川崎病の罹患感受性に関わる遺伝子多型 Identification of Genetic
Polymorphisims Associated with Kawasaki Disease.
尾内善広 (独立行政法人理化学研究所 遺伝子多型研究センター 消化器系疾患関連遺伝子研究チーム) Yoshihiro
Onouchi (Laboratory for Gastrointestinal Diseases, SNP Research Center, RIKEN)
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臨床症状や疫学的な知見から、川崎病の発症には外的な要因(感染因子等)と個体側の要因(遺伝的要因)が関わっていると考えられている。川崎病の予防や、原因に根ざした治療法開発を実現化するためにはこの両者の解明が重要である。感染因子については川崎病の報告以来精力的に検索が行われてきたが現時点において明確に説明しうる単一の病原体の発見には到っていない。我々は川崎病の遺伝的要因を知ることは未だ謎の多い川崎病の病因を解き明かす手がかりになると考え研究を行っている。
川崎病感受性遺伝子を検索する第一歩として行った罹患同胞対解析により、10カ所の染色体領域に連鎖の傾向を見出すことに成功した。各領域に数十から百前後存在する遺伝子のなかから川崎病の罹患感受性に関わる多型を見出すために一塩基多型(Single
Nucleotide Polymorphisms; SNPs)を用いた連鎖不平衡マッピングと、位置的候補遺伝子解析の2通りの手法でアプローチしている。 これまでに連鎖不平衡マッピングにて検討を行った一領域内に川崎病と極めて強い相関を示すSNPを見出している。このSNPは遺伝子Xのイントロン1に存在し、感受性アレルを有するとイントロン1のスプライシングの効率が低下し、結果正常な転写産物の量が低下することが分かった。遺伝子XはT細胞内に発現し、T細胞を刺激・活性化した際に強く誘導されることから炎症関連遺伝子であることが予想され、遺伝子Xの発現をJurkat細胞内でノックダウン、あるいは過剰に発現させる実験により、T細胞の刺激に対するインターロイキン2発現誘導が亢進あるいは低下することが分かった。
このSNPは日本人のみならず米国人川崎病患者においても有意な相関を示したことから人種・民族を越えた共通の遺伝的要因の一つであると言える。さらに冠動脈瘤および拡張を有する群、ガンマグロブリン非奏功群により強い相関が見られ、これらのリスクを発症早期に予測するマーカーとなる可能性が高い。
別の領域内からは位置的候補遺伝子アプローチにより遺伝子X産物と機能的に関連する遺伝子上のSNPに川崎病との相関を見出している。このSNPはコーカシアンには存在せず(単型性)、川崎病の発生率の人種差の一因なのではないかと注目している。
多数の検体提供の協力と充実したゲノムリソースの恩恵を受け本研究は進展している。その現状と今後の展望につき論じたい。 |
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