川崎病冠動脈病変に対する外科治療のup-to-date:冠動脈バイパス術と瘤縫縮術の適応と術式
Surgery for Pediatric Patients with Kawasaki Coronary Disease: Graft Selection
in Coronary Revascularization and Management of a Huge Coronary Aneurysm
落 雅美 山内仁紫 (日本医科大学心臓血管外科) 小川俊一 (日本医科大学小児科) Masami Ochi
Hitoshi Yamauchi (Cardiovascular Surgery, Nippon Medical School) Shunichi
Ogawa (Pediatrics, Nippon Medical School) |
川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドラインによれば冠血行再建術の適応となる冠動脈病変は、1.左冠動脈主幹の高度閉塞性病変、2.多枝の高度閉塞性病変、3.左前下行枝(LAD)近位部の高度閉塞性病変、4.Jeopardized
collateral、とされる。 近年は小児症例に対してもカテーテルインターベンション治療が行われているが、外科治療の適応となる症例も少なからず存在する。中でも、巨大冠動脈瘤の瘤内血栓による末梢心筋虚血は抗凝血剤服用でも心筋梗塞の危険があり、内科治療上の大きな問題である。
当施設に於ける外科治療指針は以下の通りである。 1.グラフトの選択:冠動脈バイパス術でのバイパスグラフトとしては長期開存性が保証される左右内胸動脈を選択し、特にLADに対しては左内胸動脈(LITA)を唯一の選択肢としている。小児症例
では静脈グラフト(SV)の開存率が低い事は1980年代に既に明らかにされており、我々はこれまでに使用していない。右胃大網動脈(GEA)グラフトも本邦では内胸動脈に次ぐ動脈グラフトとして成人例では広く使用されているが、元来この動脈にはサイズに個体差があることに加えて小児症例では未発達であり、グラフトとして不適当である場合も少なくない。
2.部位別の術式選択:(a)左冠動脈系;LADに高度狭窄病変が存在するか、狭窄病変の有無に関わらず巨大瘤が存在し瘤内血流停滞やそれに伴う血栓形成から心筋虚血が生じる例ではLITA-LADバイパス術の適応とする。この領域での瘤縫縮術は行わない。(b)右冠動脈系;近位部完全閉塞例で、#2にintactな部分がある例では右内胸動脈を使用する。#2~3の閉塞で左冠動脈からcollateralが発達している例では敢えて血行再建を行わない場合があるが、年長者ではGEA使用も考慮する。
3.右冠動脈近位部の巨大瘤:多くは#2全長に亘る瘤であるが、ソーセージ状の形状で瘤前後に狭窄病変が無く、瘤壁に石灰化が無いものでは瘤縫縮の適応となる。回旋枝領域近位部瘤に縫縮術を施行した症例も経験している。
自施設例30例の経験から、外科治療の詳細について報告したい。 |
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