心臓画像技術の現状と今後の展望 〜MRIとCTにおいて〜
Current & Future Prospective of Cardiac Imaging - MRI & CT -

武村 濃 (東京逓信病院放射線科)
Atsushi Takemura (Tokyo Teishin Hospital)
【はじめに】近年の高速撮影など心臓画像技術の進歩と簡便さに伴いComputed Tomography(CT)やMagnetic Resonance Imaging(MRI)による川崎病冠動脈障害の画像診断が行われるようになった。今回はCTとMRIの技術に関し、現状と今後の展望について述べる。
【画像技術】現在CTとMRIが臨床応用に力を入れている領域は心臓領域である。心臓は常に動いており、CTやMRIで明瞭に画像を捉えることは困難であった。CTでは数年前まで1回転1枚の撮影スピードであったのが、現在ではX線検出器の多列化(Multi Detector)により1回転64枚と高速撮影が可能となり、心臓領域に対しては1mm以下の薄いスライス厚で約6〜10秒間の呼吸停止で明瞭な高分解能3次元画像が取得可能となっている。一方、MRIにおいてもParallel imagingによる高速撮像とSteady state free procession シーケンスの登場で、CTのように数十秒の検査とはいかないが、造影剤を使用せず5〜10分ほどで冠動脈画像を3次元画像として得ることが可能となった。 また、心臓の動きを把握するためには心電図同期法も重要で、CTではECG同期法、MRIではVCG(Vector ECG)同期法が採用されている。同期法を用いる事で、正確に心臓の動きを把握し、CTではRetrospectiveに、MRIではProspectiveにデータ収集し冠動脈画像を構築する仕組となっている。
【利点と欠点】CTは既に多施設に普及し、64列Multi Detector CTの登場で高速撮影により心臓領域の撮像にも高い検査成功率で浸透しつつある。しかし、X線による被ばくとヨード造影剤の使用を避けることはできない。また撮影時には数十秒間の呼吸停止を必要とし、呼吸停止が不可能な症例には適していない。さらに石灰化病変は画像アーチファクトを発生する原因であるが、現時点での画像再構成技術でも除去することは不可能で、石灰化近辺の冠動脈情報を正確に得ることは不可能とされている。 一方、MRIはX線被ばく無く冠動脈画像や心筋シネ画像が得られる。年齢や体格、心拍数に対して多数の撮像条件を適切にあわせる処理が必要とされるが、造影剤を用いることなく冠動脈の形態、血栓や内膜肥厚などの評価が可能である。また造影剤の併用で、心筋の灌流状態や心内膜下梗塞の診断も可能である。造影剤はX線冠動脈造影検査で使用するヨード造影剤とは異なり、MRI専用造影剤のガドリニウム造影剤を少量(10〜20ml:0.2ml/kg)用いる。このようにMRIでは膨大な心臓の情報を得ることが可能であるが、現時点で全ての情報を一度に得るためには撮像時間が長くなるのが欠点である。症例により必要情報を選択すれば30分ほどの撮像時間とすることが可能である。
【今後の展望】 現在MDCTでは更なる高速化と低線量による画像化、または2種類のX線を用いることによる性質評価へと向かっている。MRIでは高磁場3Tの臨床稼動が開始し、高分解能画像による画像評価と撮像技術を駆使した機能評価が期待される。 近い将来に両検査装置は更なる急速な技術進歩をとげ、非侵襲的、あるいは低侵襲的検査法として川崎病冠動脈障害の画像診断への使用が普及することを期待したい。