MS1. ガンマグロブリン大量静注(IVIG)・ステロイドパルス治療に不応の川崎病に対するinfliximabの有効性:3症例での検討
Examination of 3 cases : effect of infliximab to Kawasaki disease that non-reaction on IVIG and steroid palse therapy

嶋尾綾子 三崎泰志 樋口嘉久 吉林宗夫 (近畿大学医学部奈良病院)
Ayako Shimao Yasushi Misaki Yoshihisa Higuchi Muneo Yoshihayashi (Nara hospital, kinki university school of medicine)
【はじめに】 近年抗TNFα製剤infliximabが難治性川崎病に有効であったという報告が散見される。IVIGとステロイドパルス治療に不応の川崎病自験例3例におけるinfliximabの有効性を検討した。
【症例1】 1歳男児。2病日にIVIG 2g/kgを行うも解熱せず6病日に当科紹介入院。その後IVIG 2g/kgを計3回、ステロイドパルス(30mg/kg)を計4日とウリナスタチン投与を行うも解熱せず、22病日にinfliximab 5mg/kgを投与。同日に解熱し以後速やかに炎症所見は消失したが、左右冠動脈に径5-6mmの瘤を残した。
【症例2】 5歳女児。2病日からIVIG 2g/kgを計2回とウリナスタチン投与を行ったが解熱せず、ステロイドパルス(30mg/kg)を計3日施行。一旦解熱したが再発熱と炎症所見の上昇を認め、20病日にinfliximab 5mg/kgを投与。同日に解熱しその後速やかに炎症所見も消失した。一過性の冠動脈拡大を認めた。
【症例3】 1歳男児。6病日にIVIG 2g/kgを行ったが解熱せず、その後IVIGを計3g/kg、ステロイドパルス(30mg/kg)を計3日とウリナスタチン投与を行うも反応なく、心エコー図上冠動脈拡大を認めたため当科紹介入院。更にIVIG 2g/kgを計2回行うも解熱せず、26病日にinfliximab 5mg/kgを投与した。翌日に一旦解熱し炎症所見は低下したが、31病日より再発熱し他の急性期症状も再出現。冠動脈瘤サイズは次第に増大した。35病日にシクロスポリン投与開始。翌日に解熱し以後速やかに炎症所見も消失したが、径10mmの左冠動脈瘤を残した。3例とも現時点でinfliximabによる副作用は認めていない。
【考察・結語】 infliximabは、IVIG・ステロイドパルス不応の川崎病に対して有効な治療法であるが、無効例も存在する。投与症例の選択や投与時期等について今後さらに検討が必要と考える。
MS2. Infliximabにより寛解したガンマグロブリン抵抗性川崎病の3例
3 cases with IVIG-resistant Kawasaki disease treated by Infliximab

喜瀬広亮 星合美奈子 杉山 剛 杉山 央 杉田完爾 (山梨大学小児科)
Hiroaki Kise Minako Hoshiai Takeshi Sugiyama Hisashi Sugiyama Kanji Sugita (Yamanashi University,Pediatrics)
【はじめに】 川崎病急性期の治療指針の確立および合併症の減少を目的として、2000年1月から山梨県内の基幹病院を中心に山梨川崎病プロトコールを作成し川崎病急性期治療を行っている。2006年度からガンマグロブリン(IVIG)追加投与不応例に対してInfliximab(IFX)を導入した。IFXを投与した3例についてその効果を検討した。
【症例1】 10歳女児。川崎病主要症状:5/6。発熱後、第5病日IVIG 2g/kg施行したが、発熱は持続しCRP:19mg/dlあった。第8病日再度IVIG 2g/kg施行したが、解熱は得られずCRP高値が持続したため、第10病日にIFX 5mg/kg施行。投与開始後、速やかに解熱し、第11病日CRP:12mg/dlまで低下。その後、解熱は維持され、再燃およびIFXの副作用を認めることはなく寛解した。左冠動脈前下行枝に径4.4mmの冠動脈瘤を残した。
【症例2】 4カ月男児。川崎病主要症状:5/6。発熱後第4病日よりIVIG 2g/kg開始し、第5病日解熱したが、第6病日再度発熱およびCRPの上昇を認めたため、第7病日に再度IVIG 2g/kg施行した。その後も症状の改善なく、第9病日にIFX 5mg/kgを施行。投与後速やかに解熱し、再燃・副作用を認めず寛解した。冠動脈病変なし。
【症例3】 4歳女児。川崎病主要症状:6/6。発熱後5日目にIVIG 2g/kg施行したが、胸部X線上心拡大を認め、心エコー上左室壁運動の低下および右冠動脈の拡張を認めたため、第8病日にIFX 5mg/kgを開始した。投与後速やかに解熱し、再燃・副作用を認めず寛解した。右冠動脈に4.8mmの冠動脈瘤を残した。
【まとめ】 IVIG抵抗性川崎病において、IFXの投与は急性期症状の改善および冠動脈病変の進行の予防に有用であると考えられた。
MS3. 大量γグロブリン治療(IVIG)不応の川崎病(KD)症例に対する追加療法 〜当院におけるinfliximabの使用経験〜
The strategy for Kawasaki desease that resistant for IVIG

岸本小百合 大中愛子 渡辺まみ江 森鼻栄治 山村健一郎 大野拓郎 高橋保彦 城尾邦隆 (九州厚生年金病院)
Sayuri Kishimoto Aiko Ohonaka Mamie Watanabe Eiji Morihana Kenichirou Yamamura Takurou Ohono Yasuhiko Takahashi Kunitaka Jouo (Kyusyu-Kouseinenkin-Hospital)
【目的】 川崎病におけるγグロブリン療法(IVIG)に不応な症例は約10から20%存在するとされている。現在このような症例に対する治療において確立されたものはない。近年、炎症性サイトカインを抑制する目的でTNF−αのモノクローナル抗体(infliximab)の川崎病治療への応用が試みられている。今回我々はIVIGに不応で関節症状を呈した2症例に対しinfliximabを使用したので報告する。
【方法】(症例1) 3歳男児、発熱とリンパ節腫脹により入院。IVIG 1g/kg×2とステロイドパルス療法に不応で膝関節、股関節の疼痛が出現し、第18病日にinfliximab 5 mg/ kg を投与した。(症例2) 2歳男児、発熱とリンパ節腫脹にて入院。IVIG 1g/kg×2、追加の2g/kg×1に不応で足関節や指関節の腫脹と疼痛が出現、第8病日にinfliximab 5 mg/kgを投与した。
【結果】(症例1)infliximabを投与し炎症反応は改善傾向にあったが発熱や関節症状が持続し冠動脈病変が出現したため21 病日にIVIG 2g/kg×1を追加し解熱、両冠動脈に中等度の冠動脈瘤を形成した。(症例2)infliximabを投与し解熱したが退院後に発熱と関節症状の再燃があった。このためアスピリン50 mg/kgを投与し症状は次第に消失、冠動脈病変は生じなかった。
【考察】 症例1は追加のIVIGを必要とし、症例2は発熱と関節症状が再燃した。いずれの症例においても十分に有効とはいえないが、infliximabの使用による状態の改善はあったと判断している。投与後1年から半年は経過しているが、投与中から現在に至るまで両症例に副作用は見られていない。IVIGに不応な川崎病に対してのinfliximabの有効性を判断するには更なる症例の集積が必要と思われる。
MS4. 川崎病の初期治療における好中球エラスターゼ阻害剤(Sivelestat sodium hydrate)使用の検討
Study of administration Neutrophil elastase inhibitor(Sivelestat sodium hydrate) in initial treatment of Kawasaki disease

秋田千里 中村常之 北岡千佳 (金沢医科大学 小児科)
Chisato Akita Tsuneyuki Nakamura Chika Kitaoka (Department of Pediatrics,Kanazawa Medical University)
【目的】 当院では、好中球エラスターゼ阻害剤であるウリナスタチンを川崎病の初期治療に使用してきた。近年、免疫グロブリン製剤(以下IVIG)不応症例に対し、選択性の高い好中球エラスターゼ阻害剤であるSivelestat Sodium hydrate(以下SSH)を使用する報告例が散見する。川崎病の初期治療に、SSH使用の安全性を検討し、冠動脈病変の発生を抑制することを最終目標とした。
【方法】 SSHの使用に際して、当院の倫理委員会の承認を得て、2007年6月より、当院に川崎病の診断にて入院した患児に投与した。川崎病と診断した入院の時点で、SSHを0.2mg/kg/hrの持続投与で開始した。また、病初期よりアスピリン(30mg/kg/day)を、病5日前後で免疫グロブリン製剤(2g/kg/2day)を使用した。
【結果】 患者は、6人(男児4人、女児2人)。平均年齢は2歳6ヶ月(2ヶ月〜6歳7ヶ月)であった。入院日の病日は2日1人、4日4人、5日1人であった。入院時の血液検査結果は、平均CRP10.27mg/dl(4.28〜17.15)、平均AST46U/l(22〜82)、平均ALT30.5U/l(11〜62)であった。全症例でSSHによると思われる有害事象は認めなかった。SSHとIVIGを同時に開始した症例はなかった。SSH開始に伴い全症例において一時的(5例)あるいは継続(1例)して解熱を認めた。SSH開始後、解熱が継続した症例は、IVIGを施行しなかった。残り5例は再発熱のためIVIGを施行し、うち1例はIVIG不応例でステロイドを併用した。冠動脈変化はIVIG不応例であった1例に認めた。
【考察】 今回6症例ではあるが、川崎病に対し、SSHはある程度の臨床効果を認めた。しかし、SSHは単剤で劇的な治療効果を得られる薬剤ではない。今後SSH投与症例の集積を行い、他の川崎病治療薬とのCombination therapyとして有効に使用する投与方法、時期を検討する。