川崎病の病理−心以外の血管病変 Pathological aspects of
vascular lesions other than heart in Kawasaki disease
高橋 啓 大原関利章 横内 幸 安藤充利 直江史郎 (東邦大学医療センター大橋病院病院病理部) 澁谷和俊 (東邦大学医療センター大森病院
病理) 増田弘毅 (秋田大学病理学) Kei Takahashi Toshiaki Oharaseki Yuki Yokouchi Mitsutoshi
Ando Shiro Naoe (Toho University Medical Center Ohashi Hospital) Kazutoshi
Shibuya (Toho University Medical Center Omori Hospital) Hirotake Masuda (Akita
University) |
川崎病動脈炎の病理組織学的特徴の第一は、単球/マクロファージを主体とする増殖性炎症にあり、フィブリノイド壊死をみることは稀である。第二の特徴は炎症が始まるとすみやかに極期に達し、その後徐々に終焉へと向かう一峰性の経過を示す点で、急性炎症期と瘢痕期病変が混在することはない。そして第三の特徴は、川崎病では中小の筋型動脈が侵襲されるが、いずれも実質臓器外動脈に限られ実質臓器内の動脈に炎症が生じることは基本的にない。これらの特徴は結節性多発動脈炎をはじめとする他の血管炎疾患との重要な組織学的鑑別点となる。今回のテーマである冠状動脈以外の川崎病血管病変については、直江やAmanoらがその全体像を記載している。
一方、各臓器における血管変化は、腎、肺、膵、胆嚢、肝、消化管などが検索されており、概略は以下のようになる。 腎:血管病変は約70%の剖検例で観察される。汎血管炎は17病日から観察されるが、病変は腎動脈と葉間動脈に限局し小葉間動脈や弓状動脈には生じない。糸球体病変は原則として観察されないが、炎症の高度な症例では管内増殖性糸球体腎炎に相当する変化が観察される。
肺:およそ45%の剖検例で血管病変が観察される。汎血管炎は25〜30病日例で観察されるが、病変は弾性型動脈に限局し、これより末梢の筋型動脈に炎症は生じない。一方、頻度は低いがびまん性肺胞傷害に相当する間質性変化を示す例がある。
肝:肝細胞の混濁腫脹とともに門脈域に種々の程度の単核細胞浸潤がみられる。肝内肝動脈の炎症をみたとの報告もある。 膵:およそ30%の症例で膵実質外筋型動脈に炎症が生じる。動脈瘤は認められない。
胆嚢:粘膜内の炎症細胞浸潤、粘膜下の浮腫を主とする非特異的無石性急性胆嚢炎が特徴的である。血管病変は動脈周囲の炎症細胞浸潤が主となる。 消化管:約10%の症例で血管炎が観察される。いずれも腸間膜付着部の漿膜下層内動脈に限局する。小腸粘膜上皮の剥離を伴ったカタル性小腸炎の報告もある。
リンパ節:辺縁洞から始まる巣状の壊死が特徴的である。壊死巣に連なる細血管には内皮細胞の腫大、内腔狭窄像などがみられる。これまでに報告されている諸臓器の血管変化を中心に整理し、組織像を提示したい。
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