6. 急性期川崎病における血中アディポサイトカインの変化 Adipocytokines
in Kawasaki diseas
監物 靖 嶋田博光 高月晋一 中山智孝 松裏裕行 佐地 勉 (東邦大学医療センター大森病院小児科) 楠 夏子
川合眞一 (東邦大学医療センター大森病院膠原病科) 石黒 精 幸田恭子(帝京大学溝口病院小児科) Yasushi Kemmotsu Hiromitsu
Shimada Shinichi Takatsuki Tomotaka Nakayama Hiroyuki Matsuura Tsutomu Saji Natsuko
Kusunoki Shinichi Kawai (Toho University Medical Center Omori Hospital) Akira
Ishiguro Kyoko Kohda(Teikyo University School of Medicine University Hospital
Mizonoguchi) |
【目的】アディポサイトカインは脂肪組織から分泌されるサイトカインの総称で、臨床的には肥満、インスリン抵抗性、動脈硬化症や各種炎症性疾患における関与が注目されている。今回、急性期川崎病症例において血中アディポサイトカインの測定を行い、病態との関連性を検討した。
【方法】急性期川崎病(KD)症例18名(男10女8、月齢31.5±20.2ヶ月)、熱性疾患(FI)症例7名(男5女2、月齢20.1±28.5ヶ月)、健常児(NC)例7名(男5女2、月齢16.5±1.9ヶ月)においてELISA法を用いて血中Resistin、Adiponectin、Leptinの測定を行った。
【結果】血中ResistinはNC:5.68±1.55 ng/ml、FI:12.44±11.09 ng/mlに比較して、KD:27.80±17.08
ng/mlと有意に上昇していた。また、IVIG前の23.17±15.64 ng/mlからIVIG後8.59±6.77 ng/mlと有意に低下した(p=0.001)。血中Adiponectin、Leptin濃度はKD症例、FI症例、NC例で有意差を認めなかった。Adiponectin
KD:90.85±259.76 μg/ml、FI:59.84±72.76 μg/ml、NC:94.31±142.17 μg/ml 。Leptin KD:3.55±7.07
ng/ml、FI:3.01±2.53 ng/ml、NC:2.23±1.61 ng/ml。また、IVIG投与前の血中Resistin濃度は血中TNF−α濃度と正の相関を認めた(r=0.63、p=0.05)。血中Adiponectin、Leptin濃度はTNF−α濃度と有意な相関を認めなかった。
【考察】急性期KD症例では血中Resistinのみが有意に上昇しており、FI症例と比較しても高値であった。さらにIVIG投与後にNCに近く低下していた。ResistinはTNF−αの刺激によりマクロファージからの産生が刺激されると報告されており、川崎病の病態への関与が示唆された。
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7. 川崎病急性期患者における全血中MxA蛋白測定の有用性 Usefulness
of measurement of whole blood MxA protein levels in patients with acute phase
of Kawasaki disease
吉益 哲 南 孝臣 浜 武継 (社会保険紀南病院 小児科) 末永智浩 渋田昌一 武内 崇 鈴木啓之 吉川徳茂
(和歌山県立医科大学 小児科) Tetsu Yoshimasu Takaomi Minami Taketsugu Hama (Department
of Pediatrics, Social Insurance Kinan Hospital) Tomohiro Suenaga Syoichi Shibuta
Takashi Takeuchi Hiroyuki Suzuki Norishige Yoshikawa (Department of Pediatrics,
Wakayama Medical University) |
【目的】MxA 蛋白(MxA)は、最も有用なウイルス感染症の診断マーカーの1つで、インターフェロンα、βにより特異的に単核球細胞質内に誘導される。今回我々は、川崎病(KD)急性期とウイルス感染症患者の末梢血MxAを測定し、KD患者のウイルス感染併発の可能性、さらに、MxA値とKD重症度との関連を検討した。
【方法】陽性対照として、臨床症状を有するウイルス感染診断キット陽性患者108例、陰性対照として健常者38例の末梢血MxA濃度をELISA法により測定し、感度+特異度が最大となる値をcut
- off値をとした。次に、KD急性期患者33例のMxA濃度を測定し、cut - off値により高値群と低値群に分け、有熱期間、γグロブリン(IVIG)追加投与と冠動脈病変(CAL)の有無、MxA測定時の白血球数、CRP値について検討した。
【結果】末梢血MxA濃度の中央値は、ウイルス感染症群470.9 ng/ml (90.0〜1920.0ng/ml)、健常群34
ng/ml (7.5〜257.5ng/ml)、KD群40.9 ng/ml (10.9〜499.8ng/ml)であった。MxAのcut - off値は205.9ng/mlで、KD群33例は、ウイルス感染が示唆されるMxA高値群5例と低値群28例に分けられた。高値群と低値群を比較すると、白血球数平均10,880と13,039
(P=0.55) 、好中球数平均4,341と7,990 (P=0.053)、CRP 2.98と6.86mg/dl (P=0.075)、有熱期間は平均7.0日と7.7日、IVIG追加投与は1例と5例、CALは0例と2例であった。
【まとめ】KD患者の約15%にウイルス感染の併発が考えられた。また、統計学的に有意ではないが、MxA高値群でKDの臨床症状が軽い傾向がみられた。今後さらに症例を増やし、検討していく予定である。
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8. 川崎病急性期におけるG-CSFの産生亢進は好中球の活性化および冠動脈病変発症の危険因子である
Increased granulocyte colony-stimulating factor is associated with neutrophil
activation and coronary aneurysms in Kawasaki disease patients
江畑亮太 安川久美 東 浩二 (千葉大学大学院医学研究院小児病態学) 寺井 勝 (東京女子医科大学八千代医療センター小児科)
地引利昭 (千葉市立海浜病院小児科) 斎藤博久 阿部 淳 (国立成育医療センター免疫アレルギー研究部) Ryota Ebata Kumi
Yasukawa Kouji Higashi (Departement of Pediatrics, Graduate School of Medicine,
Chiba University) Masaru Terai (Department of Pediatrics, Tokyo Women's Medical
University, Yachiyo Medical Center) Toshiaki Jibiki (Chiba Municipal Kaihin
Hospital) Hirohisa Saito Jun Abe (Department of Allergy and Immunology, National
Research Institute for Child Health and Development) |
【目的】川崎病(KD)急性期に末梢血中のG-CSFが高値となることが報告されている。G-CSFによる好中球の活性化について、受容体およびシグナル伝達分子の面から検討し血管炎との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法、結果】大量免疫グロブリン治療(IVIG)前後のKD患者血清中のG-CSF濃度をELISA法にて測定した。血清G-CSFはIVIG後に有意に低下したが、IVIG不応群では反応良好群に比べ、その値がIVIG前後とも有意に高かった(IVIG前p<0.0001、後p=0.014)。また、患者末梢血好中球でのG-CSF受容体の発現量および、シグナル伝達分子であるSignal
transducer and activation of transcription protein (STAT)-3のリン酸化レベルを免疫染色およびフローサイトメトリーにて検討した。好中球のG-CSF受容体発現量はIVIG前後で差はなく、IVIG不応群と反応良好群間にも差はなかった。一方、好中球のSTAT-3リン酸化レベルはIVIG後に有意に低下したが、IVIG不応群では反応良好群に比べ、その値がIVIG前後とも有意に高かった(IVIG前p=0.002、後p=0.007)。
各種の臨床検査値との相関を検討したところ、IVIG前の血清G-CSF濃度は、好中球STAT-3リン酸化レベルと正の相関を認めた(p=0.0003)が、末梢血好中球数やCRP、AST,およびG-CSF受容体発現量とは相関を認めなかった。
さらに血清G-CSF濃度と冠動脈病変の有無との関連を検討したところ、冠動脈病変合併群では正常群に比べ、その値がIVIG前後とも有意に高かった(IVIG前p<0.0001、後p<0.0001)。
【結語】川崎病急性期におけるG-CSFの高値はSTAT-3の活性化とともに冠動脈病変合併の危険因子と考えられる。 |
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9. CD177の発現量による川崎病患者のIVIG反応性の予測 Use of
flow cytometry in predicting efficacy of IVIG in patients with Kawasaki disease
阿部 淳 斎藤博久(国立成育医療センター研究所) 江畑亮太 安川久美 (千葉大小児病態学) 地引利昭
(千葉市立海浜病院) 寺井 勝 (東京女子医大八千代医療センター) Jun Abe Hirohisa Saito(National Research
Institute for Child Health and Development) Ryota Ebata Kumi Yasukawa (Graduate
School of Medicine,Chiba University) Toshiaki Jibiki (Chiba Municipal Kaihin
Hospital) Masaru Terai (Tokyo Women's Medical University Yachiyo Medical Center)
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【目的】ガンマグロブリン大量静注(IVIG)療法前の患者白血球の表面抗原の中から治療反応性の予測に有効な蛋白バイオマーカーを同定するために、白血球細胞における遺伝子発現プロファイルを解析し、選択された抗原の発現量について前方視的に検討した。
【方法】末梢血の白血球からRNAを抽出しcDNAを合成増幅した後、GeneChip™を用いて遺伝子発現プロファイルを解析した。リアルタイムRT-PCR、免疫染色フローサイトメトリーによりmRNAおよび蛋白をそれぞれ定量した。
【結果】IVIG療法の反応良好例4名と不応例5名の遺伝子発現プロファイルを比較した。298個の発現に差のあった遺伝子プローブの中から4つの白血球表面抗原(CD35、CD44、CD114、およびCD177)を選び、フローサイトメトリーを用いて治療前後の患者で前方視的に検討した。その結果、CD35およびCD177の蛍光強度はIVIG療法後に有意に低下したが、CD44およびCD114の蛍光強度は治療前後で有意に変動しなかった。さらに、CD177(polycythemia
rubra vera 1, PRV-1)のIVIG療法前の蛍光強度は反応良好例42名中9名、不応例14名中11名、発熱対照例18名中0名で高値だった。CD177の蛍光強度測定による治療効果の予測感度と特異度は、群馬大学リスクスコア方式とほぼ同等だった。
【考察】好中球の表面抗原CD177(PRV-1)は、川崎病患者の治療反応性を予測する上で有用な疾患バイオマーカーと考えられる。
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10. 川崎病におけるHigh mobility group box 1値の検討 Estimation
of High mobility group box 1 in the patients with Kawasaki syndrome.
江口太助 野村裕一 荒田道子 櫨木大祐 上野健太郎 河野嘉文 (鹿児島大学大学院医歯学総合研究科小児発達機能病態学)
橋口照人 丸山征郎 (鹿児島大学病院医歯学総合研究科血管代謝病態解析学) 益田君教 (鹿児島市医師会病院小児科) Taisuke Eguchi
Yuichi Nomura Michiko Arata Daisuke Hazeki Kentaro Ueno Yoshifumi Kawano Teruto
Hashiguchi Ikuro Maruyama (Kagoshima University Graduate School of Medical and
Dental Sciences) Kiminori Masuda (Department of Pediatrics kagoshima City
Medical Association Hospital) |
【目的】High mobility group box 1 (HMGB-1)は核内でDNAの構造と機能の維持、転写などに関与する。このHMGB-1が、壊死細胞から流出したり、活性化マクロファージから分泌されると、RAGE、NFκBを介する炎症性サイトカイン産生をきたす。川崎病(KS)もマクロファージ活性化とサイトカイン高値を認めることから、HMGB-1の検討はその病態解明や病状評価に有意義と考えられる。
【対象および方法】急性期川崎病患児32名(KS群)と発熱児(F群)においてHMGB-1と炎症性サイトカイン(IL-1, 6,
8, 10, 12とTNFα)、臨床検査値を比較検討した。 【結果】F群とKS群の比較では年齢、白血球数、CRP値に差はなく(F/KS,
年齢; 2.2±1.5歳/ 2.6±2.5歳, 白血球数; 13,792±6,531/ 14,925±5,574, CRP; 8.6±4.4/ 9.8±4.9)、HMGB-1値にも差を認めなかった(2.9±7.0/
2.1±3.5)。AST, ALT, LD値は有意にKS群が高値で、IL-1βは有意にF群が高値だった(3.0±4.1/ 0.9±4.0, p=0.0028)。各因子とHMGB-1値の相関をみると、F群ではALT(r=0.785,
p<0.0001), LD(r=0.807, p<0.0001), IL-1β(r=0.711, p=0.0001)と有意の正の相関を認めた。KS群では同項目との相関はなかったが、白血球数(r=0.704,
p<0.0001)、CRP(r=0.444, p=0.0215)と有意の正の相関を認めた。また、HMGB-1はKS病日が早いほど高い傾向があった(r=-0.315,
p=0.0809)。KSで追加投与を必要とした6例(A群)は不要だった26例(N群)より白血球数、CRP、HMGB-1値が高く、その中でもHMBG-1が最も有意だった
(p=0.0051)。N群の平均+1SDを超えるHMGB-1高値例はA群に5例みられ有意に高頻度だった(p=0.0025)。 【考案】F群とA群の白血球数やCRPには差がなかったがHMGB-1からみた炎症パターンに差異を認めたことは、KSの炎症を考える上で興味深いことと思われた。HMGB-1高値例はA群で有意に高頻度であり、重症例スクリーニングに有用である可能性も考えられた。
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11. 川崎病における血中high mobility group box‐1(HMGB‐1)およびsoluble
receptor for advanced glycation endproducts(sRAGE)の動態に関する検討 Circulating high
mobility group box‐1 and soluble receptor for advanced glycation endproducts in
Kawasaki disease
中谷圭吾 小泉博彦 (宮崎市小児診療所) Keigo Nakatani Hirohiko Koizumi (Miyazaki-City
Pediatric Clinic) |
【背景】high mobility group box‐1(HMGB‐1)は、生理的には核内蛋白の一種であるが、病態下において壊死細胞や活性化単球/マクロファージから細胞外へ放出されると、サイトカイン活性を発揮する。近年、敗血症や各種炎症性疾患において、病態の重症化や遷延化への関与が注目されている。また、HMGB‐1の主要な受容体であるreceptor
for advanced glycation endproducts(RAGE) は、その可溶性アイソフォーム(sRAGE)が、HMGB‐1の内因性インヒビターとして作用している。
【目的】川崎病(KD)の病態におけるHMGB‐1およびsRAGEの臨床的意義を検討する。 【方法】対象は、KD患者40名と敗血症患者10名、正常コントロール10名。血清中HMGB‐1およびsRAGEをELISA法で測定した。KD患者は全例免疫グロブリン療法(IVIG)を施行され、急性期(IVIG前;平均5.1病日)と亜急性期(平均11.3病日)、回復期(平均33.4病日)における動態を検討した。
【結果】KDの急性期および敗血症におけるHMGB‐1は、正常コントロールと比較して有意な高値を認めた。一方sRAGEは、敗血症において、正常コントロールと比較して有意な低値を認めたが、さらにKDの急性期においては、敗血症と比較しても有意に低値だった。KDにおけるHMGB‐1は、急性期をピークに回復期にかけて低下する傾向がみられたが、sRAGEにおいてはHMGB‐1と逆の動態を認めた。
【考察】今回の検討から、HMGB‐1と、その内因性インヒビターであるsRAGEのアンバランスが、KD血管炎の病態に関与している可能性が示唆された。
【非会員共同研究者】布井博幸、小原めぐみ(宮崎大学医学部生殖発達医学講座小児科学分野) |
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