S1. 統一プロトコールによる川崎病急性期治療の多施設共同研究〜1220例の検討〜 Treatment
of Kawasaki disease in acute stage A multiinstitutional study
河野一樹 三浦 大 (東京都立清瀬小児病院) 山岸敬幸 (慶応義塾大学病院) Kazuki Kouno
Masaru Miura (Tokyo Metropolitan Kiyose Children's hospital) Hiroyuki Yamagishi
(Keio University School of medicine) |
【背景】 川崎病急性期治療に対する多施設共同研究が望まれる。 【目的】
川崎病の多施設共同研究の基礎として,統一して行ってきた急性期治療の成績を総括する。 【方法】 慶応義塾大学病院小児科関連24施設で,以下の方針に則った治療を行った;
1) 初期治療として,全例を免疫グロブリン(IVIG)2 g/kg/24hrとアスピリン30〜50 mg/kg/dayで治療。 2) IVIG終了36〜48時間後に発熱を認めた例を初回IVIG不応例とし,IVIG
2 g/kg/24hrを追加。 3) さらに不応なら,追加IVIG不応例とし,ステロイドパルスか3回目のIVIGを追加。 【成績】
2004〜2006年に受診した川崎病1220例(不全型156例,男児709例,月齢1〜144ヵ月 中央値25ヵ月)のうち,1127例に初回IVIGを行った。初回IVIG不応の168
/ 1127(14.9%)例を追加IVIGで,追加IVIG不応の40 / 168(23.8%)例をステロイドパルス(30例),3回目のIVIG(9例)などで治療した。冠動脈病変(CAL)は,初回IVIG反応例の8
/ 959例(0.8%;瘤1,拡大7),追加IVIG反応例の8 / 128例(6.3%;巨大瘤1,瘤4,拡大3),追加IVIG不応例の8 / 40例(20.0%;巨大瘤3,瘤4,拡大1),IVIGを投与しなかった1
/ 93例(1.1%;拡大1),計25 / 1220例(2.0%)に認めた。また,追加IVIG不応に対する治療別では,ステロイドパルス5 / 30例(16.7%;瘤4,拡大1),3回目のIVIG
3 / 9例(33.3%;巨大瘤3)にCALを認めた。 【考察】 CALはIVIG不応例に多く,特に3回目のIVIGを行った例では高率に巨大冠動脈瘤を生じた。今後,ステロイド剤の早期導入を含め,IVIG不応例に対する適切な管理の開発が望まれる。
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S2. γグロブリン抵抗性川崎病に対するステロイドパルス治療の成績 Pulsed
Corticosteroid Therapy For Patients with Kawasaki Disease after Primary Intravenous
Immune Globulin
足達武憲 安田東始哲 福見大地 沼口 敦 安藤嘉浩 北島直子 岩田直美 長嶋正實 (あいち小児保健医療総合センター)
Takenori Adachi Toshiaki Yasuda Daichi Hukumi Atusi Numaguti Yoshihiro Andou Naoko
Kitajima Naomi Iwata Masami Nagashima (Aichi Childrens Health and Medical center)
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【目的】 IVIG不応例は冠動脈病変が後発しやすく対応に困ることが多い2006年に群馬大学が発表したIVIG不応例のリスクスコアが有用かどうか検証した。またIVIG追加投与にも不応な症例に対し当センターが行っているステロイドパルスを含めた複合的な治療の成績につき検討をした。
【方法】 2003年4月〜2007年4月までの4年間で当センターで治療を行った川崎病患者86例をリスクスコアにあわせ後方視的に検討した。
【結果】 IVIG初回投与で有効な群は平均2.9点、無効な群は平均4.5点のスコアであった。逆に4点以上のリスクありと判定される56%が不応例であり、3点以下のリスクなしと判定される76%が有効であった。5例にステロイドパルスを含む複合的な治療を行ったが、すべての症例において3日間のステロイドパルス施行中に解熱を認め、症状の改善や炎症反応の低下を認めたが2例で冠動脈病変を合併した。
【考察】 リスクスコアはIVIG不応例の検出に対しあまり有効ではなかったが有効例の検出には有効であった。 |
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S3. 川崎病治療に関する多施設共同研究258症例のまとめ Prospective
multicenter study of the therapy for Kawasaki Disease in Shizuoka-An analysis
of 258 cases
木村光明 勝又 元 王 茂治 (静岡県立こども病院 感染免疫アレルギー科) 村田浩章 (静岡済生会総合病院小児科)
Mitsuaki Kimura Hajime Katsumata Shigeharu O (Shizuoka Children's Hospital)
Hiroaki Murata (Shizuoka Saiseikai General Hospital) |
【目的】 川崎病の治療にはガンマグロブリン大量療法(IVIG)が用いられるが、IVIGが無効の場合の治療には明確な基準がない。静岡川崎病研究会は静岡県内の12施設から構成され、IVIG無効例への治療を規定した統一プロトコールを用いて多施設前方視的研究を行っている。2年3ヶ月で258症例が集積されたので、治療成績を分析した。
【方法】 プロトコール:まずIVIG2g/Kgを1日で投与し、不応の場合は2回目を追加。2回目IVIGも不応の場合は第3ステップとして、ステロイド2g/Kg、血漿交換(PEX)またはIVIG3回目のいずれかを実施した。急性炎症鎮静効果は治療開始後48時間以内の解熱(37.5℃以下)により判定した。冠動脈病変(CAL)は内径で定義し、5歳以上4mm以上、5歳未満3mm以上とした。
【結果】 初回IVIGの有効率は77.1%、2回目IVIGは64.4%、累積有効率は91.9%であった。第3ステップの治療は、ステロイド16名、PEX3名およびIVIG3回目2例であり、有効率はそれぞれ81.3、100および0%であった。第4ステップ以降を含めた通算有効率はステロイド82.4%(14/17)、PEX85.7%(6/7)、IVIG3回目0%(0/3)であった。一過性および持続性CALの発生率は6.6(17/258)および3.1%(8/258)、巨大動脈瘤は0.39%(1/258)であった。IVIG2回無効群では持続性CAL発生率が28.6%(6/21)と約10倍高くなった。
【考察】 ステロイドおよびPEXはIVIG無効症例にも高い有効率を示し、難治性川崎病の治療法として有用である。CALの発生率は川崎病全国集計よりも低く、川崎病治療成績向上に寄与しうるプロトコールと考えられた。
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S4. 川崎病患者の層別化と初期治療としての免疫グロブリン+プレドニゾロン療法の効果
Risk stratification in the decision to include corticosteroids with intravenous
immunoglobulin in primary therapy of Kawasaki disease
小林 徹 小林富男 池田健太郎 (群馬県立小児医療センター循環器科) 井上佳也 岡田恭典 篠原 真 田村一志
関 満 森川昭廣 (群馬大学小児生体防御学分野) Tohru Kobayashi Tomio Kobayashi Kentaro Ikeda (Gunma
Children's Medical Center, Department of Cardiology) Yoshinari Inoue Yasunori
Okada Makoto Shinohara Kazushi Tamura Mitsuru Seki Akihiro Morikawa (Gunma University
Graduate School of Medicine, Department of Pediatrics and Developmental Medicine)
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【目的】 免疫グロブリン超大量療法(IVIG)が標準的な治療として行われているが、約2割がIVIG抵抗例であり冠動脈病変を合併する症例の大部分がIVIG抵抗例である。我々はIVIG+プレドニゾロン(PSL)療法の有用性と共に治療開始前にIVIG抵抗例を予測するリスクスコアを作成し、初期治療層別化の可能性について本研究会で報告して来た。今回7年間にわたり群馬大学関連病院で初期治療をおこなった川崎病患者を後方視的に治療別、リスク別に解析した。
【方法】 対象は群馬大学関連13病院においてIVIGを含む初期治療を施行された連続1078症例(IVIG療法955名、IVIG+PSL療法123名)。後方視的にリスクスコアを当てはめ、5点以上を高リスク患者とし、欠損値は0点としてスコア点数を算出した。連続変数はunpaired
t testを、カテゴリー変数はFisher’s exact testを用いて検定した。高リスク患者において初期治療と臨床経過、冠動脈予後との関係を検討するためlogistic
modelを用いた多変量解析を施行し、リスクスコア点数と性別で補正したオッズ比を算出した。 【結果】 IVIG療法の32%、IVIG+PSL療法の40%が高リスク患者と分別された。リスクスコア点数はIVIG療法に比べIVIG+PSL療法で有意に高値であった。低リスク患者においてはIVIG療法とIVIG+PSL療法において臨床経過、冠動脈予後に差がなかったのに対し、高リスク患者においては初期治療不応例、治療抵抗例がIVIG+PSL療法で有意に少なく、経過中の冠動脈病変合併例も少ない傾向にあった。スコア点数、性別をLogistic
modelを用いて補正し、高リスク患者における治療方法と臨床経過、冠動脈予後との関係を検討した結果、IVIG+PSL療法はIVIG療法に比べ初期治療不応例、治療抵抗例、経過中の冠動脈病変合併例が有意に低頻度であったが、再燃例はIVIG療法に比べ有意にIVIG+PSL療法で高頻度であった。
【結語】 我々のリスクスコアは川崎病初期治療の層別化に有用であり、高リスク患者に対してIVIG+PSL療法を初期治療として行うことにより、臨床経過と冠動脈予後を改善させることができる可能性が示唆された。
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S5. 久留米スコア用いた免疫グロブリン不応例予想スコアの検討 Prediction
score of immunoglobulin resistant Kawasaki disease:Vallibation study for Kurume
score.
扇原義人 箕浦克則 (海老名総合病院小児科) 緒方昌平 坂東由紀 安藤 寿 木村純人 中畑弥生 石井正浩 (北里大学医学部小児科)
横田行史 (相模原協同病院小児科) Yoshito Ogihara Katunori Minoura (Ebina General Hospital
pediatrics) Shouhei Ogata Yuki Bando Hisashi Ando Sumito Kimura Yayoi Nkahata
Masahiro Ishii (Kitasato University medical department pediatrics) Yukifumi
Yokota (Sagamihara Kyodo Hospital) |
川崎病の約10-20%で、ガンマグロブリン治療不応例が生じる。この不応例を事前に予測することで有効な川崎病の治療戦略を立てることができる。
【目的】 発症時年齢、診断時病日、血小板数、ALT、CRPの5項目を用いた、ガンマグロブリンに抵抗性を予測する久留米スコア(J.Pediatr
2006)の有効性を検討した。 【対象】 対象は2005年7月から2007年6月の2年間に当院および関連病院2施設において川崎病の診断で入院加療を行った145症例中、ガンマグロブリン大量療法をおこなった134症例であった。対象年齢は2ヶ月−10歳である。
【方法】 年齢(6ヶ月未満)、診断時病日(第4病日以前)、血小板(30万/μL未満)、CRP(8mg/dl以上)を各1点、ALT(80IU/L以上)を2点とし、3点をカットオフ値とした久留米スコアを用い、各症例をスコアリングし、2点以下の群、3点以上の群でのそれぞれのガンマグロブリンに対する反応、不応症例を検討した。
【結果】 久留米スコア2点以下(80%)、3点以上27症例(20%)、ガンマグロブリン反応114症例(85%)、不応20症例(15%)、であった。3点をカットオフ値とした感度は56%、特異度は85%であった。
【結語】 予測スコア感度56%、特異度85%であり、ガンマグロブリン抵抗例を予測するスコアとして久留米スコアは有用である。今後、症例数を増やし検証を続ける必要がある。
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S6. IVIG後のデータによる効率的な持続性冠動脈病変の発生予測 The prediction
of coronary-arteries lesion by the data after IVIG
村田浩章 杉浦崇浩 (静岡済生会総合病院小児科) 木村光明 (静岡県立こども病院感染免疫アレルギー科) Hiroaki
Murata Takahiro Sugiura (Shizuoka Saiseikai General Hospital) Mituaki Kimura
(Sizuoka Children's Hospital) |
【目的】 川崎病の予後に大きな影響を与える持続性の冠動脈病変(CAL)の多くは、IVIG無効症例に発生する。我々は初回IVIG後のデータを用いて、持続性CAL発生の予測精度を上げる事が出来ないか検討した。
【方法】 静岡川崎病研究会の258症例について、IVIG前後のWBC値、CRP値、血清IgG値、WBC改善率、CRP改善率、IgG上昇率、IgG変化率、更に、年齢、IVIG開始病日、原田のスコア、などと一過性CALおよび持続性CALとの関係について統計的に検討した(scheffe法)。
【結果】 CAL無し群と一過性CAL群の間では、WBC改善率(p<0.05)でのみ有意差を認めた。CAL無し群と持続性CAL群の間では、IVIG前のCRP値(p<0.001)、IVIG後のCRP値(p<0.0001)、WBC値(p<0.0001)、CRP改善率(p<0.001)およびWBC改善率(p<0.001)で有意差を認めた。そこで、IVIG後のCRP値およびWBC値についてROC曲線を用いてカットオフ値を設定した。IVIG後のWBC>9000およびCRP値>12mg/dlの場合、持続性CAL発生予測は、各々、感度0.88、特異度0.66および感度0.88、特異度0.90であった。更に、(1)IVIGが不応、(2)IVIG後のWBC>9000および、(3)IVIG後のCRP値>12mg/dlの3項目を満たす場合、持続性CALは44%で発生し、持続性CAL発生予測は、感度0.88、特異度0.96と極めて高いものであった。
【考察】 持続性CALの高リスク患者により強力な治療を早期に行っていく事で、CAL発生を低下させる可能性があり、IVIGが不応かつIVIG後のCRP値>12mg/dlかつWBC>9000であれば、次のステップの治療を工夫する必要があると思われる。
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S7. 神奈川県内多施設におけるガンマグロブリン治療無効例基準および重症度スコア導入の検討
Standard for distinction of the immunoglobulin treatment invalidity and introduction
of disease severity score at multi-institutions in Kanagawa prefecture
森 雅亮 石井正浩 野中善治 横田俊平 (神奈川県川崎病研究会) Masaaki Mori Masahiro
Ishii Zenji Nonaka Shumpei Yokota (Kanagawa Kawasaki Disease Study Group) |
| 大量ガンマグロブリン (IVIG) 不応例の判定基準および重症度スコアは個々の施設で個別に設定され、全国的に標準とされるものが存在していない。以前、小規模な後方視的解析により、画一的な不応例の判定基準および重症度スコアの検討を試み、IVIG後の体温・CRP値、治療前後の好中球数が特に重要な因子と考えられた。しかし、対象となった治療無効症例数が少なく、各群の治療背景が必ずしもマッチングしていなかった等より、各施設で普遍的に使用できる基準としては不十分であった。
そこで、神奈川県内の多施設が参画している神奈川川崎病研究会では、神奈川県内の16施設において2006年8月から2007年7月までの1年間に発症した川崎病症例に対し、横浜市立大学のIVIG不応例の判定基準、久留米大学の治療予測スコアを参考に共同研究を行った。対象適応基準として、(1)第5版川崎病診断の手引きにおいて、川崎病と診断されたもの(但し、「発熱」の項目は必須)、(2)総量が2g/kgとなるIVIGを36〜48時間以内に投与したもの、(3)IVIGの開始病日が遅くとも第9病日までであるものとし、IVIG初回投与前に冠動脈病変が存在している例、全経過中のどこかにステロイド薬が使用されている例は除外した。30病日以降で冠動脈病変(CALs)を認めた症例を治療不応群、認められなかった症例を治療有効群と規定した。 これまで300症例の集計が終了し、ガンマグロブリン治療無効例基準および重症度スコア導入の検討を行うことができた。本研究の結果から、検討した「治療予測スコア」、「IVIG不応例の判定基準」とも、感度・特異度とも優れた成績を示したので報告する。今後、各施設が行っているIVIG不応例に対する治療の影響も考慮して検討を重ねたい。
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