospital)
【はじめに】川崎病初期治療においてガンマグロブリン大量(IVIG)療法に反応の悪い例は確かに存在するが、いわゆる“IVIG療法不応例”の定義は明らかではない。当科では反応不良例に対しても早期に解熱を図るべく積極的にIVIGを繰り返し追加投与する方針をとっておりステロイドなど他の治療薬は使用していない。
【目的】当院における初期治療成績を後方視的に検討する
【対象】対象は1998年1月から2007年6月までに当科の川崎病初期治療プロトコールに従って入院治療を行った川崎病患児のべ352例(再発9例、3回再発1例、4回再発1例)。[初期治療プロトコール]NSAID(アスピリンまたはフルルビプロフェン)内服に加えハイリスクと判断した症例に、原則としてまずIVIG1g/kg投与。終了後24時間以内に解熱なければ1g/kg追加投与。さらに解熱なければ24時間以内に2g/kg投与、解熱なければさら2g/kg投与する。総量6g/kgで解熱得られない場合には他の治療を含め検討する。
【結果】 1)IVIG投与量はNSAID内服のみ65例(18.5%)、1g/kg単回投与158例(44.9%)、2g/kg単回投与36例(10.2%)であった。追加投与を必要としたのは1回追加54例(15.3%)、2回追加投与33例(9.4%)、3回追加投与32例(1.7%)で、4回追加(計7g/kg)1例(0.3%)であった。 2)冠動脈病変;発症1か月後に心エコー図上冠動脈病変残存は13例(3.8%)で、そのうち9例(2.7%)に初回造影検査を施行、冠動脈病変を認めたのは2例(0.6%)のみ(いずれも中等瘤)で、巨大瘤を残存した症例はなかった。2例のうち1例は1年後の造影で瘤の消退を認めた。
【考察】約3分の2の症例では1g/kg以下で軽快し2g/kg以上は不要であった。反応の悪い症例は時期を逸することなく解熱が得られるまで早期に追加投与することで冠動脈病変の発症を最小限に抑えることが可能で、“不応例”のほとんどは“反応例”と考える。
55. 川崎病のグロブリン不応例について
Cases of gamma globulin failure in Kawasaki disease

岩佐充二 横山岳彦 安藤恒三郎 (名古屋第二赤十字病院)
Mitsuji Iwasa Takehiko Yokoyama Tsunesaburou Ando (Nagoya Daini Red Cross Hospital)
川崎病のグロブリン(IVIG)不応例に対しての合意された治療法はまだない。9病日に時点で高熱で、CRPが高値である例の臨床的経過、治療を検討した。
【症例】99年9月から07年6月までに本院に8病日以内に入院し、入院時やIVIG投与前に冠動脈拡張(CAL、+2.5SD以上)が無い、定型391例であった。そのうち313例にポリエチレングリコール処理グロブリンを投与し、解熱しない場合はIVIGの追加投与を繰返すというプロトコールに従い治療を行なった。9病日の時点で熱が38.5度以上とCRPが14mg/dl以上であった例は7例であった。7例のうち血漿交換療法(PEX)を施行したのは3例で、施行しなかったのは4例であった。CALはPEX有り例のうち1/3例で、PEX無し例のうち3/4例であった。PEX有り例の月齢性別は57ヶ月の女児、97ヶ月の男児、26ヶ月の男児であった。PEX開始までのグロブリン投与量は全例4g/kgであった。PEXの開始病日は9病日が2例、10病日が1例であった。これらの9病日の熱とCRP値は各々39.3度、30.9mg/dl、40.1度、17.2mg/dl、39.6度、17.6mg/dlであった。PEXは1例目と3例目は3日間行い、2例目が解熱しないため5日間施行した。CALは2例目だけで右冠動脈が3.2mmまで拡張したが19病日に退縮した。退院病日は17から19病日であった。PEX無し例の35ヶ月男児、IVIG6g/kg投与するも9病日で40.1度、CRP23.4mg/dlであった。左右の冠動脈は3.6mmまで拡張し、41病日に退縮した。14ヶ月男児は、IVIG5g/kg投与するも9病日で39.2度、CRP14.3mg/dlであった。左右の冠動脈は4.2mmまで拡張し、75病日に退縮した。36ヶ月女児は、7病日に入院し、IVIG1g/kg投与するも9病日で39.1度、CRP14.0mg/dlであった。冠動脈は拡張しなかった。55ヶ月男児は、4病日にIVIG2g/kg投与し、5から7病日は解熱するも、8病日に発熱し、IVIG1g/kg投与し、9病日で39.0度、CRP15.4mg/dlであった。さらにIVIG2g/kg投与したが、右冠動脈は4.7mmまで拡張し、52病日に退縮した。
【考察】9病日の熱が38.5度以上でCRPが14mg/dl以上の例をIVIG不応例と考え、このような例に対してPEXが有効である可能性がある。
56. 免疫グロブリン追加不応の川崎病に対するステロイドパルス療法の検討
Steroid pulse therapy for patients with Kawasaki disease unresponsive to additional immunoglobulin therapy

三浦 大 河野一樹 大木寛生 佐藤正昭 (東京都立清瀬小児病院循環器科)
Masaru Miura Kazuki Kohno Hirotaka Ohki Masaaki Satoh (Division of Cardiology, Tokyo Metropolitan Kiyose Children's Hospital)
【背景】免疫グロブリン療法(IVIG)不応の川崎病に対するステロイドの適応や適切な投与方法は明らかでない。われわれは,IVIG追加不応例に対し,ステロイドパルス療法(IVMP)に加え,終了後の再燃防止のためプレドゾロン(PSL)経口投与(IVMP・PSL後療法)を行っている。
【方法】原則として川崎病全例をIVIG 2 g/kg/24時間で加療し,終了48時間以降に発熱を認めた不応例に同量のIVIGを追加した。以後も不応の例をIVMP・PSL後療法(メチルプレドニゾロン点滴静注,30 mg/kg/日を3日間→PSL経口投与, 1〜2 mg/kg/日から開始し2〜4週間で漸減中止)で加療した。本治療方針の成績を後方視的に検討した。
【結果】 1)症例数:2003年7月〜07年6月の4年間,10病日未満にIVIGを開始した川崎病は341例であった。IVIG不応の62例(18.2 %)にIVIGを追加し,さらに不応であった17例(5.0 %;月齢2〜133,中央値13,男10例)にIVMP・PSL後療法を行った。 2)IVMP・PSL後療法の経過:IVMPの開始は8〜12(中央値9)病日で,15例では10病日以内であった。PSLの投与日数は13〜40(中央値14)日で,28日を超えたものが1例あった。PSL14日投与終了後10日目に発熱が再燃した1例に3回目のIVIGを行った。ステロイドによる敗血症,塞栓症,消化管出血,痙攣などの重篤な合併症はなかった。 3)冠動脈病変:30病日の冠動脈病変は,IVIG反応例の1例(拡大)とIVMP・PSL後療法を行った2例(拡大と瘤)の計3例(0.9 %)で,巨大瘤はなかった。3例の冠動脈変は,いずれも6ヵ月以内に正常化した。
【考察】IVIG追加不応例に対するIVMP・PSL後療法は,IVMP終了後の再燃の防止と冠動脈病変の抑制に有用であると考えた。一方,ステロイドの長期投与による副作用の可能性もあり,適切な投与方法については今後の検討が必要である。
57. 川崎病治療における免疫グロブリン2g/kg単回投与後の不応例に関する検討:発熱と判定する体温とその判定時期について
The examination concerning the non-responder after IVIG 2g/kg in the Kawasaki disease treatment: About fever and judgement of temperature and time.

江上公康 籠手田雄介 岩元二郎 (飯塚病院小児科)
牟田広実 須田憲治 (久留米大学小児科)
Kimiyasu Egami Yuusuke Koteda Jiro Iwamoto (Department of Pediatrics,Iizuka Hospital)
Hiromi Muta Kenji Suda (Department of Pediatrics Kurume University School of medicine)
【目的】免疫グロブリン(IVIG)2g/kg/単回投与+アスピリン併用療法では10〜20%にいわゆる不応例が存在する。しかし、その定義は現在まで統一化されたものはなく、予測因子の評価などの際に障害となっている。本研究では、2g/kg単回投与後に不応例と判定する体温及びその至適判定時期について検討した。
【方法】対象は2003年〜2007年までに当院に入院し、7病日以内にIVIG2g/kg単回投与を受けた61例。体温については、37.5℃または38℃以上、判定時期はIVIG終了後24時間以内(A)、24〜48時間(B)、48〜72時間(C)にわけ、その時間帯に1度でもその体温を認めた場合に発熱ありとした。
【結果】37.5℃以上を発熱とした場合、27例(44%)が該当したが、うち16例(59%)は自然解熱した。残り11例中追加治療を要したものはCのみ発熱の2例中1例、B〜Cで2例中1例、A〜C全ての発熱の中で11例中8例であった。同様に38℃以上を発熱とした場合、22例(36%)が該当し、うち、11例(50%)は自然解熱した。追加治療を要したものはCのみで1例、B〜C群に発熱の5例中3例、AとCに発熱の1例、A〜Cすべて発熱の6例で全例であった。冠動脈病変は、追加治療例で4例認めたが、追加治療を要さなかった例では認めなかった。
【考察】IVIG投与後48時間以内に発熱を認めたうち、約半数はその後自然解熱しており、また、48〜72時間の時点でのみ発熱を認める例もあるため、初回IVIGの効果判定は48時間以降に行うべきと考えられた。しかし、48時間38℃以上の発熱が持続する群ではより早期に効果判定を行なえる可能性が示唆された。
58. 第9病日以内に免疫グロブリン2,000mg/kgを単回投与した症例での追加治療の現状
−第18回全国調査資料から−
Re-treatment for initial 2,000mg/kg immune globulin resistant Kawasaki disease in Japan

荻野廣太郎 (関西医科大学附属男山病院小児科) 
中村好一 屋代真弓 上原里程 柳川 洋 (自治医科大学公衆衛生学)
Hirotaro Ogino (Department of Pediatrics, Kansai Medical University, Otokoyama Hospital)
Yosikazu Nakamura Mayumi Yashiro Ritei Uehara Hiroshi Yanagawa (Department of Public Health, Jichi Medical University)
【目的】2003年7月からヒト免疫グロブリン(IG)2,000mg/kg・1回投与が保険診療で認められた。第18回(2003-04年)全国調査結果をみても初回投与として、2,000mg/kg・1回の使用がIG投与例の約50%を占めていた。そこで第9病日以内に2,000mg/kgの単回投与がなされた症例での追加治療の現状と、追加治療別にみた冠動脈障害(CAL)発生頻度を比較検討した。
【対象および方法】初回IG治療として1,901〜2,100mg/kg・1回の投与がなされ、かつ第9病日以内に治療が開始された症例7,443例を対象とした。追加治療を要した症例は1,445例、19.4%であった。CAL発生頻度は、初回IG治療のみ群(G1群)、追加IG治療のみ群(G2群)、追加ステロイド(ST)治療のみ群(G3群)、追加IG+ST治療群(G4群)の4群で検討した。CALは後遺症期の記載に基づき、巨大瘤、瘤、拡大に分類し、後遺症期に正常の症例を後遺症なし群とした。
【結果】追加治療の組み合わせは様々であるが、IGが追加された症例は延べ1,158例、STが追加された症例は延べ221例、ウリナスタチンが追加された症例は延べ559例、血漿交換施行例は延べ8例であった。G1群(5,998例):巨大瘤0.03%、瘤0.37%、拡大1.30%。何らかの追加治療を要した群全体(1,445例):巨大瘤1.87%、瘤3.39%、拡大5.05%。そのうち、G2群(758例):巨大瘤0.79%、瘤1.85%、拡大3.56%。G3群(53例):巨大瘤5.66%、瘤1.89%、拡大1.89%。G4群(72例):巨大瘤4.17%、瘤11.11%、拡大8.33%。
【結論】G2群とG3群の巨大瘤の発生頻度をみると、G3群では7倍の頻度であった。それぞれの治療選択には多くのバイアスがかかっていると考えられるが、初回IVIG不応例にはまずIVIG追加を行い、セカンドラインでのSTの安易な使用は避けるべきと考えられた。
59. 川崎病急性期初回IVIG治療不応例に対するステロイド併用IVIG追加療法
IVIG therapy combined with corticosteroids for the additional treatment of acute Kawasaki disease unresponsive to initial IVIG

地引利昭 加藤いづみ 塩浜 直 阿部克昭 安斎 聡 武田紳江 山口賢一 金澤正樹 黒崎智道 (千葉市立海浜病院小児科)
Toshiaki Jibiki Izumi Kato Tadashi Shiohama Katsuaki Abe Satoshi Anzai Nobue Takeda Ken-ichi Yamaguchi Masaki Kanazawa Tomomichi Kurosaki (Chiba Municipal Kaihin Hospital)
【目的】川崎病急性期IVIG治療は90%に有用であるが、不応例への追加治療やあらかじめ選択された患者への初回からの特殊治療はいまだ確立していない。近年初回IVIG治療時にステロイドを併用する治療法の有用性が報告されている。今回われわれは初回IVIG治療不応例に対するステロイド併用IVIG追加療法の有用性について検討した。
【方法】当院に入院し初回IVIG治療(1g/kg2日間)に反応不良であった6名を対象とした。初回IVIG治療後2日以内に追加IVIG1g/kg2日間を施行。同時に2mg/kgの水溶性プレドニゾロン分3静注を開始し、解熱後経口投与に切り替え減量中止した。この際群馬大学グループの初回IVIG治療時にステロイドを併用する治療法での減量の方法を参考にした。
【結果】全例が追加治療開始翌日には解熱し、1例を除き追加治療後の再発熱は認めなかった。1例に急性期の冠動脈の一過性拡張を認めたが、残りの例は全経過で冠動脈の有意な拡張は認めなかった。
【考察】限られた症例数での検討ではあるが、初回IVIG治療反応不良症例にステロイド併用IVIG追加療法は有用であった。このような症例において初回IVIG治療時にステロイド併用IVIGを施行することによって追加治療が避けられたかどうか検討することはIVIGの適正使用を考える上で今後の課題と考えている。
60. 当科での初回ステロイドパルス+IVIG治療抵抗例の検討
Resistance to the initial therapy of methylprednisolone pulse and immunoglobulin

川上展弘 笹瀬紗知子 福島 文 五十嵐岳宏 河本浩二 佐藤恵実子 吉川真紀子 徳永康行 松岡太郎 (市立豊中病院小児科)
Nobihiro Kawakami Sachiko Sasase Aya Fukushima Takehiro Igarashi Kouji Kawamoto Emiko Satoh Makiko Kikkawa Yasuyuki Tokunaga Tarou Matsuoka (Toyonaka Municipal Hospital)
【目的】当科では大阪川崎病共同治療研究ハイリスクプロトコールに従い、AST>200,T.Bil>0.9,CRP>9.0の条件式のうち2つ以上を満足する例をハイリスク群としメチルプレドニゾロン30mg/kgの投与後にγグロブリン2g/kgを投与している。今回、ハイリスクプロトコール治療を行った患児の中で追加治療を行った児について検討した。
【方法】2002年1月から2006年12月までの5年間に当科に川崎病のため入院(208人、男132人、女76人)しハイリスクプロトコール治療を行った35人(男20人、女15人)のうち追加治療を必要とした16人について検討した。
【結果】ハイリスク群のうち初回治療のみで改善した群は19人(男8人、女11人)、追加治療を要した群は16人(男12人、女4人)であり、ハイリスク群の中で有意に男児の方が追加治療を多く要していた。年齢、入院病日、治療開始病日、白血球数では両群間の有意な差はなかったが、CRPについては追加治療群で有意に高かった。冠動脈合併症はハイリスク群35人中5人(14%)にあり、このうち瘤形成は追加治療群の中の4人(男3人、女1人、追加治療群のいずれも25%)であった。血清Na値を比較すると追加治療を要した群は初回治療のみで改善した群に比べ有意に低く、冠動脈瘤を形成したものは他の追加治療群と比べ有意に低かった。
【考察】症例数を増やし、初回治療抵抗性を予測することが必要であると考えた。初回治療の更なる強化を行うと同時に、またステロイド抵抗性を早期に予想し、抗サイトカイン療法へ早期に転換することにより冠動脈後遺症を更に少なくできると考えた。
61. γグロブリン不応の川崎病に対するステロイドパルス療法の検討
Steroid pulse therapy as the 2nd treatment of gamma globulin in Kawasaki syndrome

籠手田雄介 (麻生飯塚病院小児科) 
須田憲治 岸本慎太郎 伊藤晋一 石井治佳 家村素史 松石豊次郎 (久留米大学病院小児科) 
工藤嘉公 (聖マリア病院小児循環器科)
江上公康 (飯塚病院小児科)
岩元二郎 (飯塚病院小児科)
Yusuke Koteda Kimiyasu Egami Jirou Iwamoto (Iizuka Hospital)
Kenji Suda Shintarou Kishimoto Shinichi Ito Haruka Ishii Motofumi Iemura (Kurume University Pediatrics) Toyojirou Matuishi (Kurume University Pediatrics)
Yoshiyuki Kudou (St. Mary's Hospital)
【目的】γグロブリン大量療法(IVGG)不応例に対する追加治療としてのステロイドパルス療法の効果を判定する。
【対象と方法】1998年から2005年までの間で、久留米大学関連3施設にて2g/kgのIVGGを施行したが効果のなかった川崎病患児71人。追加治療として30mg/kgのメチルプレドニゾロンを3日間投与した群(P群, n=40)と、2g/kgのIVGGを再度使用した群(G群, n=31)に分け、患者背景、治療前の採血データ、追加治療に対する反応と合併症について比較した。
【結果】患者背景と追加治療前の採血データに差は認めなかった。P群では40人のうち22人(55%)に効果を認め、G群では31人のうち22人 (71%) に効果を認めた(P>0.05)。効果の無かったP群18人は全員、3回目の治療として2g/kgのIVGGを追加投与し17人(94%)に効果を認めた。P群では40人のうち9人(23%)、G群では31人のうち6人(19%)に冠動脈瘤(巨大冠動脈瘤を含む)を残した(P>0.05)。巨大冠動脈瘤を除いたP群8人のうち6人(75%)、G群5人のうち4人(80%)に冠動脈瘤の退縮を認めた(P>0.05)。また各群に1人ずつ巨大冠動脈瘤を認めた。合併症として、P群ではG群よりも、低体温が多かったが(28% vs. 3%)、これは特別な治療を必要とせずに自然軽快した。
【結語】2回目の治療としてのステロイドパルス療法は、ステロイド不応の際に3回目の治療として2g/kgのγグロブリンを投与するというバックアップのもとでは成り立つ。この治療プロトコールは冠動脈瘤の発生を増やすことなく、医療費を軽減させることができうる。今後は更に患者数を増やし、ステロイドパルス療法以外のステロイド治療のプロトコール決定やそれに伴うリスク・利益の詳細な検討が必要と考える。